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経済性と高密度を両立――、デル テクノロジーズの新オブジェクトストレージ「ECS EX500」

 デル テクノロジーズ(デル株式会社およびEMCジャパン株式会社)は1日、エンタープライズ向けオブジェクトストレージ「Dell EMC ECS」アプライアンスシリーズの最新版となる「ECS EX500」を発表した。

 ECS EXシリーズには、エントリーモデルで最小ラック構成が60TBからとなる「EX300」と、大容量モデルで最大8.6PBのラック構成が可能な「EX3000」が用意されている。

 今回新たに発表したEX500は、これらのモデルの中間的位置づけとなり、480TBから4.6PBまでの構成が可能。Dell Technologies USD事業本部 APJ・中国担当プリセールスディレクターのペ ヨンジュン(YongJoon Bae)氏は、EX500が「経済性と高密度を両立させたものだ」と述べている。

ECS EXシリーズ
ECS EXシリーズ各製品のポジショニング

 「EX500は、既存のワークロードとクラウドネイティブアプリケーションの双方に対応する。アーカイブ領域の統合やアプリケーションのモダナイゼーション、クラウドネイティブアプリの開発などに最適だ」(ペ氏)。

Dell Technologies USD事業本部 APJ・中国担当プリセールスディレクター ペ ヨンジュン氏

 EX500は、同社の最新サーバー「Dell EMC PowerEdge R740XD2」をベースとしたアプライアンスとなっており、CPUにはデュアル インテルXeon Silver 10コア 2.2GHz 85Wプロセッサを搭載、ネットワークインターフェイスは25Gigabit Ethernet(GbE)に対応している。1ノードに最大24ドライブが搭載可能で、ノードの追加は1ノード単位から対応。HDDの容量は8TBまたは12TBから選択できる。

ECS EX500について

 デル テクノロジーズ(デル)UDS事業本部SE部 アドバイザリシステムエンジニアの杉本直之氏は、「PowerEdgeがベースとなっていることから、従来のサーバーラックが利用できる。既存製品のEX300とも同一のラック構成、スイッチ構成となっており、経済的かつシームレスに拡張が可能だ」と説明する。

デル テクノロジーズ(デル)UDS事業本部 SE部 アドバイザリシステムエンジニア 杉本直之氏

 またデル テクノロジーズでは同時に、ECS向けソフトウェアの最新版となる「ECS 3.4」も発表している。新版では、データ保護やセキュリティ法規制に対応したほか、モニタリングレベルを詳細化するなどしてデータ視覚化機能を向上している。さらに、オブジェクトあたりのメタデータのオーバーヘッドを削減し、利用可能な容量を増加させることで、ストレージの効率性も向上しているとのこと。

 ECS EX500とECS 3.4の価格は6350万円(税別、標準的な保守・導入作業費用込み)から。同日より提供開始する。

ソフトウェアの新バージョンとなるECS 3.4

ECSでコスト削減を実現したNTTぷらら

 発表会には、すでにECSを導入して効果を実感している株式会社NTTぷらら 技術本部 ネットワーク管理部マネージャーの大橋峰延氏も登壇し、ECSの活用事例を紹介した。

NTTぷらら 技術本部 ネットワーク管理部マネージャー 大橋峰延氏

 NTTぷららでは、22億ファイル分の配信用映像データをパブリッククラウドのAzure Blob Storage上に保存していたが、コストや運用管理品質などに課題を抱えていたという。そこで、スケーラビリティや配信の信頼性、プラットフォームの汎用性および拡張性などの要件を満たすストレージとしてECSを選択、総所有コストの削減に成功した。

 大橋氏は、クラウドストレージよりもオンプレミスのストレージのほうが安価になることが多いケースとして、3つの条件を挙げている。

1.すでにある程度の容量を抱えていて今後のスケールの予測がつくこと
2.インターネットに出ていくトラフィックが多いこと
3.今後3~5年はサービスの継続を考えていること

 これらの条件でECSとAzureの総コストを比較すると、ECSのコストが下回っていたという。

 同社が導入したのはECS U2800。ストレージ容量は2.88PBで、2つの拠点に1セットずつ設置、22億オブジェクトを管理している。大橋氏によると、ECSの購入費用とデータ移行コストは移行後1年ほどで回収できる予定だという。

 今後は空き容量を有効活用し、「画像データおよびウェブコンテンツ用の統合リポジトリとしてストレージ利用を最適化したい」(大橋氏)としている。