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NEC、価値創造モデル「BluStellar Scenario」でSIerからValue Driverへの変革を加速 2つの最新事例も公開
2026年2月19日 11:12
日本電気株式会社(以下、NEC)は18日、新たな価値創造モデル「BluStellar」で取り組むBluStellar Scenarioについて説明。NEC独自の提案として差別化につながっている最新導入事例などについて触れた。
BluStellar Scenarioは、NECが蓄積した知見と実績をベースに、エンドトゥエンドで顧客課題を解決する提案。NECでは、DXを実現する約500種類の商材と約150セットのオファリングをベースに32種類を用意し、製造業や金融業、小売業などを対象に、データドリブンやモダナイゼーション領域を中心に提案を加速しているという。
業種共通シナリオとして、「顧客体験変革」、「業務変革」「組織・人材変革」、「デジタルプラットフォーム変革」などを用意。一方、業種別シナリオとしては、製造、金融、リテール、ロジスティクス、官公庁、自治体、警察、大学・研究機関、医療、空港を対象に品ぞろえしている。
NEC AIビジネス・ストラテジー統括部 シニアエバンジェリストの野口圭氏は、「NEC自らも事業を行う立場として、お客さまと同じ経営課題を持っている。自ら最新技術を活用し、課題解決に取り組んだクライアントゼロの成果をベースに、BluStellar Scenarioをそろえている。NECで実績が出ているシナリオだからこそ、お客さまも導入したいと考える。また、実績をシナリオ化するだけでなく、お客さま固有の課題についてもシナリオの中で対応できる。業種共通での価値を検証するだけでなく、お客さま固有の課題に対してもシナリオを当て始めている」と発言。
「NECとコンサルティング会社の違いは、後工程であるシステム構築までをNEC自らができる点である。品質を担保可能であり、実装から入っても『型』化ができ、結果が出ているものを提供できる」などとした。
大垣共立銀行とダイアナにおけるBluStellar Scenarioの導入事例
BluStellar Scenarioの導入事例として、2つのケースを紹介した。
1つ目は、業種共通のBluStellar Scenarioとして、大垣共立銀行で行った「金融機関におけるモダナイゼーションプログラム」だ。大垣共立銀行では、データ活用基盤を構築し、2025年4月から本格稼働させているほか、データ利活用に向けて、顧客情報管理データなどのデータ取り込みに着手。ダッシュボードによるデータ可視化や、AIによる予測モデルの活用に取り組んでいる。
NEC 第四金融ソリューション統括部 プロフェッショナルの福山雄斗氏は、「大垣共立銀行では、DX戦略を中期経営計画の横断施策に位置づけ、データ利活用による顧客理解と体験価値向上に取り組んでいる。ドライブスルー型の窓口で、手のひら認証を行って入出金ができるサービスなど、『脱銀行』を掲げて取り組んでいる地方銀行といえる」と説明。その上で、「今回の事例では、他社ベンダーとは異なり、特定製品の導入を前提とせず、大垣共立銀行の要望や、システム環境の制約を理解して提案を行ってきた点がNECらしいところだといえる。地方銀行の多くは歴史が古く、理想論があっても、積み上げてきた歴史が制約になることが見受けられる。ここに、NECの知見を活用するとともに、BluStellar Scenarioの強みを生かすことができた」とする。
大垣共立銀行では、データが社内に分散し、統合や集計にも手間がかかるなど、基盤が未整備であったこと、住宅ローンなどの長期取引の顧客データが十分に蓄積されていないため、分析が困難という課題があったという。
NECがBluStellar Scenarioを通じて提供したモダナイゼーションプログラムは、金融機関向けの豊富な実績と最新技術を統合。これを金融業界が抱える独特の課題に特化したモダナイゼーションを支援するサービス群として提供。さらに、金融機関特有の既存IT資産を生かすという取り組みを踏襲しながら、安心安全なビジネス運用モデルの最適化を実現したという。
「データ活用基盤を構築する前に、コンサルティングを実施した。活用ユースケースを前提として構築を開始。DX戦略では、『プロセス改革』と『顧客接点の改革』の2軸で展開していたことをとらえて、やりたいことは何か、どれぐらいの期間で成し遂げたいのかといったことを整理し、それを実現するために障害となるシステム環境やネットワークの制約も確認した。これらを踏まえた上で、将来的に実現したいことやコスト、拡張性などを議論し、6つのパターンを提示しながら、議論を重ねていった」という。
大垣共立銀行では、BluStellar Scenarioをもとに、オンプレミスとクラウドのハイブリッド構成により、データ活用基盤を構築することを決定。大量データの取り扱いや安定性、コスト、新たなサービスの活用、柔軟性を実現しながら、モダナイゼーションを推進できたという。
一方、ダイアナでは、顧客理解の高度化による新たなカスタマサービス体験の創出と、収益拡大に取り組んだ。
ダイアナは、1953年に創業し、企画から製造、販売までを担当するレディスシューズブランドで、年商140億円の規模を持ち、国内に60店舗を展開している。ECサイトと店舗を連携させるOMO戦略を策定。顧客データを統合、分析するための新たなシステムの構築に乗り出した。
NEC 第二リテールソリューション統括部 ディレクターの伊東洋樹氏は、「売上高が伸びていない理由を、客観的にとらえることができていないという課題があった。そこで、顧客購買動向を分析したところ、売上停滞の根本的理由が、2回目以降の購買顧客数がマイナス成長であることがわかった。コロナ禍で購買スタイルが変化したものの、それに十分に追随できていなかった。データをもとに、コンサルティングを実施し、LINEを中心としたOMO戦略の施策立案までを含めて提案した」という。
BluStellar Scenarioでは、B2C事業における顧客体験の変革を実現するために、顧客データの活用を支援。分散していたIDおよびデータを統合および分析して、顧客一人ひとりへの深い理解を促し、戦略策定から具体的な施策立案までをサポートしたという。さらに、計画に基づいて、最適なプロダクトの選定から導入、伴走支援、BPOまでを一気通貫で提供することで、事業の継続的な成長に貢献した。
具体的には、会員購買、ウェブ行動、商品データなどを基にしたPDCAサイクルを実施するため、課題抽出と取り組み優先度を定義するとともに、優先度の高い課題に対する打ち手を検討し、現行施策の改善と新規施策の提案を実施した。さらに、クリエイティブやUI、顧客体験の見直し、継続的な販促施策の運用設計や確立なども行ったという。
ダイアナでは、これらの改善施策を通じて、ECサイトにおける2回目の購買率を10%上昇させることを目指している。「ウェブのアクセス履歴をはじめ、お客さまの実態を分析し、どういった形で、どのタイミングで販促施策を打てばいいのかを、NECがサポートした。システムを提供するというだけの関係ではなく、システムを活用してお客さまの事業をどう拡大するのかといったところまで踏み込んでサポートしている。BluStellar Scenarioによって提供する価値を示すことができた」と述べた。
NEC自らが「Value Driver」への変革を加速
なお、NECでは、BluStellarの推進に合わせて、NEC自らが「Value Driver」になることを打ち出してきた。これは、システムの受託開発を中心とした従来のシステムインテグレータから脱却し、価値提案型のビジネスへとシフトし、NECが「社会価値創造をリードする会社」になることを目指す取り組みともいえる。
NECの野口氏は、「従来は、お客さま側に要望があり、NECは、それに対してシステム統合によって価値を提供してきた。だが、不透明性や複雑性の進展とともに、お客さま自身に答えがなくなり、どんな課題を解くべきなのかもわからなくなってきたのが実態である。NECに求められているのは、バリューを一緒に考え、デジタルに関わらず、あらゆる手段を尽くして、バリューをドライブしていくことである」とし、「SIしかできなかったNECが、Value Driverになることを目指している。それがBluStellarの取り組みになる」と位置づけた。
少し前までは、Value Driverは掲げてみたものの、NEC全体にとっては「絵空事」だったという。だが、「ここにきて、ようやく現場が、『NECはValue Driverになれるかもしれない』と思い始めてきた」という。
それを裏付ける要素のひとつが、国内ITサービスにおけるBluStellarの売上構成比が32%にまで高まってきたことである。
「構成比が3割を超えると、社員が当たり前のようにBluStellarを前提として物事を考えるようになる。営業戦略を立案する際も顧客価値から入り、価値を実現するにはどのシナリオを利用するのかを考えている。キャズム理論では、アーリーマジョリティーの領域となる。事業比率で3割超というのは、新たなビジネスをドライブするには重要な要素になる」とする。
さらに、次のステップとして、AIやセキュリティといった注目を集める領域に対して、BluStellarによる提案を行える体制を整えている点も見逃せないという。
「NECは、AIやセキュリティに対して長年にわたって取り組んできた経緯があり、特許を含めて、多くの技術力を生かすことができる。BluStellarにおいて、AIやセキュリティの提案ができるということは、中長期で取り組むことができるベースが整ってきたともいえる」とする。
また、「NECは、お客さまに選び続けてもらうために、自分たちができることを提案しているのではなく、お客さまがやってほしいことを入り口にしている。デジタルは手段であり、NECは、デジタルの切り口で提案していない。BluStellar Scenarioは、すべてが経営アジェンダを入り口にしている」と位置づけた。
また、デジタルという手段ではなく、課題解決という価値を提供しているのが、BluStellar Scenarioの特徴だとし、「約500商材を技術軸でバラバラに販売していたNECが、お客さまが何をしたいのかを考え、製品部門や戦略コンサル部門、サービスデリバリー部門、保守・運用部門が一体となり、シナリオを作っているのが今のNECの姿である。すでに、BluStellar Scenarioは32種類に増加している。これは、さらに増やすことで、NECはValue Driverになるだろう」と語った。
NEC BluStellar戦略統括部ディレクターの平野伸二氏は、「BluStellar Scenarioは、半年に一度、ポートフォリオの見直しを行い、アップデートしている。時流から外れたものを抜き、新たなものを加えている。また、民需系の業種別シナリオを強化しているところである。コンサル、SI、保守・運用のパターンを組み合わせることで『型』化が進展し、品質を高めることができ、魅力的なシナリオメニューをそろえられる。NECによるクライアントゼロの取り組みも、一歩先行して成功したり、失敗したりといった経験をもとに『型』化につなげることができる」と述べた。
なお、NECでは、Value Driverになるためのプロセスにおいて貢献した社員を評価できるようなKPIを新たに設定。BluStellar Scenarioの受注高や開発貢献などについても、人事評価の対象にするという。評価の観点からも、NEC全体で、BluStellar Scenarioを促進する体制を構築していることを示した。











