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ソフトクリエイトとエクスジェンが資本・業務提携、ID統合管理ツール「LDAP Manager on SCCloud」を共同開発

 株式会社ソフトクリエイトとエクスジェン・ネットワークス株式会社(以下、エクスジェン)は6日、資本提携を含む協業について発表した。

 ソフトクリエイトは、エクスジェンの発行済み株式の49%を取得。持分法適用会社とする。またエクスジェンのID統合管理ツール「LDAP Manager」を、ソフトクリエイトのクラウドサービス「SCCloud(エスシークラウド)」向けに「LDAP Manager on SCCloud」として共同開発。2019年4月1日からサービスを提供し、日本特有の複雑なアプリケーションの権限設定などにも柔軟に対応できるようにする。

 両社では、今回の提携により、セキュリティリスクになりうるIDおよびパスワード管理に対して、安全で、効率的なIDマネジメントソリューションを提供。日本マイクロソフトのAzure ADとも連携し、IDプラットフォーマーとしてのサービスを強化するとしており、「今後は統合認証基盤を、ビジネスや働き方を変えるプラットフォームに位置づけたい」(エクスジェンの江川淳一代表取締役)とした。

ソフトクリエイトの林宗治社長(左)とエクスジェンの江川淳一代表取締役

日本におけるID管理市場を大きくしたい

 ソフトクリエイトは、1983年に東京・渋谷にパソコンショップをオープンした草分け的店舗のひとつで、現在では、システムインテグレーションやクラウドインテグレーション事業を中心に展開。独立系SIerとしての強みを生かした、コンサルティング、設計、構築、運用、教育・サポートなどを提供している。

 EC向けパッケージである「ecbeing」は100社以上に導入され、国内でトップシェアを獲得。不正接続防止ツールの「L2Blocker」も導入社数では国内トップとなっている。さらに、中堅・中小企業向けワークフローパッケージの「X-point」、大手企業向けワークフローパッケージ「Agile Works」などの開発、販売を行っている。

 クラウドサービスの「SCCloud」は、日本マイクロソフトのOffice 365などの各種クラウドサービスに加えて、サイボウズのガルーン、オービックビジネスコンサルタント(OBC)の奉行シリーズといった、情報系および業務系アプリケーションを提供するプラットフォーム。ユーザー環境にあわせたソリューションを提供できるのが特徴だ。現在、約500社が導入し、年間10億円のビジネスになっている。

 ソフトクリエイトの林宗治社長は、「クラウド活用が進展するとともに、ハードウェア、ソフトウェアを問わず、サブスクリプションによる月額利用へと変化する動きが加速している。これにあわせて、情報システム部門の働き方そのものが変化しており、IT技術力を必要とする業務はアウトソーシングし、IT企画推進力を必要とする業務がコアになってきた。そうした流れのなかで、いままで情報システム部門が行っていたID管理も、コア業務ではないととらえられ、アウトソーシングする動きが出てくることになる」と指摘。

 その上で今回の提携について、「ソフトクリエイトは、ITO(インフォメーション・テクノロジー、アウトソーシング)サービスプロバイダーとして、情報システム部門のコア業務改革を支援する立場を目指し、今回の提携を行った。エクスジェンは、大手企業や大学などを中心にID統合管理ツールの導入実績があるが、ソフトクリエイトが得意する200~500人の企業を対象にした販売を強化することができる。日本におけるID管理市場を大きくしたい」と語った。

ITインフラを取り巻く環境の変化
ソフトクリエイト+IDのシナジー
SCCloud
ソフトクリエイトの林宗治社長

認証機能に関する開発要員を確保し、開発速度を高める

 またエクスジェンは、2002年にID統合管理ツール「LDAP Manager」を発売。それ以来、ID管理専業ベンダーとして、大手企業や大学などを中心に、622社の企業、団体で導入した実績を持つ。3年前に、クラウド向け統合ID管理サービス「EXTIC」の提供も開始している。

 エクスジェンの江川淳一代表取締役は、「当社は、ID管理一筋で18年間やってきた企業であり、青山学院大学、同志社大学に導入したのを皮切りに、CTCや富士通ソフトウェアテクノロジーズ、日立ソリューションズなどを通じた代理店販売によって、大手企業や大学などに導入。ID管理パッケージソフトウェアでは、年間400本弱を販売し、25.6%のシェアで首位である」と、自社を紹介。

 「ログインの回数を減らしたい、パスワードの変更を1カ所でやりたいという利用者ニーズ、アクセス権限の付与を確実に行いたい、IDの一括メンテナンスを行いたい、人事異動などにも柔軟に対応したいというIT管理者のニーズ、そして、ID登録や権限の変更のフローを明確にしたい、ユーザーのログイン情報を確認したいという監査者(企業)のニーズに応える製品になる。アクセス制限などに利用するID情報を連携するID管理機能、ポリシーに沿った柔軟な認証連携を行う認証機能の2つを備えた統合認証基盤により、多様なIDライフサイクルに沿った管理が可能になる」と、自社製品の特徴を説明した。

統合認証基盤とは

 また、「クラウド時代が加速するなかで、認証における課題が増加している。中でも、クラウドプロバイダーが認証にかかわる仕様を変更することがあり、それに迅速に対応しなければならないことが当社にとっての課題となっている。それに対応するためには、ベンチャー企業のままでは限界がある。認証機能に関する開発要員を確保し、開発速度を高めることが今回の提携における目的のひとつ。さらに、認証基盤とサービスを結びつけることで、システムインテグレーションレスでID統合管理を提供でき、IDaaSを実現可能になる」と述べた。

エクスジェン 代表取締役の江川淳一氏

IDプラットフォームサービス「LDAP Manager on SCCloud」を共同開発

 今回、共同開発を行う「LDAP Manager on SCCloud」は、システム利用者の利便性向上、システム管理者の負荷軽減、企業におけるセキュリティ向上を実現するIDプラットフォームサービス。SCCloud上で利用する情報系/業務系アプリケーションのID情報を統合管理できる。

 ソフトクリエイト 執行役員兼技術本部本部長兼事業推進本部 副本部長の引間賢太氏は、「マイクロソフトでは、Azure ADによって、Office 365をはじめとするマイクロソフト製品や、BoxやAdobe、セールスフォース・ドットコムなどのメジャークラウドを統合管理できるようにしている。LDAP Manager on SCCloudはそれを補完する形で、日本固有のクラウドサービスを含めたさまざまなクラウドサービスにおいて、IDの統合管理が可能になる。これは、長年にわたって、国内アプリケーションでのID管理の実績を持つエクスジェンのノウハウがあるからこそ実現できるもの。他社にはこうした製品がない。市場を創出する姿勢で取り組んでいくことになる」とした。

LDAP Manager on SCCloudが提供するID統合
LDAP Manager on SCCloudシステム構成
ソフトクリエイト 執行役員兼技術本部本部長兼事業推進本部 副本部長の引間賢太氏

 2019年度には、SCCloud上で連携できるアプリケーション対象の拡充、アプリケーション連携によるSI要素の省力化ツールを開発。10~15のクラウドサービスと連携させ、50社、2万5000IDの利用を目指す。

 また2020年度には、Azure ADとの連携や親和性を強化。国産SaaSメーカーとの連携強化を進め、200社、10万IDの導入を計画。2021年度にはIDプラットフォームとしての運用やアウトソーシングサービスとして拡充。パートナービジネスモデルを通じた販売強化を行うという。ここでは400社、20万IDの導入を目指すとした。

サービスプラン

 日本マイクロソフト 業務執行役員 パートナー事業本部パートナー技術統括本部の細井智統括本部長は、「IDはシステム構築の根幹である。Active Directory(AD)は、大企業では9割のシェアを持つ。一方で、クラウド化が進展するなかで、Azure ADの提供を開始している。今後は、クラウドとオンプレミスのハイブリッド環境のなかで、一貫性を持ったID管理が必要になってくる。日本マイクロソフトでも、IDの統合管理に向けた強化を進めているが、さらに補完するサービスが必要である。その点で、LDAP Manager on SCCloudは、重要な役割を果たすものになる。ソフトクリエイトとは、パートナーとしての連携をさらに強化し、IDの統合管理だけでなく、アプリケーション領域を含めて、一緒に展開していきたい」とした。

日本マイクロソフト 業務執行役員 パートナー事業本部パートナー技術統括本部の細井智統括本部長