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日立、顧客との協創ワークショップに音声認識と発想レコメンドを行うAI技術を導入

イノベーティブなアイデアの創出を加速

 株式会社日立製作所(以下、日立)は9日、独自の顧客協創方法論「NEXPERIENCE」を活用してサービスアイデアを創出するワークショップにおいて、イノベーティブなアイデアの創出を、音声認識と発想レコメンドを行うAIにより加速するシステムを開発したと発表した。

 日立では、複雑化した社会課題の解決に向けたイノベーションの創生を目指し、日立が独自に構築した顧客協創方法論「NEXPERIENCE」を活用して、2015年から顧客との協創に取り組んできた。NEXPERIENCEは、クリエイティブな議論を促進する手法、ITツール、空間を体系化し、質の高い議論や独創的なアイデアの創出を促すもので、600件を超える適用実績がある。

 NEXPERIENCEを構成する手法の一つに、新しいサービスアイデアを創出するためのワークショップがあり、ワークショップではエネルギー、産業、金融など複数の事業領域の知見をつなぐことで、より高度な解決策を導き出すことが可能となる。

 一方、ワークショップには幅広い分野の有識者が参加することが理想だが、実施するすべてのワークショップに各分野の有識者を集めることは困難で、また、有識者を集められた場合でも、ワークショップの議論に応じた知見をアイデア発想に役立つ形で引き出すことが難しいという課題があった。

 そこで、日立ではNEXPERIENCEを活用したワークショップにおいて、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューションやサービス「Lumada」として蓄積した多様な事業領域の知見を活用し、ワークショップの個々の参加者では発想が困難なイノベーティブなアイデア発想を加速するシステムを開発した。

 システムでは、NEXPERIENCEにおけるアイデア創出手法である「NEXPERIENCE/Service Ideation」に、雑音下音声認識技術を適用し、ワークショップ参加者の議論をリアルタイムに解析、キーワードを自動抽出する。さらに、抽出したキーワードに応じて、Lumadaとして蓄積された多様な事業領域の課題解決事例をレコメンドする。

 この音声を取得するところから、レコメンドの表示にAIを用い、ワークショップ参加者は、レコメンドされた事例を活用して、複数事業領域を融合したイノベーティブかつ実現可能性の高いアイデアを発想できる。たとえば、産業分野の工場のIoT化をテーマとするワークショップで、エネルギー分野の「センサーで在宅情報を判定する」事例をもとに、「工場の稼動情報から企業活動の活発度合を判定する」ことで、資金調達支援の信用付与に活用するなどのアイデアが生まれているという。

 日立では、開発したシステムを用いてワークショップを実施したところ、業種横断型のアイデアが従来に比べて約2倍創出され、イノベーティブなアイデアの発想を促せることを確認したと説明。11月より、システムを協創ワークショップに活用していくとともに、デジタル技術によりNEXPERIENCEを継続的に進化させることで、社会イノベーション事業を推進していくとしている。