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CTC、製造・物流分野向けにデジタルツインソリューションを提供

 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)は26日、機械設備や人、作業工程などをコンピュータ上で再現し、生産の最適化につなげるデジタルツインソリューションを提供開始すると発表した。

 デジタルツインとは、工場や物流における物理的な環境(フィジカル空間)をそのままコンピュータ(サイバー空間)上で再現し、プロセスの全体最適化を図る手法のこと。CTCでは今回、予測のためのAIと、最適化や制御のためのシミュレーション機能を備えたIoTプラットフォームを提供し、デジタルツインの実現を支援するという。

 このソリューションでは、AIとシミュレーションを組み合わせることで、例えば、工場設備の異常をAIでリアルタイムに予測し、その予測に基づきシミュレーションを実行して工場の最適な生産計画を算出したり、シミュレーションのパラメータをAIで調整して計画策定の効率化につなげたり、といったことが可能になるとした。

 また、5Gによってデータ通信が超高速化・多接続化・低遅延化することを受け、フィジカル空間とサイバー空間とのリアルタイムな対応範囲を拡大。都市や広範囲の交通網、エネルギーなどの分野で、実際のフィジカル空間だけでは見えてこなかった社会課題を特定し、解決につなげられるとアピールしている。

 なお、データ収集とAIの実行環境としては、米SASのIoTソフトウェア「SAS Event Stream Processing」を利用する。SAS Event Stream Processingでは、IoTで使用されるさまざまなデータのリアルタイム処理を実現可能。大量データのフィルタリングや正規化、分類、集約、標準化、クレンジングなどを高速に行えるので、エッジ上でAIを用いた高度な分析が可能になるという。

 一方、シミュレーションソフトウェアとしては、英Lanner Groupが開発した「witness」を採用した。witnessは、生産ラインや物流、交通、事務業務などのプロセスを簡単にモデル化し、アニメーションによる可視化や多角的なレポートなどで、計画の定量評価を可能にする。最新版である「witness 22 Horizon」では、さらに、無人搬送車・無人搬送ロボットの給電システムのモデル化を含め、デジタルツインや工場のIoT化のための機能が盛り込まれているとのことだ。

 CTCでは、このデジタルツインソリューションを製造や物流といった分野を中心に展開する考えで、1年間で10社への提供を目標としている。