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IDC Japan、国内の企業向けモバイルセキュリティ市場とクラウドセキュリティ市場調査を発表
2019年9月6日 15:06
IDC Japan株式会社は4日、国内の企業向けモバイルセキュリティ市場とクラウドセキュリティ市場に関して、2019年から2023年までの予測を発表した。
このうち国内の企業向けモバイルセキュリティ市場(国内モバイルエンタープライズセキュリティ市場)は、2018年~2023年の年間平均成長率(CAGR)が11.4%で推移し、市場規模(売上額ベース)は2018年の82億円から、2023年には141億円に拡大すると予測している。
現在では、2020年の東京オリンピック/パラリンピックの開催に向け、公衆Wi-Fi環境の整備が進んでおり、モバイル環境におけるWi-Fi通信での盗聴やハッキングなどのセキュリティ脅威が高まってきているという。同社では、こうした状況を受け、データ暗号化通信やウイルス対策、モバイルデバイスでのコンテナ化やファイル暗号化といった、情報漏えい対策に対する需要が拡大するのではないかと指摘している。
一方、国内クラウドセキュリティ市場は、2018年~2023年のCAGRが19.1%で推移し、市場規模(売上額ベース)は2018年の114億円から2023年には273億円へ拡大すると予測した。
この要因としては、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、社内/社外にかかわらず、さまざまなエンドポイントデバイスからクラウドサービスを通じて情報資産を活用する機会が増えるため、クラウド環境へのセキュリティ対策需要が高まることが挙げられている。
また、政府が「クラウド・バイ・デフォルト」原則により、官公庁および地方自治体でのパブリッククラウドの利活用を促進させようとしており、その一環として、クラウドサービス提供事業者に対する安全評価基準プログラムの日本版FedRAMP(Federal Risk and Authorization Management Program)の創設や、デジタルファースト法案の整備を進めている。IDC Japanでは、こうした背景により、官公庁や地方自治体に加えて、一般企業においてもパブリッククラウド利用が加速するとみているとのこと。
なお、IDC Japan ソフトウェア&セキュリティのリサーチマネージャー 登坂恒夫氏は、「モバイルセキュリティやクラウドセキュリティのソリューションを提供するサプライヤーは、モバイルデバイスからクラウドサービスを安心安全に利用するためにクラウドサービスへの暗号化通信やアクセス管理など、モバイル環境とクラウド環境の両方に対するセキュリティソリューションの統合化を図るべきである。これによって、企業や組織におけるモバイルデバイスを経由したクラウドサービス利用時の情報漏えい対策の強化が図れる」と指摘している。