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日立、工場向けの工程計画立案・管理システムを開発 割り込み作業も計画へ容易に組み込み可能に

 株式会社日立製作所(以下、日立)と株式会社日立パワーソリューションズは19日、多品種の産業機器を製造・メンテナンスする工場向けに、作業に最適な製品の配置を提案し、最適な工程計画を立案・管理するシステムを開発したと発表した。

 従来、工場における工程計画は熟練者の経験をもとに作成されてきたが、複数の製品を扱う場合や、作業途中で発生した割り込み作業を組み込む場合には、計画の変更が難しいという課題があった。また、工程計画が複雑となるため、生産管理者が現場の作業状況を把握しにくく、工場全体の作業量の適正化が困難だったとのこと。

 今回開発された工程計画・管理システムは、こうした課題を踏まえて開発されたもので、製品ごとの作業工程に必要なスペースを考慮した最適な製品配置の立案と、工場内に設置したカメラを用いて作業状況の検出を行うAI機能を備えている。

 具体的には、設備を使用するスケジュールを考慮しながら製品の配置を計画することにより、スペース不足による作業遅延をなくすアルゴリズムを構築し、作業時間がより短くなるよう、最適な工程計画を作成するスケジューリング技術を開発している。

 この技術を用いることで、製品や設備ごとの作業スケジュールを示すガントチャートと、製品の配置計画を示したレイアウト変化図を作成可能。工程計画を自動作成できるので、作業途中で発生した割り込み作業を容易に工程計画に組み込めるとした。

 一方のAI機能は、機械学習を用いて、カメラで撮影した映像データから製品番号や製品などを検出し、作業状況を把握できる画像認識技術をベースとしている。この機能を利用し、ガントチャートやレイアウト変化図と作業状況を比較することで工場内の進ちょく状況を見える化することにより、計画順守に向けた作業量と作業人員の適正化を図れるとのこと。

 なお、開発された技術を日立パワーソリューションズのメンテナンス工場に適用し、過去に行った作業データを用いて検証したところ、計画した作業日数を20%短縮できることを確認したという。

 日立と日立パワーソリューションズでは、この技術をLumadaのユースケースに位置付け、2019年度中のシステムの実用化を目指して取り組みを進める計画だ。