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2024年の国内データセンターサービス市場規模は4兆180億円、AI需要を受けGPUサーバー/液冷関連製品市場も増加~富士キメラ総研調査
2025年3月24日 13:42
株式会社富士キメラ総研は24日、国内データセンター市場の調査結果を公表した。2024年の国内データセンター市場規模は4兆180億円、2029年に向けては年平均6%程度で市場が拡大し、2029年には5兆4036億円に達すると予測している。
富士キメラ総研では、メガクラウドベンダーのデータセンター需要増加を背景とする、新設計画数の増加や、データセンター1拠点あたりの開発規模の大規模化のほか、一般企業を中心とした生成AIへの投資増加でGPUサーバーに関連したニーズが高まっている、国内のデータセンター市場を調査した。また、その結果を「データセンタービジネス市場調査総覧 2025年版 市場編」にまとめている。
調査では、データセンターサービス9品目、データセンター関連製品27品目の市場を調査・分析し、将来を予想した。また、この調査のシリーズで、データセンター事業者33社(SIer系事業者、キャリア系事業者、データセンター特化系(ファシリティ/サービス)事業者)の動向を整理した「ベンダー戦略編」では、Webによるユーザーアンケートも行っている。
データセンターサービスの国内市場については、規模の大きいIaaS/PaaSが市場拡大をけん引することで、国内IT関連サービスの中でも高い伸びが予想されると分析している。
データセンターサービスのうち、サービス提供者がサーバーを提供するホスティング(基本)は一時低迷していたが、GPUホスティングサービスの利用増加を背景に伸びていると説明。サーバーを保有せずに計算能力を利用できるため、PoC(概念実証)向けでの活用がみられ、また、GPUホスティングサービスを提供開始する新規参入ベンダーも増えており、今後も伸長が予想されるとしている。
一方、サーバー提供企業がアプリケーションの運用まで行うホスティング(アウトソーシング)は、企業が新規システムを構築する際、クラウドサービスの導入が一般的となっているため減少しているという。
IaaS/PaaSは、IaaS/PaaSベースの新規システム開発が多いことから伸長が予想されると分析。自国内の事業者が運営し、セキュリティ面や他国の法令などの影響を受けず、データ主権を担保しながらクラウド利用ができるソブリンクラウドの提供も進むとみられ、ITシステム基盤としてのクラウドサービスのデファクトスタンダード化やガバメントクラウドとしての利用増加によって、伸びが予想されるとしている。
ハウジングは、クラウドサービスの企業利用が進む中、データの安全性を高めるため、不特定多数のユーザーが利用するインターネットとは別に、関係者のみが接続できる閉域接続を目的とした需要が増加していると分析。また、都心や大阪都市部を中心に、IaaS/PaaS上ではなく、独自のAI関連システムを構築し、ハウジングを利用する動きもみられ、クラウドサービスの利用や独自のAI関連システム構築が増加することで、今後も伸長するとみられるとしている。
通信回線サービスは、新設データセンターの増加に伴い、データセンター間やユーザー拠点とデータセンター間で利用が増加している。2026年にデータセンターの新設ピークが予想されるものの、稼働量は増えるため2029年に向けて伸びが予想される。
証券や銀行など金融業や公共団体向けの特定アプリケーションを、特定企業・団体が共同で利用するサービスを対象とした共同利用は、証券向けでは従来の証券業務に関するシステムを共通化することで、新たな用途に向けたIT投資の最適化を図っており、利用が増加していると分析。一方、銀行向けは、既に勘定系システムの共同利用化が進んでいるほか、銀行の統廃合を背景に縮小しているという。公共団体向けも、各自治体のサーバー導入運用コスト削減やシステムの標準化/共通化などを目的に、ガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへ移行しており、今後は縮小が予想されるとしている。
国内データセンターの総床面積は、2024年は特に1万5000㎡を超えるメガクラウドベンダー向けハイパースケールデータセンターの新設が進み、前年度比6.1%増の461万8610㎡が見込まれると予測。主要データセンター事業者やユーザー企業の拠点が多い関東が、全体の約63%を占めるとしている。
データセンターの新設は、2026年から2028年頃がピークと予想しており、地域別では、最大需要家であるメガクラウドベンダー向けのハイパースケールデータセンターが計画される、関東や関西が伸びをけん引するとしている。一方、2025年以降ではソフトバンクが北海道でデータセンター新設を予定しているほか、メガクラウドベンダーの中には広島県や和歌山県でデータセンター開発を進めるケースもみられ、その他の地域でも伸長が期待されるとしている。
注目市場としては、GPUサーバー(データセンター向け)を挙げ、大手クラウド事業者や、大学などの教育・研究機関、AI関連ビジネスを行うIT企業が、数十台以上の規模で導入していると説明。GPUサーバー(データセンター向け)の国内市場規模は、2024年の640億円から、2029年には15.6倍の3270億円に達すると予測している。ただし、1台当たり数千万円以上する製品もあるほか、冷却設備をはじめとした高額な設備維持費などもかかるため、国内での本格的な普及には時間を要し、伸びは緩やかになると予想している。
液冷関連製品(冷却塔、リアドア型/InRow空調、CDU)市場についても、GPUサーバーの運用増により、2024年の国内市場規模は44億円と、前年比57.1%増が見込まれると予測。今後は、空冷方式より高い効率で冷却できる液冷方式の普及が加速するとみられ、市場拡大が予想されるとしている。