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NutanixはなぜXi Cloud Servicesを提供するのか? 来日したネア プレジデントが戦略を説明

 ニュータニックス・ジャパン合同会社は11日、米Nutanixのスディーシュ・ネア(Sudheesh Nair)プレジデントが来日し、記者会見を開催した。米Nutanixは6月28日~30日(現地時間)の3日間、米国ワシントンD.C.で、同社の年次イベント「.NEXT Conference 2017」を開催したが、会見では、同イベントでの発表内容を中心に説明している。

3つのポイントを中心に説明

 ネア氏は、「.NEXT Conference 2017では、IoT領域への参入、(アプリケーション管理ツールである)Nutanix Calmの提供、Xi Cloud Servicesを通じたパブリッククラウドへの本格参入の発表という、3つのポイントがあった」と総括した。

米Nutanixのスディーシュ・ネア プレジデント

 IoTにおいては、「IoTでは、人とマシン、マシンとマシンをつなぐOSはあったが、IoTでは、その双方に対応する必要がある。IoTは、エッジとインテリジェントエッジに分けることができる。例えば、ドローンはエッジであり、ドローンを制御しているのがインテリジェントエッジである。リアルタイム処理はインテリジェントエッジで行われることになる。これをひとつのOSでカバーするのが、IoTに必要とされるEnterprise Cloud OSの姿であり、医療、金融、防衛、製造業において有効なOSになる」と述べた。

Enterprise Cloud OSの進化

 Nutanix Calmでは、マルチクラウド環境間でアプリケーションを自律的に管理できることを示しながら、「これからの時代は単にクラウドを活用するだけでなく、クラウドの自律性が大切になる。これは、VMを中心に見る時代から、アプリから見る時代への変化ともいえる。Nutanix Calmを活用することで、毎週金曜日に実行するアプリがあれば、木曜日の段階で、自動的にどのリソースを利用すればいいのかを決定できる。IT部門は、事前にSLAやコストを決定しておけば、どこで、どのアプリを運用するかを、自動的に振り分けることができる。クラウドでも、オンプレミスでも、どこでアプリが運用されていてもかまわない。これは競争力を高めるという点でも優位性につながる」などとした。

 また、米Nutanix 製品管理担当ディレクターのアンジャン・スリニバス(Anjan Srinivas)氏は、「Nutanixでは、これまでのインフラからの管理というポジションを離れて、アプリケーションレイヤーから管理を充実していくという進化を図った。その上で、重要なコンポーネントが、Nutanix Calmになる。アプリのオーケストレーションをよりインテリジェントに行えるのがCalmの特徴だ」と説明。

 さらに、「すでに出荷している主要なプラットフォームのすべてサポートしている。(同社の管理ツールの)Prismがあれば、Lenovo、Dell、HPE、Cisco、IBMのノードにオーケストレーションを行え、管理もできる。セルフサービスやガバナンス、アプリケーションライフサイクル管理、ハイブリッドクラウド管理といった点でメリットを提供できる。サービスのデリバリーもスピーディになり、インフラも運用もシンプルに行える。だが、これは汎用性のあるクラウド管理ツールというものではなく、アプリのデプロイ、オーケストレーションが最大の特徴になる」などと述べた。

米Nutanix 製品管理担当ディレクターのアンジャン・スリニバス氏
Prismによる統合管理を実現

 Calmでは、基本のインフラからアプリケーション環境を抽象化し、適切なワークロードに、適切なクラウドを推奨し、運用管理を行うことができる。使い勝手に優れたブループリントを通じて、アプリケーションを定義し、異なるクラウド環境へのプロビジョニング、管理、スケーリングが可能になる。

 また、マーケットプレイスの採用により、新たなビジネスへの活用においても、短期間での運用開始を可能にしているほか、Nutanix Enterprise Cloud OSのフルスタック機能を活用することで、AHVやESXi、Hyper-Vに加えて、Xi Cloud ServicesやAWS、Google Cloud Platform、Azureなどのパブリッククラウドも集中管理できる。

Xi Cloud Servicesによるクラウド戦略

 そして、パブリッククラウドへの本格参入では、Xi Cloud Servicesの提供を開始することについて触れた。

 Xi Cloud Servicesは、Nutanix Enterprise Cloud Platformと同一のツールと、同等のサービス品質を保持した、同一のインフラスタックによって開発されたターンキー型クラウドサービス。

 米Nutanixのネア氏は、「まずは、Disaster Recovery(DR:災害対策) as a Serviceとして提供する。これまでのやり方をまったく変えることなく、費用や複雑性を回避しながら、アプリケーションやデータなどを保護できる。VMwareとやることが似ていると言われるかもしれないが、Xi Cloud Servicesでは、Prismを通じて、エンドトゥエンドで管理でき、既存のワークフローに従い、しかもワンクリックで利用できる」などとした。

 そして、「これらの新たな発表によって、セキュリティ、管理性、モニタリングといった点で、Nutanixの進化がさらに図られることになる」とアピールしている。

まずはDRサービスとして提供

 また米Nutanixのスリニバス氏は、「Xi Cloud Servicesは、Nutanix Enterprise Cloud OSを、より拡張することを可能にしている。iPhoneでは写真のバックアップが簡単にできるように、Xi Cloud Servicesでは、まずはエンタープライズのデータやアプリを簡単にDRする機能を提供する。多くの企業がDRの重要性がわかっていながらも、いまは、コスト負担が大きく、複雑な選択しかないという状況にある。Xi Cloud Servicesは、Prismを通じて簡単に機能をオンにすることでき、企業が抱えるDRに対する課題を解決できる」とした。

 さらに、Google Cloudとの提携では、データセンター上で、Xi Cloud Servicesが運用されること、Calmのマーケットプレイスの拡大により、マルチクラウド環境に対応、Googleの機械学習や深層学習を活用できるといった機能を提供できるとした。

 Nutanix Calm for GCPによるワンクリックのハイブリッドオペレーションが可能であること、Nutanix Xi Cloud Services on GCPにより、Nutanixの顧客が、自社のデータセンター環境をネイティブにGCPへ連携拡張できること、Nutanix Enterprise Cloud OSとKubernetesの組み込みサポートにより、Enterprise Cloud内で、コンテナベースのアプリケーションの導入、管理、スケーリングが可能になることに加えて、IoT領域での協業に取り組むことも示した。

Googleとの提携

 なお、米Nutanixのネア氏は、「中国の竹は6週間で80フィートも成長するという。4年間は土の中で根を生やし続け、準備を進め、地中に出ると一気に成長する。エンタープライズテクノロジーはそれと変わらない。普及する前までに何度も試行を繰り返し、一気に普及することになる。AppleやTeslaも同様であり、Nutanixも同じだ。当社はコンピュートとストレージをソフトウェアで提供するHCIを提供し、Acropolisによって、データセンター間でのモビリティを提供し、エコシステムを提供するプラットフォームを提供する企業へと進化した」などと述べた。