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富士通研究所、不審行動など人のさまざまなな行動を映像から認識するAI技術を開発

 株式会社富士通研究所と富士通研究開発中心有限公司(以下、FRDC)は25日、大量の学習データを準備しなくても、映像から人のさまざまな行動を認識するAI技術「行動分析技術 Actlyzer」を開発したと発表した。

 行動分析技術 Actlyzerは、歩く・首を振る・手を伸ばすといった人の基本的な動作をあらかじめ学習して認識できるようにしておき、それを組み合わせることで、不審行動や購買行動といった人の複雑な行動の認識を可能にするAI技術。

 近年のAI技術の進歩に伴い、ディープラーニングによって映像から人の行動を認識することが可能となってきているが、たとえば不審行動を認識するためには、その行動が含まれる映像を大量に準備する必要があることや、複数の動作が組み合わされて構成され、パターンも多様に存在する複雑な行動となることなどから、現実的に認識することができなかったという。

 開発した技術では、複雑な行動を構成する要素となる約100種類の基本動作を独自に定義し、このすべての基本動作をディープラーニングにより認識する。あらかじめ大量の映像データから認識したい基本動作を学習することで、約100種類の基本動作を平均90%以上の精度で認識でき、歩いている・走っているという基本動作のほか、たとえば首を右に回す、首を左に回す、顔を上に傾ける、顔を下に傾けるといった細かい基本動作においても、それぞれ高精度に認識できる。

 さらに、基本動作の組み合わせや順番、発生場所、行動の対象などを指定することで、不審行動のような複雑な行動を認識できる技術を開発。たとえば、扉の前にいる、座る、鍵穴を見る、鍵穴に手をあてる、といった基本動作の組み合わせとその発生場所および行動の対象を指定することで、不審行動として認識できるようになる。首を左右に回してあたりを見回すなどの条件の追加や、各行動の継続時間の指定により、認識の精度を調整することが可能となる。

 屋内や屋外で撮影された21種類の映像データを使って、検出したい8種の不審行動(家の様子を伺う、凶器を振り回すなど)を認識する実験では、すべての不審行動が認識できることが確認されたという。この8種の不審行動を検出するための基本動作の組み合わせのルール作りは1日で作成できたため、ユーザーは1日の評価実験だけで同技術の現場への適用可否が判断できるとしている。

 また、技術は不審行動に限らず、店舗での来店客の購買行動の分析、店員の応対動作の確認、製造現場での作業時間測定や作業手順の確認など、さまざまな業種・業務において映像から人の行動を認識し、業務品質の向上や効率化にも活用できるとしている。

 富士通研究所では、技術は実際の現場での実証を終えており、さまざまな分野において提供可能で、富士通株式会社のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」のZinrai活用支援サービスとしても実用化を目指すとしている。