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CTC、IoTクラウドサービス「E-PLSM」で設備異常の予兆検知機能などを提供

 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)は30日、再生可能エネルギーなどの利用を管理するIoTクラウドサービス「E-PLSM(エプリズム)」を強化すると発表した。設備異常の予兆検知機能を追加するほか、風力・太陽光発電の出力予測機能を強化するという。

 E-PLSMは、発電設備やプラント、送配電設備などのセンサーからのデータを収集し、各設備を監視するとともに、データ分析によってエネルギー利用を統合的に管理するクラウドサービス。データ収集・分析の基盤として米OSIsoftのIoTソフトウェア「PI System」を利用するとともに、CTCがエネルギー分野で培ったノウハウも生かされているという。

 今回は新たに、設備の異常予兆の検知機能を追加。発電設備の運転状態を示す、出力、温度、流量、圧力、電流、振動、品質などのデータを基に、リアルタイムで設備状態を監視することができる。

 また、機械学習ソフトウェアが設備の正常な状態を学習し、異常の予兆を検知できるようにすることで、故障発生前に対応して計画外の停止を低減できるようになるため、設備の稼働率の向上につなげられるとしている。

 なお、この仕組みには、米国のエンジニアリング企業ECG社の異常予兆検知ソフトウェア「Predict-It」を活用しているとのこと。CTCでは、2016年に国内初の代理店となって以来、電力・エネルギー分野を中心に予知保全での取り組みを進め、国内での多くの提供実績があるとした。

 一方、全国の風力発電所や太陽光発電所において、風向風速、日射強度、気温などの気象情報に加え、発電所からのセンサー情報を活用することで、発電出力を予測する機能を強化する。

 具体的には、従来のサービス提供での要望に基づき、「短期予測」と「短時間予測」の2つの予測メニューを用意した。短期予測は、3日先まで30分刻みで6時間ごとに更新するもので、電力市場における売買取引や出力の変動に影響する保全作業、電力系統の運用などにおいて、例えば、電力取引における売買の計画や火力発電の稼働計画に役立つとしている。

 もう1つの短時間予測は、6時間先まで30分刻みで1時間ごとに更新するもの。発電所の監視・運営業務での予測に基づく作業の効率化や、送配電事業における数時間先の電力需給の調整などで活用できるとした。なお、2つの予測メニューを組み合わせて使用することも可能という。

 また、E-PLSMの提供を含めた再生可能エネルギー分野での実証実験やビジネスで得た知見をもとに、予測モデルを見直し、時間・空間メッシュの細分化と予測誤差の減少を含めた精度の向上を図っている。

 CTCでは、電力設備やプラントの安定稼働を図る事業者、再生可能エネルギーの発電事業者や小売り電気事業者を中心としたエネルギー関連企業向けにE-PLSMを営業展開し、2019年度で100件の受注を目指す考えだ。