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Dell TechnologiesのHCI「VxRail」、堅牢モデルや第2世代AMD EPYC搭載モデルなどを提供
新アーキテクチャ提供やソフトウェアアップデートなども実施
2020年7月1日 11:49
Dell Technologies(デル株式会社およびEMCジャパン株式会社)は6月30日、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)「Dell EMC VxRail」の新モデルを発表した。
HCIとは、仮想サーバーとSANスイッチ、共有ストレージという、従来の3階層アーキテクチャをひとつに集約したアプライアンスで、「パブリッククラウドの俊敏性や効率性と、小規模構成から容易にスケールアウトできる拡張性、オペレーションを合理化するシンプル性を兼ね備えている」と、Dell Technologies(デル株式会社) 執行役員インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 製品本部 本部長の上原宏氏は説明する。
VxRailは、Dell TechnologiesとVMwareが共同開発したHCIシステムだ。上原氏によると、すでに8100以上の顧客に9万3000ノード以上を提供しており、年間売上高は20億ドル以上にのぼるという。
今回Dellが新たに発表したのは、耐久性の高いモデル「VxRail Dシリーズ」。第2世代Xeonスケーラブルプロセッサを搭載したVxRail Dシリーズの奥行は50.8cm。VxRailシリーズ最小の接地面積でありながら、マイナス15℃~45℃までの高温・低温耐性、40Gの耐衝撃性を備え、約4500mの高度でも稼働できる堅牢なモデルとなっている。
Dell Technologies(EMCジャパン株式会社) MDC事業本部 クラウドソリューション部 シニアマネージャーの市川基夫氏は、VxRail Dシリーズについて、「例えば日本の真夏の気温でも、富士山の頂上でも、F1レースで車が衝突しても、稼働した状態を保つ極限の耐久性を備えている」としている。
また「VxRail Eシリーズ」のラインアップには、第2世代AMD EPYCプロセッサを搭載した「VxRail E665」を追加した。VxRailでAMDプロセッサを搭載するモデルは今回が初めてという。シングルソケットでデュアルソケットに匹敵するパフォーマンスを発揮し、8~64コアのCPUオプションに対応する。
さらに、VxRailのオプションとして、NVIDIA Quadro RTX GPUと、インテルOptaneパーシステントメモリ(永続メモリ)にも対応。NVIDIA Quadro RTX GPUでCPUの処理を最大36%オフロードでき、複雑なグラフィックレンダリングも快適に処理できるほか、インテルOptaneパーシステンテントメモリではDRAMクラスのパフォーマンスを実現、メモリ容量を大幅に向上するという。
現在VxRailシリーズは、4月28日にリリースしたVxRail 7.0.000が最新バージョンとなっているが、これは基盤となる仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」の最新バージョン「VMware vSphere 7.0」(4月3日リリース)にバージョンを合わせたもの。「今後VxRailは、vSphereに合わせたバージョン名を採用していく」と市川氏は説明する。
またDellは、「VMware Cloud Foundation(VCF) 4.0 on VxRail 7.0」にて、新たに「VCF統合アーキテクチャ」を提供することも発表した。統合アーキテクチャでは、管理ドメインとコンピューティングワークロードを集約でき、最小4台のVxRailノードからDell Technologies Cloud Platformが導入できるようになる。ただし、統合アーキテクチャから標準アーキテクチャへのアップグレードは現時点でサポートしていないため、「導入時には将来的な拡張計画を検討してもらいたい」(市川氏)としている。
このほかにもDellは、「VxRail HCIシステム ソフトウェア」の最新バージョンを発表。最新バージョンでは、ライフサイクル管理機能を強化し、アップグレード前にシステムのヘルスチェックができるようになったほか、クラスター全体を特定のVxRailバージョンに再イメージすることや、ノードのダウングレードも可能になった。
今回発表した新製品の価格は、VxRail Dシリーズが670万円から、VxRail Eシリーズが600万円から(価格はいずれも税別)。いずれも7月2日より提供を開始する。
IDCの調査では、2020年第1四半期の日本市場におけるHCIのシェアは、出荷システム数でDellが2位以下を大きく引き離して1位となっているものの、出荷金額では2位となっている。上原氏は「1位奪還を目指し、永続的にその地位を維持する」と目標を掲げており、販売施策としてプリセールスやサービスサポートチーム、ビジネス開発が一体となったバーチャルチーム「VxRail Super Stars」を社内に設けたことを明かした。