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DellとEMCがエンジニアの英知を集めた――、次世代ミッドレンジストレージ「PowerStore」を発表

 デル株式会社およびEMCジャパン株式会社(以下、Dell Technologies)は14日、次世代ミッドレンジストレージの新製品「Dell EMC PowerStore」を発表した。DellとEMCが統合して初めて、ゼロから開発したストレージ製品になるという。

 Dell Technologies(EMCジャパン)MDC事業本部 SE本部の森山輝彦本部長は、「Dell Technologiesが考える、ミッドレンジストレージに求められる機能を満たした製品。DellとEMCのエンジニアの英知を集め、ストレージベンダーとしての経験を生かして開発した2Uのオールイン型ストレージ」と位置づけた。

Dell Technologies(EMCジャパン) MDC事業本部 SE本部の森山輝彦本部長

 従来のDell EMCミッドレンジストレージアレイ「Unity XT」と比較して、7倍のスピードと3分の1のレスポンスタイムを実現。拡張エンクロージャを使用することで、アプライアンスあたり最大2.8PBまでのスケールアップできるほか、8ノードまでスケールアウトすると、クラスタあたり最大11.3PBまでの拡張を行える。また、コンピューティングとストレージを個別に拡張可能できる点も特徴だという。

 加えて、ミラーボリュームの提供や、即時フェイルオーバーを実現するゼロRPOおよびRTOの提供、データセンター間でのワークロードのモビリティなどにより、99.9999%の連続可能性を実現。ミッドレンジクラスでは最高峰の可用性を実現しているとした。

スケールアップおよびスケールアウトに対応
連続可用性の提供

 さらに、常時稼働の重複排除および圧縮により、従来は3:1だったデータ削減保証を4:1へと向上。ワークロードのCPUリソースを活用することなく、別のプロセッサで削減処理を行うことができる。「これまでの製品と比較しても群を抜いた能力のデータ削減エンジンを持つ。これにより、企業はIT予算とリソースの削減を実現できる」とのこと。

 Dell Technologiesの森山本部長は、「データ中心型、インテリジェント、順応性という3つの特徴を持つのがPowerStore」と前置き。「データ中心という観点では、リレーショナルデータベースやERP、電子カルテといった従来のワークロードと、クラウドネイティブ型の最新ワークロードを幅広くサポートすることができる汎用ミッドレンジストレージに進化している。考えられるテクノロジーをすべて盛り込んだ。同時に、ITインフラーの簡素化や最適化されたパフォーマンス、妥協を許さない効率性を目指した」とコメントした。

データ中心型、インテリジェント、順応性という3つの特徴を持つ
あらゆるワークロードに対応

 「PowerStoreならではの進化としては、インテリジェントが挙げられる。機械学習とインテリジェントな自動化によって、自律型アプライアンスに進化。ボリュームの再バランシングにかかる時間を99%も短縮するなど、人による工数を大幅に削減することができる」と語った。

 ここでは、VMwareとの統合のほか、KubernetesやAnsible、VMware vRealize Orchestratorに対応し、展開に要する期間を従来の数日単位から数秒単位へと大幅に削減できることも強調。また、内蔵の機械学習技術の活用により、初期ボリュームの配置や移行、ロードバランス、問題解決といった作業負荷の高いプロセスを自動化できるという。

 さらに、ストレージモニタリング/アナリティクスソフトウェアの「Dell EMC CloudIQ」と機械学習を組み合わせることで、リアルタイムでの性能および能力分析、履歴トラッキングが可能になり、予測分析により、将来発生する性能やスペースの課題を通知し、快適な運用環境を実現できるとしている。

プログラム可能なインフラ
CloudIQによるインテリジェントなインサイト

 「順応性」という点では、コンテナベースのソフトウェアアーキテクチャ「PowerStoreOS」を新たに用意。モジュラー型の設計を採用し、機能の移植や新機能の容易な展開を可能としたほか、「AppsON」機能により、アレイ上で、VMwareの仮想ワークロードとアプリケーションソフトを直接実行することで、データへのアクセスを高速化し、レスポンスタイムを短縮できるようにしたという。

 「VMware ESXiハイパーバイザーを内蔵した業界唯一の目的特化型ストレージアレイにより、管理者は、アプリケーションを直接アレイに展開することができる」とした。

 そのほか、「PowerStore Manager」により、Dell EMC Unityなどの同社ストレージ製品から、10クリック以内に移行プロセスを完了することができる点も説明。また、Dell EMC Future-Proofプログラムの拡張によって提供する「Anytime Upgrade」プログラムにより、ユーザー企業はいつでもインフラをアップグレードすることが可能になるほか、Dell Technologies On Demand(DTOD)を利用できることから、柔軟な従量課金オプションによって、支払いの年間コミットメントを低く抑え、必要に応じたストレージ容量の利用が可能になる。

 「2030年までという長期間にわたって活用してもらえるストレージとして、必要となる機能やプログラムを用意した。データ移行の終えんをもたらす製品になる」としたほか、「エッジ環境においては、PowerStoreを活用することで、ラック使用量を70%削減でき、クラウドにおいてはVCFのワークロードクラスタとして活用することもできるなど、さまざまなデプロイが可能になる。汎用ワークのロード用VMにはHCIが適していると考えているが、調査によると十数%のユーザーでは、データ集中型のVMを活用している。こうしたユーザーにはPowerStoreが適している」と述べた。

 PowerStoreの価格は、最小構成時で880万円から。2020年7月31日までの期間限定で、導入サービスである「ProDeploy」を無料で提供するプロモーションを実施するが、全世界での販売台数が450台に到達した時点で終了となる。

 なお、Dell Technologies(EMCジャパン) MDC事業本部の遠井雅和事業本部長は、「データはDX推進の原動力になっている。調査によると、71%の企業が、データは戦略上重要なものであり、競争優位性を生み出すには効果的なデータストレージ戦略が不可欠と回答している。さらに、63%の企業が今後24カ月以内にデータを中心とした製品やサービスの開発が不可欠と回答している」と前置き。

 「だが、データと運用という2つの観点で、DXの取り組みを妨げている要素がある。特にデータでは、ブロック、ファイルのほか、オブジェクトやコンテナなど、これまでなかったデータが存在してしている。場所もデータセンターにあるだけでなく、クラウドやエッジでも生まれている。これまでは、専用アレイによって集中型イノベーションのニーズに対応してきたが、データ中心の時代になり、多様性に対応しながら、複雑性を低減し、さらに俊敏性を高め、順応性を実現するインフラが求められている」とした。

 そして、「真のハイブリッドクラウド環境でのデータ活用を可能とした新たなアーキテクチャーを実現したのが、今回のPowerStoreになる。今後のデータ中心の時代に適した設計を行い、最新のストレージアプライアンスとして提供するものになる。新時代を担う新世代ストレージであり、今後登場する最新のワークロードにも対応できる。満を持して投入した製品になる」と、新製品を位置づけた。

Dell Technologies(EMCジャパン)MDC事業本部の遠井雅和事業本部長

 なお、今回発表したPowerStoreはストレージアプライアンスとなるが、2020年半ば以降、自律型インフラであるPowerOneにも搭載することを決定。将来は、ソフトウェア定義型ストレージ(SDS)としての提供も視野に入れているという。

さまざまな実装オプションが予定されているとのことだ