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NEC、既存システムと最新システムを組み合わせた“ITのハイブリッド化"をさまざまな製品で支援

アプリのマイクロサービス化を支援する製品を提供、HCIや統合運用製品の強化も

 日本電気株式会社(以下、NEC)は22日、ITシステムのモダナイゼーションを支援する“ハイブリッドIT”製品群として、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品「NEC Hyper Converged System」の強化、マイクロサービス化支援ツールの製品化などを行い、順次提供開始すると発表した。

 現在、多くの企業では、日々変化するビジネス環境へ対応するため、最新のデジタル技術を活用し、既存の業務をさらに効率化したり、以前から蓄積してきた情報資産を有効活用し、新たな事業やサービスを創出したりすることが求められるようになった。このためITシステムについても、既存システムと最新技術を取り入れたシステムを組み合わせたハイブリッドIT化が求められているとのことで、今回新規で提供、あるいは強化される製品群は、こうしたハイブリッドITの実現を支援するための製品となる。

HCI製品の導入期間を短縮

 その中で、まずはITインフラ製品として、すでに提供されているHCI「NEC Hyper Converged System」の強化を実施する。インフラの検討・構築フェーズを短縮するため、サイジング構成や導入・運用設計といったサービスを製品とセットで提供するほか、必要とされるコンポーネントをあらかじめ導入して提供することにより、導入期間を最大70%短縮するという。

 さらに、NEC独自の管理ツール「NEC Hyper Converged System Console」に、直観的なGUI操作機能や、運用作業を自動化できる機能を搭載した。例えば、障害予兆検知機能による業務停止回避やシステムの利用状況レポート作成時間を、8時間から約30分に削減するなど、運用管理の効率化を実現するとしている。

GUIを用いたダッシュボード画面のイメージ

 また、HCIにはさまざまなハードウェア/ソフトウェアが導入されているが、これらのコンポーネントのバージョン管理・更新はユーザーにとって大きな負担になっているという。そこで、パッケージによる包括的な更新管理を行えるようにNECが支援する、新たなサポートサービスをラインアップした。これにより、パッチ管理・適用工数を約67%削減できるとのことだ。

 機能強化されたNEC Hyper Converged Systemの価格は、811万6300円(税別)から。9月17日の出荷開始を予定している。

 このほか、x86サーバー「Express5800シリーズ」の保守契約者向け「サーバ診断カルテサービス」においても、過去のリソース稼働状況との比較機能を追加し、リソース不足によるトラブルや業務停止の予兆傾向の可視化が可能になった。こちらは保守サービス契約に含まれており、9月末から提供される。

アプリ環境のマイクロサービス化を支援

 昨今では、新たなサービスやビジネスモデルを迅速に立ち上げるために、アプリケーション環境のマイクロサービス化が普及してきた。しかし、マイクロサービス化を実現するためには、プログラムソースコードの分析に多大な工数が必要とされており、企業にとってはこれが大きな負担になっているという。

 そこでNECは今回、アプリケーションのマイクロサービス化対象候補を切り出す際に、調査・設計作業効率化を支援する「SystemDirector Microservice Toolkit」と、コンテナ運用管理の省力化を実現する「NEC Workload Manager for Container Platform」を製品化した。

 このうちSystemDirector Microservice Toolkitでは、COBOLやJavaなどのシステムを対象に、データベースへのアクセスや、複数のプログラムにまたがるフローの呼び出しを可視化することにより、プログラムのソースコード分析にかかる工数を省力化可能。マイクロサービス化の対象候補切り出しにおいて、検証作業を約60%削減できるという。

 価格は42万円(税別)からで、8月22日より提供開始する。

 一方のNEC Workload Manager for Container Platformは、運用管理ルールを定義したテンプレートをもとに、監視・操作条件を入力するだけで、高度な知識が要求されるコンテナの運用業務を効率化可能。あわせて、Webブラウザ上でコンテナの構成履歴や稼働状況などの確認も行えるとのこと。

 価格は101万2000円(税別)からで、8月22日より提供開始する。

NEC Workload Manager for Container Platformの画面イメージ

☆お詫びと訂正用囲み

【お詫びと訂正】

  • 初出時、NEC Workload Manager for Container Platformの画面イメージとして、別の画像を掲出しておりました。お詫びして訂正いたします。

 このほか、既存アプリケーションサーバー製品「WebOTX Application Server」も強化され、マイクロプロファイル仕様やフォールトトレラント機能に対応するなど、マイクロサービス開発の容易性を向上させている。価格は24万円(税別)から。

統合管理環境の強化

 NECでは今回、オンプレミス環境からクラウド環境までを包括的に管理できるツール「WebSAM」の強化も行っている。

 具体的には、「WebSAM SystemManager G」において、障害検知から復旧までの時間短縮を実現。「WebSAM JobCenter」では、ジョブ実行管理を効率化した。

 また「WebSAM vDC Automation」「WebSAM SigmaSystemCenter」では、セルフポータル画面を通じたリソース払い出しの自動化機能、Webブラウザベースでの利用申請/承認機能などを強化しているとのこと。

 なおNECでは、WebSAM vDC AutomationとWebSAM SigmaSystemCenterを用いると、クラウドサービス基盤において1顧客あたり運用コストを約50%削減できること、またWebSAM JobCenterでは、クラウド上での定常運用業務の自動制御部品提供を通じてクラウドサービス運用経費を約20%削減する効果があることを、それぞれ実証したとしている。