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2024年の国内データセンターサービス市場は3兆2549億円規模、メガクラウドベンダーのIaaS/PaaSが成長を牽引
2020年4月22日 09:00
株式会社富士キメラ総研は21日、データセンタービジネスの国内市場に関する調査結果を公表した。データセンターサービスの国内市場については、2019年の市場は2兆2381億円が見込まれ、2024年には45.4%増の3兆2549億円に拡大。メガクラウドベンダーによって展開されているIaaS/PaaSの伸びが、市場を牽引していくと予測している。
富士キメラ総研では、調査結果を「データセンタービジネス市場調査総覧 2020年版 市場編/ベンダー戦略編」としてまとめている。「市場編」では、データセンターサービス8品目、データセンター関連製品17品目の市場を調査・分析し、将来を展望。「ベンダー戦略編」では、データセンター事業者の動向を整理し、ウェブアンケートによるユーザー調査を行っている。
データセンターサービス国内市場のカテゴリー別分類では、2019年の市場規模はホスティング(基本/アウトソーシング)が3050億円、IaaS/PaaSが5963億円、ハウジング(基本/アウトソーシング)が5470億円、通信回線サービスが1323億円、共同利用が3730億円、その他が2845億円となる。
一方、2024年の同市場規模予測では、ホスティング(基本/アウトソーシング)が2980億円、IaaS/PaaSが1兆3769億円、ハウジング(基本/アウトソーシング)が5940億円、通信回線サービスが2120億円、共同利用が3950億円、その他が3790億円となり、IaaS/PaaS用途が大きく増加する。
IaaS/PaaSは、既存ユーザーの拡張や、ホスティング、ハウジングからの移行需要が高まっているとともに、2019年はWindows Server 2008のサポート終了によるオンプレミスからの移行需要が高まり伸びていると分析。安価に利用が可能であることや、AI/機械学習、ビッグデータ/IoT用途のサービス拡大、デジタルトランスフォーメーション基盤としての新規需要獲得などから、今後も伸長していくと予測している。
ホスティング(基本)は、これまでホームページサーバーの需要を獲得していたが、IaaS/PaaSへの移行が進んでいることから縮小しており、Office 365などのSaaSの普及も縮小の要因とみられると分析。一方、ホスティング(アウトソーシング)は、グループ会社のシステム運用やプライベートクラウド基盤のフルアウトソーシングニーズの高まりに伴い、横ばいから微増で推移していくと予測している。
通信回線サービスは、IaaS/PaaSへのアクセスにおけるセキュリティ強化、回線速度強化などを目的に、専用線やデータセンター内のダイレクトアクセスなどの高付加価値なサービス需要が高まるとみられ、伸びが予想されると分析。共同利用は、公共系で安定的な需要を獲得しているが、市場構成比の高い金融系では需要が一巡したことから微増となっており、全体でも微増で推移していくと予測している。
地域別の分類では、2019年見込みは関東が1兆6589億円、関西が4055億円、その他地域が1737億円。2024年予測は関東が2兆4356億円、関西が6216億円、その他地域が1978億円となる。
関東にはメガクラウドベンダーのサービス拠点として、大型データセンターであるハイパースケールデータセンターが多く新設されており、2020年以降も新設が計画されているため、市場は拡大していくと予測。関西も同様に、メガクラウドベンダーがサービス拠点を開設しているため、市場の拡大が予想されるとしている。
その他地域については、地場ユーザーにおける需要の一巡、関東、関西といった大都市圏ユーザーからのバックアップニーズの鈍化が続いていること、関東、関西と異なりメガクラウドベンダーのサービス拠点の誘致に成功していないことなどから苦戦しており、今後は5GやIoTを活用したサービスの展開など、新たな需要獲得を目指していくと分析している。
データセンター内の稼働サーバー台数は、2019年の169万台に対して、2024年には251万台まで増加し、国内サーバー稼働総数の内の70%以上がデータセンターに所在するようになると予測。一方で、企業や官公庁などが自社に設置するオンプレミス稼働サーバー台数は、2019年の147万台に対して、2024年には102万台まで縮小すると予測している。
主な要因としては、BCP(事業継続計画)やDR(災害復旧)など、ユーザーの災害対策意識向上により、サーバーの移行や新システムの構築でIaaS/PaaSの採用が増加していることなどが挙げられると分析。データセンター内の稼働サーバーは、オンプレミスからの移行や既存ユーザーの拡張などで今後も増加するが、「仮想化技術によるサーバー統合」「サーバースペックの向上」などにより、増加ペースは鈍化していくと予測している。
ハイパースケールデータセンターのラック供給量は、2019年の4万570ラックから、2024年には10万220ラックと倍以上に拡大すると予測。クラウドサービスの利用拡大、5G化の進展によるウェブコンテンツの利用拡大などを背景に、ハイパースケールデータセンターの需要は今後も増加していくと分析している。