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ANA、「Oracle Procurement Cloud」を調達情報基盤として採用 グループ調達業務の可視化とガバナンス強化を図る

 日本オラクル株式会社は9日、全日本空輸株式会社(以下、ANA)が、SaaS型調達管理システム「Oracle Procurement Cloud」を導入したと発表した。ANAでは、間接材を中心としたグループ調達業務の可視化とガバナンスの強化を目的として同サービスを採用している。

 ANAでは、グローバルな事業環境のさらなる変化に対応できる体質強化と攻めのスピード経営を支える施策として、2015年に調達改革プロジェクトを立ち上げており、以下の3つを課題としていた。

・調達業務全体を見える化する仕組みが必要なこと
・関連規定の整備とそれを順守する仕組みが必要なこと
・調達コストの最適化に向けた組織横断的な推進体制が必要なこと

 また、これら3つの課題解決を同時進行することともに、調達コストの削減、調達構造のQCD(品質・コスト・デリバリ)の向上も目指すことになり、これを実現する基盤として、Oracle Procurement Cloudの採用を決定。2019年1月よりシステムが稼働開始したという。

 採用にあたっては、見積もりから、検収、支払い、在庫管理、調達分析に至るまでの一連の処理をシームレスにカバーできる点、また役務サービス系の購買にも対応しているなど、ANAグループの調達業務に適合している点や、多言語・多通貨に対応しており、多くのグローバル企業で実績のある点などを評価。

 さらに、実際の使い勝手やUIを確認し、初期導入コストや運用コストも含めたTCOを考慮した結果、総合的にOracle Procurement Cloudをより高く評価し、採用を決めたとした。

 また、将来的に頻繁なバージョンアップが予想され、IT部門やベンダーのサポートが発生するオンプレミス型より、ユーザー部門だけで維持できるSaaS型システムが最適であるとも判断している。

 なお、新システムの稼働によって購買行動が可視化できる環境が整備されたことで、見える化を達成。従来はあいまいだったワークフローでの承認ルールが、全購買業務で明確化され、ガバナンス強化とコンプライアンス順守を実現したとのこと。

 このほか、購買データの可視化と分析によって、より戦略的な調達が行える素地(そじ)ができた点もメリット。企業グループ全体でのコスト削減を目指す取り組みでは、国内外の購買実績データを一元的に集約し、見積もり段階からのコスト抑制を志向する、サプライヤーやベンダーとの密な協業体制を築く契機になったとしている。

 加えてANAグループでは、Oracle Procurement Cloudが持つベストプラクティスに沿って業務プロセスも刷新した。こうした業務プロセスの標準化、主要部署やグループ各社へのトレーニングなどについては、日本オラクルのコンサルティングチームが支援を行っているとのことだ。

 今後は、まだ新システムが適用されていない海外88拠点にも展開し、グループ全体の調達改革を進める考え。あわせてOracle Procurement Cloudの調達情報基盤を活用した購買データの分析により、適正在庫を見極めながら継続的なPDCAサイクルを回し、個社ごとの個別最適ではなくグループ全体最適の調達改革を推進することで、間接財の調達コストのうち約5%の削減を見込んでいる。