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2018年の国内エンタープライズインフラ市場は前年比6.7%増の6785億円、IDC Japan調査
2019年5月23日 06:00
IDC Japan株式会社は22日、国内エンタープライズインフラにおけるシステムタイプ別市場規模とベンダーシェアを発表した。この調査におけるエンタープライズインフラ市場は、サーバーとエンタープライズストレージシステム(ExternalおよびStorage Expansionのみ)を合算した市場を指している。
2018年の国内エンタープライズインフラ市場は、前年比6.7%増の6785億円と推計。ベンダー別では富士通がシェア21.7%で1位となり、以下は、NEC、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)、デル、日立製作所、IBMの順となった。
上位ベンダー6社のうち、前年比プラス成長を達成したのは、富士通、HPE、デルの3社で、特にデルは前年比45.5%増と高成長を達成し、前年の7位から4位に上昇。デルの高成長は、デルとEMCの統合による顧客カバレッジ/製品カバレッジの拡大によってもたらされたと分析している。
国内エンタープライズインフラ市場のシステムタイプ別売上額構成比は、SoR(Systems of Record)が全体の41.0%、SoE(Systems of Engagement)/SoI(Systems of Insight)が12.3%、システム基盤プラットフォームと機器/装置制御システムを合算した「Other」が46.7%。前年比成長率は、SoRが4.7%増、SoE/SoIが11.9%増、Otherが7.2%増となった。
SoE/SoIが二桁パーセント成長した背景としては、DX関連の新規需要が厚みを増してきており、特にAIやML(Machine Learning)/DL(Deep Learning)関連での需要が寄与したと分析している。
また、システムタイプ別に国内エンタープライズインフラ市場を見ると、成長余力があるのはSoE/SoI向けエンタープライズインフラ市場で、配備モデル別に同市場を見ると、システムタイプに関わらず、トラディショナル(非クラウド)からクラウドへのシフトが進行しているとしている。
IDC Japanでは、これらの状況を踏まえると、ハードウェアからミドルウェア、アプリケーション、さらにはクラウドサービスなどを総合的に提供することが訴求ポイントとなる顧客層と、エコシステムを通してサーバーやストレージといったエンタープライズインフラを提供する方が適している顧客層とに分かれると指摘している。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャのグループマネージャーである福冨里志氏は、「総合ITベンダーを標榜してきたベンダーが、成熟した国内市場で両方の顧客層をターゲットとする場合、自社の提供する製品/サービスとエコシステムの他の参加者が提供するソリューションが競合するといった、相容れない部分がある。この点に対して従来よりも踏み込んだ戦略と実効性のある戦略遂行上の仕組み作りが求められる」と述べている。