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ジュニパーが進めるネットワーク運用の自動化ビジョン「Self-Driving Network」とは？
2018年12月13日 06:00
ジュニパーネットワークス株式会社（ジュニパー）は12日、ネットワーク運用を自動化するビジョン「Self-Driving Network」に関する記者説明会を開催した。米Juniper NetworksのKireeti Kompella氏（エンジニアリング担当最高技術責任者）が解説した。
Kompella氏はSelf-Driving Networkについて、自動運転車のアナロジーを何度か使いながら説明した。自動運転車がレベル1～5に分類されるのと同じように、Self-Driving Networkもレベル1～5に分かれるという。
「違うのは、レベル4で9割を自動化して1割を人間に任せるという場合、自動車ではいきなり人間に丸投げされると事故になるかもしれない。しかし、ネットワークでは自動車に比べると緊急性がないので、9割が自動化されるだけで人間の手助けになり、その時間をネットワーク構成のクリーンアップなどに使える」とKompella氏。
また、自動運転車は、ナビゲーションやステアリング、ブレーキ、トランスミッションなどそれぞれ自律的に動く機能の組み合わせでできている。Self-Driving Networkの場合も、1つ1つを自律型にしていく道のりになるとKompella氏は言う。
Self-Driving Networkを構成する属性としては、何をしたいかの意図を伝える「インテントモデル」、ネットワークや機器をモニタリングしてリアルタイムで状況を吸い上げる「リアルタイムテレメトリ」、データを解析する「アナリティクス」、その結果を形にした「ワークフロー」などがある。
「こうしたものをJuniperでは『ネットワークボット』と呼んでいる」とKompella氏。
例えばリアルタイムテレメトリでは、従来のプルモデルではなく、例えばルーターのラインカードなどに、どういう頻度でどういう情報を送ってほしいか伝えておく。そのプロビジョニングを1回しておくと、指定した間隔で情報をプッシュしてくれ、コレクターに吸い上げられる。
このリアルタイムテレメトリ、分析、意思決定、アクション（制御）がループになることで、自律的に運用がなされる。このループは、デバイスの健康状態やサービスアロケーションなど、システムの機能ごとにそれぞれ回ることになる。
ネットワーク運用の構造で考えると、一番上にOSS（Operation Support System）／BSS（Business Support System）／オーケストレーターといった運用管理のシステムがある。このレイヤーと、ネットワークインフラのレイヤーの間に各種ネットワークボットが入る。
「従来はOSSがボットのレイヤーまでカバーして柔軟性がなくなっていた。APIで疎結合することで、追加やアップデートをその部分だけに抑える方向にトレンドが動いている」とKompella氏。
Self-Driving Networkのためのもう一つの技術に、機械学習がある。Kompella氏は「Juniperではすでに機械学習を活用した製品を出荷している」として、クラウドの監視や運用のAppformixや、異常検出のContrail Healthbotを紹介。さらに機械学習による機能を現在検証中のものとして、リソースのキャパシティプランニングのResourceIQや、インターネットピアリングのPeerbotを紹介した。
Self-Driving Networkのユースケースとして、Kompella氏は、まずデバイスのヘルスチェックの例を挙げた。収集したいものを定義し、それにもとづいてテレメトリが情報を収集し、その情報を分析して可視化するというものだ。
また、カスタマイズ可能な自律的クローズドループのユースケースでは、可視化のほかに、外部のアプリケーションへ情報を送り、異常などの状況にもとづいて機器制御などの対応アクションを起こす。
「これは2年ほど前にはビジョンだったが、今は現実のことになった」とKompella氏は語った。
