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IDC Japan、国内企業向けモバイル/クラウドセキュリティ市場予測を発表

 IDC Japan株式会社は18日、国内の企業向けモバイルセキュリティ市場とクラウドセキュリティ市場の2020年から2024年までの予測を発表した。

 IDC Japanでは、企業向け国内モバイルセキュリティソフトウェア製品市場を「国内モバイエンタープライズセキュリティ市場」、SaaSやPaaS、IaaSのパブリッククラウド環境に対するセキュリティソフトウェア製品市場を「クラウドセキュリティ市場」として、市場規模算出/市場予測を行っている。

 国内モバイルエンタープライズセキュリティ市場の2019年~2024年の年間平均成長率は8.4%で、市場規模(売上額ベース)は2019年の92億円から2024年には138億円に拡大すると予測している。

 同市場の拡大については、政府が進めている働き方改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展、さらに新型コロナウイルス感染症によるリモートワークの普及拡大により、企業でのモバイルデバイスの利用が拡大することで、モバイルデバイスを標的とするマルウェア対策だけでなく、モバイルアプリケーションへのアクセス管理や生体認証や、リスクベース認証などを組み合わせた多要素認証といったモバイルアイデンティティ/アクセス管理、モバイルアプリケーションの脆弱性管理への需要が拡大すると予想している。

 国内クラウドセキュリティ市場の2019年~2024年の年間平均成長率は14.6%で、市場規模(売上額ベース)は2019年の137億円から2024年には272億円に拡大すると予測している。

 同市場の拡大についても、全社員の在宅勤務など会社全体でリモートワークを実施する機会が増加したことで、VPN経由での社内ネットワークの負荷が高まり、業務効率が低下することが顕在化していると指摘。さらに、社外から直接インターネットにアクセスする「ローカルブレイクアウト」によるパブリッククラウドの利用が加速し、パブリッククラウドサービスへのアクセスコントロールであるクラウドシングルサインオンやクラウドセキュリティゲートウェイソリューションによるセキュリティ対策がさらに拡大すると予想している。

 また、クラウド環境の利用が加速することで、柔軟な分散アプリケーション環境を実現するために、コンテナ化されたクラウドネイティブアプリケーションの開発/展開/運用が拡大すると予想しており、コンテナ環境上で動作するアプリケーション監視やアクセス制御、コンテナ管理へのアクセス管理といったコンテナ環境へのセキュリティ対策もクラウドセキュリティの重要な要素になると分析している。

 IDC Japanでは、リモートワークの増加などを受け、モバイル環境とクラウド環境の両面において外部脅威対策だけでなく、脆弱性管理やセキュリティポリシーの一元管理、アクセス管理など総合的なセキュリティ対策が必要になると指摘。IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの登坂恒夫氏は、「ソリューションサプライヤーは、総合的なセキュリティソリューションの機能を集約し一元的に管理、運用できる集約型のセキュリティリューションを提供すべきである。これによって、企業はモバイルデバイスからインターネット回線経由で直接パブリッククラウドサービスを利用した場合においてもセキュリティが強化され、業務効率と運用効率の向上を図れる」と述べている。

国内モバイル/クラウドセキュリティ市場 製品セグメント別 売上額予測、2017年~2024年(出典:IDC Japan)