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セールスフォース、インサイドセールスの生産性向上などを実現する新機能を提供へ

 株式会社セールスフォース・ドットコム(セールスフォース)は23日、インサイドセールスの生産性を向上する「High Velocity Sales」、B2Bマーケティングを効率的に行う「Pardot Einstein」の2つのアプリケーションに関する説明会を開催した。

 米国で開催されたイベントにて紹介された新機能となり、これまで別々だったマーケティングとセールスなど異なる部門間のデータを統合し、双方にまたがってAIによるアドバイスを行うなど、CRM機能がさらに強化されている。

システムがつながり統合されたプロセスを提供する“完全なCRM”

 セールスフォースでは、「完全なCRMとは、システムがつながり統合されたプロセスを提供できること」と説明。さらにデータ探索の自動化、ディープラーニング(深層学習)、機械学習などを利用し、同社のAI「Einstein」を用いて、利用者に適したアシスタントとするための機能拡充が進められている。

 「当社は1999年にSFAからスタートし、さまざまな機能拡充を進めてきた。ユーザーが求めることついての調査を行った結果、75%の購買担当者が、つながっていることが重要と考えることがわかった。マーケッター、サポートなどで話すことが違うのは、購入者にとってはストレスになるし、内部でちゃんとつながっておいてくれと考えている。この内部連携ができている企業は、社内において、統合されたシステムを2倍以上の確率で使っている」(セールスフォース マーケティング本部 プロダクトマーケティング・ディレクターの田崎純一郎氏)。

セールスフォース マーケティング本部 プロダクトマーケティング・ディレクターの田崎純一郎氏
完全なCRMとは?

 この内部連携を実現している企業がどの程度あるのか、セールスフォースでは自社イベントの来場者を対象にアンケートをとったところ、異なる部門間の連携を特に行っていないという回答が60.4%。マーケティング段階からセールスに移行するインサイドセールス(=リードクオリフィケーション)でも、部門間連携は特に行っていないという回答が61.2%となった。

 そこでこの課題を解決するために、2つの新しいアプリケーションが登場した。パーソナライズされたキャンペーンインサイトと行動スコアリングで、B2Bマーケティングを効率的に行う「Pardot Einstein」と、インサイドセールス向けにさまざまな機能を提供する「High Velocity Sales」だ。

Pardot EinsteinとHigh Velocity Salesの位置付け

インサイドセールスチームの業務を効率化

 このうちHigh Velocity Salesでは、Sales Cloudが見込み客の獲得から売上計上、ロイヤルティー獲得まですべての営業活動をカバーするものとなる中で、インサイドセールスチームの業務を効率化する役割を担う。応対のルールや定義を作って対応することで、インサイドセールスの精度を向上させることが可能だ。

High Velocity Sales

 またHigh Velocity Salesの機能の1つSales Cadencesでは、営業担当者向けにメールと電話を中心とした営業活動のシーケンスを作成することにより、見込み客の反応に合わせた対応の最適化を実現する。

Sales Cadences

 搭載予定の機能としては、Sales Cadenceビルダー、メール/電話/タスク/待機時間のスケジュール設定、メールテンプレートとコールスクリプトの作成など。見込み客に対し、適切なタイミングでメールや電話を行えるように支援するのみならず、テンプレートによって内容の適切化も進める。こうした仕組みにより、経験のない営業スタッフでも最適なインサイドセールスを実現できるという。

 同じく搭載予定の機能であるWork Queuesは、Sales Cadencesで定義したメール、電話およびタスクの優先順位リスト。メール送信や電話による応答をWork Queuesからダイレクトに行うことができる。1回のみのフォローアップアクションの追加も可能なほか、Lightning ConsoleとSalesforce Inboxでの動作にも対応する。

Work Queues
High Velocity Salesのデモ。行うべき手順を自分で設定することが可能で、電話に応答があった場合、なかった場合などの分岐による設定も可能

 サービスは2019年2月にリリースする予定で、現時点では価格は未定となっている。

B2Bマーケティングを効率化

 一方のPardot Einsteinは、すでにリリース済みで、日本語版も提供されている。Einstein Behavior Scoringによって、見込み客の購入意思がどのくらいあるかを把握できるほか、Einstein Campaign Insightsでは、キャンペーンパフォーマンスに影響する要因を把握することができる。

営業活動に関するアドバイスをEinsteinが行う。

 B2Bマーケティング向けには、Pardot in Lightningによってマーケティングと営業の両チームが、1つのプラットフォームで連携することができる。また、一度のログインからすべてにアクセスすることが可能になるとした。

Pardot Einstein
Pardot in Lightning

 なお、今回の強化された機能を活用するためには、企業ごとに商談を成功させるまでのジャーニー作りが必要となる。このジャーニーを作るためには、「現場の状況をわかっているスタッフが担当になって、どのようなジャーニーにするべきなのか、紙やホワイトボードを使って洗い出して、ルールやパターンを作っていくことが最初の段階。ジャーニーをスムーズに作ってもらうために、ユーザー同士の勉強会、事例の紹介などが大きな武器となるだろうと考えている。個別にジャーニーを作りたい場合には、パートナー企業を紹介することも可能」(田崎氏)とのことだ。