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TIS、東京ガスの「SAP S/4HANA Cloud」への移行に合わせクラウド型経費精算システム「Spendia」を導入
2026年2月19日 09:00
TIS株式会社は17日、東京ガス株式会社に経営管理サービス群「ACTIONARISE」のクラウド型経費精算システム「Spendia」を導入し、経費申請のスマートフォン対応や請求書のペーパーレス化をはじめとするDXを推進したと発表した。
Spendiaは、TISが経費精算システムを20年以上提供してきた知見をもとに、日本の制度や商習慣に合わせて開発した経費精算クラウドサービス。SaaSでありながら、大企業が抱える特有要件にも対応できる機能と柔軟性を持ち、スマホアプリでも経費精算を完了できる利便性を特長とする。また、経費精算以外にも債権・債務の計上や振替伝票作成、各種申請などをワンプラットフォームで完結する。
東京ガスの経理部では、2002年から20年以上にわたって利用してきたオンプレミスの経理システムの保守切れにあたり、会計基盤の全面刷新を計画していた。従来の会計基盤は承認ワークフローが1階層しかなく、スマホ申請にも対応していなかったが、会計基盤のSaaS化により柔軟性を高め、新しい技術や機能を取り入れやすくすることで経理DXの検討を進めた。
そこで東京ガスは、会計システムをクラウドベースの「SAP S/4HANA Cloud」に移行するとともに、これまでスクラッチ開発で対応してきた経理申請業務をSaaSに切り出す「SaaSファースト」に取り組んだが、東京ガス特有の経理申請業務に対応できるSaaSの存在が鍵となった。
東京ガスでは全社の約3割の社員が、ガス・電気以外の事業から生じる「収入予定報告」や計上した費用を組織間で再調整する「振替報告」などの経理伝票の起票業務に直接携わっている。経費精算だけでなく、全ての経理申請業務をひとつのSaaSでカバーできることが理想であり、その条件に見合う製品の選定を開始した。
SaaSの選定にあたり東京ガスは、「経費精算を含む経理伝票起票業務のプラットフォームとして利用できること」を要件に掲げ、複数社に提案を依頼したが、経費精算以外の業務には別製品との組み合わせが必須だったり、個社要件には対応できなかったりと、要件を満たすクラウド型経費精算サービスの選定は難航した。
TISのSpendiaについては、「収入予定報告」や「振替報告」を標準機能として実装できた点が、選定の理由になったという。東京ガス独自の経理申請業務・要件に対応するため、要望をSpendiaの標準機能として開発・実装し、SaaSでありながら柔軟な設定や会計システム連携を実現した。
また、業務への深い理解や信頼感があった点も選定理由とされており、TISは東京ガスグループのシステム開発実績を持つコアパートナーである強みを生かし、業務理解と信頼関係に後押しされ、複数の導入ベンダーが関わるプロジェクトを円滑に進行したという。
今回のプロジェクトの全体像は、TISによるSpendia導入と、他の複数ベンダーが担当するSAP S/4HANA Cloud移行を同時並行で進める大規模なもので、Spendiaについては、東京ガスおよびガス導管網を管理する東京ガスネットワーク株式会社の2社を皮切りに、順次、他の東京ガスグループ各社にも展開していくことが検討された。
Spendia導入には、東京ガスグループのIT機能会社である東京ガスiネット株式会社が支援に参画した。しかし、旧システムは20年以上の間にさまざまなアドオンを開発した結果、一部仕様がブラックボックス化していた。勘定科目が新体系に見直され、会計システムに正確なデータを連携するために必要な入力チェックや入力補助機能を改めて整理して、標準機能で対応できるか検討を進めた。
開発は、Spendiaの標準機能に業務を合わせつつ、業界特性や企業規模に応じた要件を考慮して柔軟に適合させていく「Fit to Standard」を基本方針とした。不足する経理申請関連の機能はTISが標準機能として開発・実装し、業務対応を進めた。そして、標準機能化してもSpendiaを導入した他社からの需要が見込めない機能に限り、例外的にアドオン開発で対応した。
今回のSpendia導入は、SAP S/4HANA Cloud移行と足並みを揃えるため、約2年というSaaSとしては異例の長期間をかけて実施した。Spendiaは2カ月に一度の頻度でバージョンアップされるため、TISはその都度、UIやデータ項目の仕様変更がSAP S/4HANA Cloudとの連携に影響を与えないよう、担当ベンダーと密にコミュニケーションを取り、緻密なプロジェクトマネジメントを遂行した。
会計基盤全般のクラウド移行は2025年4月に完了した。Spendiaの導入による効果としては、これまでスクラッチ開発によってアドオンを開発する必要があった各種機能が、Spendiaの標準セットアップにより実現でき、基盤の全体構成をスリム化した。また、運用開始半年時点で、ヘルプデスクに寄せられる操作方法の問い合わせ件数が大きく減少したことを確認しており、長年使い慣れたUIから変わることによる混乱も少なく、デザインの使いやすさも好評だったという。
電車での移動中などでもスマホアプリから申請や承認を完了できるため、さらなる業務効率化に寄与した。スマホのカメラで撮影した領収書の画像をそのままSpendiaに添付し、AI-OCRを活用した申請が実施できるため、拡張性・自由度が拡大した。
また、今後は、東京ガスグループ十数社にSpendiaを導入する計画も検討中で、経理申請業務がSpendiaで統一されることで、東京ガスグループ全体の会計業務を集約するシェアードサービス化の実現も見込んでいるという。
