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ニュータニックス、「.NEXT Conference 2019」の発表内容について説明会

エンタープライズクラウドに向けて製品ポートフォリオを大幅アップデート

 ニュータニックス・ジャパン合同会社(ニュータニックス)は21日、記者説明会を開催。5月7日から3日間、米国アナハイムで行われた年次ユーザーカンファレンス「.NEXT Conference 2019」に関して、国内のプレスへの解説を行った。

 この説明会では、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)を中核にエンタープライズクラウドへと向かう同社の製品ポートフォリオについて、「.NEXT Conference 2019」で発表されたさまざまなアップデートの内容を報告している。

 ニュータニックス コーポレートバイスプレジデント兼社長の町田栄作氏は、冒頭のあいさつで「.NEXT Conference 2019」の概要について、「ニュータニックスは、今年で創業10周年を迎える。この節目の年に行われた今回のカンファレンスには、全世界から5800人以上が登録し、日本からも200人以上が参加した。スポンサー企業は、パートナーエコシステムの拡大によって、昨年に比べて倍近い数の約90社となった。カンファレンスの中では、新たに提供するものから開発中のものまで、さまざまなソリューションが発表された」と述べた。

 「日本でのイベントとしては、今年、規模を拡大し、9月13日に『.NEXT Japan 2019』を東京で開催する。また、これを皮切りに大阪、名古屋、福岡、札幌の全国4か所でツアーを展開していく予定だ」と、国内でのイベント展開について紹介した。

ニュータニックス コーポレートバイスプレジデント兼社長の町田栄作氏

 そして、ニュータニックス テクニカルエバンジェリストの島崎聡史氏が登壇し、「.NEXT Conference 2019」で発表されたアップデート内容の報告を行った。現在、ニュータニックスでは、エンタープライズコンピューティング環境をインビジブルにすることをコンセプトに掲げ、これを実現するために「コア」「エッセンシャルズ」「エンタープライズ」という3ステップの製品ポートフォリオを展開している。

ニュータニックス テクニカルエバンジェリストの島崎聡史氏

 島崎氏は、「ファーストステップの『コア』は、基盤となるHCIの領域。『エッセンシャルズ』は、HCIの次のステップとして、インフラのインビジブル化を図る領域。そして『エンタープライズ』は、さらなるインビジブル化に向けて展開する最新のエンタープライズクラウド領域となる」と、製品ポートフォリオの概要について説明。領域ごとに、「.NEXT Conference 2019」で明らかになったアップデートのサマリーを紹介した。

ニュータニックスの製品ポートフォリオ

 コア領域では、HCIの継続的なイノベーションに取り組んでおり、「Nutanix AOS」の新たなアーキテクチャとして「Autonomous Extent Store(AES)」を発表したという。「『AES』は、書き込み負荷の高いミッションクリティカルワークロードを想定したアーキテクチャ。NVMeやRDMA、不揮発メモリなど次世代の高速ハードウェアを見据え、メタデータの配置を変更している。これにより、実際にヘルスケアシステムのアプリケーションにおいて、最大2倍の秒間トランザクション数とレイテンシー低減を実現した」(島崎氏)としている。

「Autonomous Extent Store(AES)」の概要

 エッセンシャルズ領域では、バックアップ&アーカイブのワークロードに対応する新たなプラットフォームとして「Nutanix Mine」が発表された。「Nutanix Mine」は、データ保護に最適化されたプラットフォームで、プライベートクラウド環境においてプライマリストレージとセカンダリストレージの運用を可能にするという。

 「オープンプラットフォーム戦略を採用し、Veeam、HYCU、Commvault、Veritas、Unitrendsといったデータ保護ソリューションのパートナーと連携して展開していく。まずは、Veeam版とHYCU版を今年後半にリリースする予定だ。提供形態は、『Nutanix Mine』向けに最適化したスモールタイプとミディアムタイプの2種類のハードウェア構成を用意し、アプライアンスとして提供していく」(島崎氏)と説明した。

「Nutanix Mine」のダッシュボード画面(ベータ版)

 このほか、エッセンシャルズ領域におけるアップデートとして、「Nutanix Files」に分析機能を追加し、データの増加とストレージ消費、異常検知、検索および監査機能を提供する。また、S3互換のオブジェクトストレージを実現する製品「Nutanix Buckets」を新たにリリースすることも発表された。同製品では、数億単位のオブジェクトを、複数のロケーションにまたがって格納することが可能になるという。

 エンタープライズ領域のアップデートについては、「データベースサービス『Nutanix Era』において、『データベースへのワンクリックパッチ適用』および『RBAC(ロールベースアクセス制御)』を追加した。また、マルチクラウド対応DaaSプラットフォームの『Nutanix Xi Frame on AHV』が正式リリースされ、VDIの稼働場所としてAWS、Azureに続き、Nutanix AHVが追加された。さらに、ディザスタリカバリサービス『Nutanix Xi Leap』では、日本、ドイツ、イタリアに新たなアベイラビリティゾーンを開設した」(島崎氏)と報告した。

 また、IoT/エッジプラットフォーム「Xi IoT」において、「Xi IoT App Library」「Xi IoT Cloud Instance」「Xi IoT Sensor」の3つのコンポーネントを新たにリリースするという。「Xi IoT App Library」は、サードパーティのIoT向けアプリケーションをライブラリから簡単に利用可能にするもの。「Xi IoT Cloud Instance」は、「Xi Edge」と同じOSをクラウド上のインスタンスとして提供する。「Xi IoT Sensor」は、スマートフォンをIoTカメラとして利用するアプリとなっている。

「Xi IoT」でリリースされる新たなコンポーネント

 さらに今回のカンファレンスでは、自律型データセンターの実現に向けて、エッセンシャルズ領域とエンタープライズ領域を連携したアップデートについても発表された。

 Nutanix AHV向けのネットワークセキュリティ製品「Nutanix Flow」では、Xi Epochのエンジンを組み込むことで可視化と運用性を強化するとともに、Active Directory連動のセグメンテーションによりVDIのセキュリティを担保する。

 コスト&コンプライアンス管理製品「Xi Beam」では、クラウドだけでなく、オンプレミスのNutanixについてもコンプライアンス管理の機能を提供する。

 インフラ管理製品「Prism Pro」では、Application-Aware Sensorsによるアプリケーション観点のメトリック収集・分析機能を提供するほか、コーディング不要で運用自動化を実現する機能「X-Play」を新たにリリースする。

 自動化&オーケストレーション製品「Nutanix Calm」では、マイグレーションツールのNutanix Moveをビルトインし、AWS上に展開したアプリケーションをオンプレミス環境に一括マイグレーションできるようにしたという。

 なお、最後に島崎氏は、Nutanixの機能全般を利用できるテスト向け製品「Xi Test Drive」と、Amazon EC2ベアメタルインスタンス上でNutanixクラスタを稼働できる製品「Xi Clusters」を現在開発中であると紹介した。