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ニュータニックス、Enterprise Cloud OSのソフトウェアライセンス販売を開始

国内主要パートナー9社との協業プログラムも発表

 米Nutanixは27日、日本市場において、Enterprise Cloud OS単体のソフトウェアライセンス販売を開始すると発表した。また、これにともない、国内主要パートナー9社とEnterprise Cloud OSのサブ・ライセンス権許諾契約を締結した。

 この発表を受け、ニュータニックス・ジャパン合同会社(ニュータニックス)では同日、記者説明会を開催し、国内でのEnterprise Cloud OSの販売推進に向けたパートナー協業プログラムについて説明したほか、パートナー企業各社が協業への抱負を語った。

写真左から:日立システムズの桑原俊夫執行役員、ネットワールドの遠藤孝之常務、日商エレの岡村昌一社長、東京エレクトロンデバイスの徳重敦之社長、TISの佐藤祐次常務執行役員、ニュータニックスの町田栄作社長、ソフトバンクコマース&サービスの高瀬正一取締役、兼松エレクトロニクスの鈴木勝人取締役、NECフィールディングの三上理取締役、伊藤忠テクノソリューションズの寺田育彦常務執行役員

 Nutanixは従来、Enterprise Cloud OSを組み込んだアプライアンス型のNutanix NXシリーズを販売するとともに、Dell EMC XCシリーズ、Lenovo ThinkAgile HXシリーズ、IBM Hyperconverged Systems powered by Nutanix向けにOEMライセンス販売を行ってきた。

 今回、Enterprise Cloud OS単体のソフトウェアライセンスの販売を開始することで、大規模システムの構築を柔軟なライセンス価格で実現できることに加え、Enterprise Cloud OSを基盤とするホスティングサービスやコンサンプションサービスの展開など、パートナー企業各社のさまざまなサービスモデルに対応することが可能となった。

Enterprise Cloud OSの概念図

 また、今後、多様化する国内での顧客ニーズに柔軟に対応するため、HP ProLiantサーバー、Cisco UCSサーバー、Dell PowerEdgeサーバーを対象にEnterprise Cloud OSの動作を保証し、保守サービスを提供する。これにより幅広いハードウェアプラットフォーム上で、Enterprise Cloud OSを使用できるようになる。

 ニュータニックス コーポレートマネージングディレクター兼社長の町田栄作氏は、「Enterprise Cloud OSは、インフラに依存しない、ソフトウェアの選択肢を拡張することをコンセプトとした、アプリケーション中心のフルスタックソリューションだ。スケーラブルなアーキテクチャで、複数のハイパーバイザとパブリッククラウドをサポートし、単一のOSと管理画面でマルチクラウドを管理することができる。今回のOS単体での販売開始により、オンプレミスからプライベート、パブリックまでワークロードが縦横無尽に動く新しいクラウドの姿を、パートナー企業とともに模索していく」との考えを述べた。

ニュータニックス・ジャパン コーポレートマネージングディレクター兼社長の町田栄作氏

 Enterprise Cloud OS単体での販売開始にともない、日本国内で新たに展開するライセンス形態は、「Enterprise Purchase Agreement」、「Volume Purchase Agreement」、「Hosting Service Agreement」、「Consumption Service Agreement」の4つ。

 このうち「Enterprise Purchase Agreement」は、Enterprise Cloud OSのライセンスを広範囲に使用するユーザー、および複数年にわたりシステムの拡張を予定しているユーザー向けのライセンス。

 「Volume Purchase Agreement」は、Enterprise Cloud OSのライセンスの特定した機能を使用するユーザー、および単年度で予定している拡張の規模が予想されているユーザー向きのライセンスとなる。

 「Hosting Service Agreement」は、ホスティングサービス事業者向けの付帯契約で、この付帯契約を完了することにより第三者へのサービス提供が可能となる。

 「Consumption Service Agreement」は、コンサンプションサービス事業者向けの付帯契約で、この付帯契約を完了するにより第三者へのリースおよびレンタルサービス提供が可能となる。

 さらに同社では、今後、より幅広いハードウェアプラットフォーム環境でのEnterprise Cloud OSの導入を促進するため、新たなパートナー協業プログラム「Nutanix Elevate Program」を国内で開始することを発表した。

 同プログラムでは、パートナー各社に動作自動検証ツール、開発ツールなどを提供し、共同で国内での動作検証を実施する。また、Enterprise Cloud OSの動作保証、保守サービスも提供する。これにより、エンドユーザーはさらに幅広いハードウェアプラットフォームから選択できるようになる。

 町田氏は、「現在、国内では年間約50万台のサーバーが出荷されているが、その約60%を1ソケット/2ソケットのラックサーバーが占めている。当社では、ハイパーコンバージドインフラ市場に加えて、このラックサーバー市場もEnterprise Cloud OSのターゲットになると考えており、パートナー各社との協業プログラムを通じて、従来の3階層システムからのリプラットフォームを促進していく」と、国内での拡販に向けた方針を示した。

 なお、今回Enterprise Cloud OSのサブ・ライセンス権許諾契約を締結したのは、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、NECフィールディング株式会社、兼松エレクトロニクス株式会社、ソフトバンクコマース&サービス株式会社、TIS株式会社、東京エレクトロンデバイス株式会社、日商エレクトロニクス株式会社、株式会社ネットワールド、株式会社日立システムズの9社となる。説明会では、各社の代表者が出席し、協業での役割や今後の販売展開などについて説明した。

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC) 情報通信事業グループ担当役員/常務執行役員の寺田育彦氏は、「当社では、豊富なサーバーを中心としたITインフラの販売で多くの実績を持っている。その中で、ハードウェアとソフトウェアが分離された今回のEnterprise Cloud OSは、当社の既存顧客だけでなく新規顧客に対しても、柔軟なシステム提案が可能になると考えている。また、CTCグループで注力しているASEAN地域に向けても積極的に展開していく」と述べた。

CTC 情報通信事業グループ担当役員/常務執行役員の寺田育彦氏

 NECフィールディング 取締役 執行役員常務の三上理氏は、「当社は、現場に最も近い保守サポート企業として60年以上の実績があり、全国約400拠点から24時間365日対応でサービスを提供している。こうした強みを生かし、今後、Nutanix認定サポートパートナーとして、Nutanixや周辺システムとともに、保守サポートをワンストップで提供していく」とした。

NECフィールディング 取締役 執行役員常務の三上理氏

 兼松エレクトロニクス 取締役 システム本部長兼ビジネス開発本部長の鈴木勝人氏は、「当社は、以前から仮想基盤やVDI基盤などの構築にNutanix製品を扱っており、多くの企業に導入実績がある。昨年には、Nutanixのソフトウェア製品について販売強化を発表している。今回の協業プログラムでは、当社がワンストップで保守対応できるハードウェアプラットフォームの上にEnterprise Cloud OSを実装することで、さらに加速するビジネス変化に適応できるインフラ環境を顧客に提供していく」と語った。

兼松エレクトロニクス 取締役 システム本部長兼ビジネス開発本部長の鈴木勝人氏

 ソフトバンクコマース&サービス 取締役の高瀬正一氏は、「Nutanix製品は、3年ほど前から最注力プロダクトとして販売展開しており、今年は昨年に比べて約3倍の売上を達成している。今回のEnterprise Cloud OSでは、サーバーハードウェアの選択肢がさらに広がったことに加えて、新たなライセンス形態によりレンタルやリースでの提供も可能となった。これは、エンドユーザー視点に立った協業プログラムであり、今後もNutanix製品を中心に、顧客のニーズに合った柔軟なシステムを提案していく」と述べた。

ソフトバンクコマース&サービス 取締役の高瀬正一氏

 TIS 常務執行役員 プラットフォームサービス本部長の佐藤祐次氏は、「Enterprise Cloud OSのソフトウェアライセンス販売が始まることで、今後は当社のビジネスモデルも変わってくると考えている。ソフトウェアとハードウェアの分離調達により、ITプラットフォームの柔軟な選択が可能となり、当社クラウドサービスのさらなる競争力向上が期待できる。そして、従来までのシステム中心のサービスではなく、アプリケーションを中心に見据えた高付加価値のクラウドサービス基盤の提供を検討していく」とした。

TIS 常務執行役員 プラットフォームサービス本部長の佐藤祐次氏

 東京エレクトロンデバイス 代表取締役社長の徳重敦之氏は、「当社では、Nutanix製品に対する技術サポート力と、多数の構築実績を生かし、パートナー企業とともにEnterprise Cloud OSの販売を促進していく。具体的には、AHVのシェア拡大を図るほか、国産サーバーメーカーやHPEとの連携によるソフトウェアビジネスを推進する。さらに、製造業におけるIoTやAIなど利用形態に合わせた新しいビジネスモデルも開拓していく」との考えを示した。

東京エレクトロンデバイス 代表取締役社長の徳重敦之氏

 日商エレクトロニクス 代表取締役社長CEOの岡村昌一氏は、「当社は、2012年に日本で初めてNutanix製品の輸入販売を開始し、大手金融機関や通信キャリアなどに1200ノードを超える導入実績を持っている。また、豊富なNutanixエンジニアによる高い技術力を有している。今後は、Enterprise Cloud OSのソフトウェアライセンスに、HPEを始めとした各社のサーバーハードウェアを組み合わせ、デジタルトランスフォーメーション時代に求められるハイパーコンバージド基盤を提案していく」と語った。

日商エレクトロニクス 代表取締役社長CEOの岡村昌一氏

 ネットワールド 常務取締役 営業本部長兼管理本部長の遠藤孝之氏は、「Enterprise Cloud OSのソフトウェアライセンスが提供されることで、企業が必要とするハイパーコンバージド基盤を、純正品やOEM製品に縛られることなく、あらゆるハードウェアプラットフォームに展開できるようになる。当社では、検証センター、キッティングセンター、AIセンターの3つの施設を強みとして、Nutanix製品の拡販に本気で取り組んでいく」と意欲を見せた。

ネットワールド 常務取締役 営業本部長兼管理本部長の遠藤孝之氏

 日立システムズ 執行役員の桑原俊夫氏は、「当社では、昨今のデジタライゼーションの潮流をとらえ、Enterprise Cloud OSとマルチハイパーバイザーを組み合わせた独自サービスの展開により、顧客とともに新たな価値創造を目指す。また、自社データセンターとの連携によって、運用・監視まで含めたトータルサービスを提供する。さらに、自社保守サービスにも展開し、顧客の現場起点でのビジネスイノベーションを、保守を含めてサポートしていく」と述べた。

日立システムズ 執行役員の桑原俊夫氏