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2023年の国内IoTインフラ市場は1788億円に、IoTエッジ層でのデータ分析処理を志向する企業が増加

 IDC Japan株式会社は5日、国内IoT(Internet of Things)インフラ市場予測を発表した。それによると、2019年の同市場の支出額を前年比16.2%増の998億円、2018年~2023年の年間平均成長率(CAGR)を15.8%と見込んでおり、2023年の同支出額は1788億円になると予測されている。

 高い成長率が見込まれる背景には、IoTデバイス(エンドポイント)の台数、またそれらが生成するIoTデータが急激に拡大するとの予測がある。IoTエンドポイントから送信されるデータは、ネットワークを通じて1カ所もしくは複数カ所に収集・蓄積され、データ分析に利用されるが、今後急激に増大するIoTデータを処理するシステムとして、IoTインフラに対する需要が拡大するとIDCは見ているのだ。

 なおIDCでは、IoTの基本アーキテクチャとして「IoTの3層モデル」を定義。同モデルをもとに、「IoTコアインフラ市場」と「IoTエッジインフラ市場」を定義し、それぞれの市場について分析と予測を行っている。

 また、IoTエンドポイント層で使用されるセンサー、デバイスなどは、現時点では調査対象外としており、今回の調査対象である国内IoTインフラ市場は、IoTコアインフラ市場とIoTエッジインフラ市場の2つのセグメントを合算した数字となっている。

 このうち、2019年の国内IoTコアインフラ市場の支出額は、前年比12.3%増の666億円。2018年~2023年のCAGRは12.0%で推移し、2023年の支出額は1046億円になると予測。一方で2019年の国内IoTエッジインフラ市場の支出額は、前年比25.1%増の331億円。2018年~2023年のCAGRは22.9%で推移し、2023年の支出額は742億円になると予測された。

 IoTエッジインフラ市場の方がIoTコアインフラ市場よりも高い成長率を予測されているが、これは、IoTの普及とともにIoTデータの分析処理が多様化し、レイテンシ(処理応答時間)やセキュリティの観点から、IoTエッジ層でのデータ分析処理を志向する企業が増えているため。

 さらに最近では、AI技術が活用できる高仕様のIoTエッジインフラが登場し、高度なデータ分析処理が可能になってきたことも、IoTエッジ層でのデータ分析処理を志向する企業が増加する要因のひとつになっているという。

 こうした理由から、国内IoTインフラ市場全体における、IoTエッジインフラ市場の構成比は、2018年の30.8%から2023年には41.5%まで上昇するとIDC Japanでは予測している。