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NTTドコモビジネスなど4者、「Wi-Fi HaLow」を活用した漁場のモニタリングに関する実証実験を実施

 株式会社MizLinx、株式会社LAplust、公益財団法人ながさき地域政策研究所、NTTドコモビジネス株式会社(旧:NTTコミュニケーションズ株式会社)の4者は18日、長崎県五島市と連携し、「水産業務の効率化による持続可能な漁業の実現や藻場の生育状態の即時的な把握」を目的とした実証実験に成功したと発表した。

 実証により、920MHz帯の周波数を利用する通信手段「Wi-Fi HaLow(IEEE 802.11ah)」を活用した、漁場でのモニタリング環境を実現し、陸上からの出漁判断や養殖生け簀(いけす)の遠隔監視が可能になる。また、ウニの一種であるガンガゼの生息調査に、自律型水上ロボットを用いることで、時間と労力をかけない調査を実現するとしている。

 長崎県五島市では、定置網漁業や養殖業をキャリア通信が不安定な場所で実施している。このため、定置網内の魚の様子や周辺の異常などを実際に現場に行かないと把握できず、定期的に現場確認の船を出す必要があり、時間と労力をかけない効率的な確認方法が求められているという。

 また、ガンガゼなどの植食動物が海藻を過剰に摂食することで起こる磯焼けが広範囲で発生し、藻場の面積は年々減少傾向にある。磯焼けの対策としては潜水して植食動物を除去することが必要だが、ガンガゼの生息域を調査・駆除するには多大な労力がかかっている。

 こうした課題を解決し、漁業での労力やコストの削減と効率的な漁の実現のために、通信が不安定なエリアにおける遠隔モニタリングモデルの構築を目指し、実証を実施した。

実証のイメージ図

 実証では、MizLinxが開発した通信中継専用ブイにWi-Fi HaLowを搭載し、Wi-Fiの電波をホッピングさせることにより、陸上から1.5km離れた定置網設置箇所まで安定的に通信を確立させた。さらに、Wi-Fi HaLow経由で、「MizLinx Monitor」に設置したカメラを使った水中映像のリアルタイムモニタリング、および洋上と陸上間での音声や画像によるコミュニケーションに成功した。

 これにより、陸上で定置網内の状況を確認した上での出漁判断や、漁場から陸上への連絡に要する時間の短縮による漁港での水揚げ準備の効率化、平時および緊急時における情報共有の迅速化が期待されるとしている。

「Wi-Fi HaLow」の利用イメージ図
洋上に浮かべた「MizLinx Monitor」

 また、養殖生け簀周辺に高さ2mの監視カメラを設置することで、カメラ1台あたり生け簀4台の撮影を実現した。撮影した動画をLAplustが開発した画像認識AI「LA-Eye」で解析することで、魚のへい死や生け簀周辺の異常の検知に成功した。

養殖生け簀に設置した監視カメラ
AIによる異常解析システムの出力画面

 長崎県五島市にある水ノ浦湾では、ガンガゼの生息調査を1週間かけて湾内の一部のみで実施していた。今回、自律型水上ロボットを用いることで、2日間で水ノ浦湾全体の調査を完了することに成功した。これにより、ガンガゼの駆除範囲の拡大、および調査時間の短縮による漁業活動に専念できるようになるとしている。

自律型水上ロボットによる調査の様子

 各社は今後、MizLinx Monitorの量産化・全国販売に加え、実証の内容と成果を日本全国に普及させ、磯焼け問題や漁業の人手不足が進む地域へ水平展開し、持続可能な漁業の実現を目指すとしている。