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インフォア、自社製品のBI機能やAI機能を国内でも展開へ
クラウド対応の歴史も説明
2018年9月21日 06:00
インフォアジャパン株式会社(以下、インフォア)は19日、クラウド事業戦略の説明会を開催した。
同社ではクラウド対応を2013年ごろから進めており、2015年にはプライベートクラウドで利用するクラウドスイート製品を提供。さらに2018年はパブリッククラウドに対応した。
インフォア ソリューションコンサルティング本部 石田雅久氏は、「2013年からの第1期、2015年からの第2期に続き、当社にとって2018年はクラウド3期目となる。日本の業績について具体的な数値は公表できないが、新規顧客数、クラウド利用ともに対前年同期比で2けた成長となっている」と述べ、好調な売れ行きをアピールしている。
なお、7月にはワタミがインフォアのクラウドERPを採用したことを発表。従来は手組みのバラバラのシステムを利用していたところから、マーチャンダイジング改革を実現し、サプライチェーン管理プラットフォームの再構築を進めているとした。
業種別クラウドスイートを提供
インフォアは誕生以来、エンタープライズソリューションを提供しており、特に製造業など特定業種に多くのユーザーを持っている。クラウドソリューションについてもそれは同じで、「業種別クラウドスイート」の提供を製品戦略にしているという。
同社のクラウドは5階層のアーキテクチャで、1)業種アプリケーション、2)業種適合性の高いクラウド、3)外部のビジネスパートナーとデバイスのつながりによるネットワーク、4)アナリティクス、5)AIで構成されている。
アーキテクチャ的には、パブリッククラウドの場合、Amazon Web Services(AWS)、アプリケーション間の連携を実現するミドルウェア「Infor OS(オペレーティングサービス)テクノロジープラットフォーム」、「Birstビジネスインテリジェンス」、その上に各業種向けソリューションが載る。
日本で提供している業種ソリューションは、「大規模組立製造業」「中小規模製造業」「食品飲料」「自動車」「中小規模非製造業」の6つ。海外ではそれ以外の業種向けソリューションもあるが、日本で現在提供しているのはこの6業種となっている。
第1期クラウドの提供時は、パブリッククラウドではなくプライベートクラウドのみに対応。その時期にクラウドを利用するユーザーは、オンプレミスをそのままクラウドに載せ替える需要が多かった。
これが変わったのは、パブリッククラウドに対応した第3期で、「パブリッククラウド対応後、既存ユーザーではなく新規ユーザーからの導入が増加。その結果、既存ユーザーのクラウド導入が増えるという循環が生まれた。その意味でもパブリッククラウド採用の意味は大きかった」(石田氏)という。
国内未提供のソリューションはいつ上陸する?
また、海外では提供が始まっているが、日本語への対応などの問題から、現段階では日本では影響されていないソリューションも何点か存在する。
そのうち「GT Nexus」は、買収によって加わった新しいソリューション。マルチ企業間のグローバルコラボレーションレイヤにおいて、オーケストレーションを実現するコマースクラウドプラットフォームだ。
「海外ではクラウドスイート製品との連携機能がリリースされていることから、日本でも早くリリースしてほしいという要望が多くなっている。年内か、遅くとも年始早々には日本での取り扱いを始めたい」(石田氏)。
昨年、買収によってインフォア製品となったBirstは、クラウドに最適化されたBIで、やはり現段階では日本では提供されていない。すべての操作をWebブラウザから行うことができるが、バックエンドの仕組みはスケーラブルであることが特徴という。
エンタープライズ用に開発され中央管理されたBIと、手軽に操作を行えるデスクトップBIの特徴を兼ね備え、データ準備から、レポート設計、可視化まで、BIにとって必要な機能がすべて網羅されているとした。
「Birstについても、年内から年明けには日本でリリースしたいと考えている」(石田氏)。
このほか、現段階では海外でもリリースされていない、現在開発が進められているソリューションが、AI機能の「Coleman」だ。
「AIは、Watsonなど人名を着けている例が多いが、当社も映画『ドリーム』に登場したNASAのリサーチ担当、キャサリン・コールマンから名前をとってColemanの名称となっている」(石田氏)。
コンポーネントとしては、音声UX、アプリケーションをまたがる連携&参照が可能なデータパターンを実現するリレーションシップ、機械学習およびディープラーニングを実現するデータサイエンス、コスト効率がよく企業レベルのデータレポジトリを実現するビッグデータ、カスタマイズの柔軟性を実現する拡張性、企業経営のためのプロアクティブなKPIsを行う予測分析、といった6つから構成されている。
「AIのもう一つの側面として、どこからデータを入手し、どういうアルゴリズムとするのかPaaS設定が必要となる。Colemanは、できるだけ簡単なUIでPaaS設定ができるような仕様となる見込み」(石田氏)。
海外でもリリース前ということで、日本での提供時期についてはまだ決定していない。「おそらく、2019年前半には米国でなんらかのリリースが行われる見込みで、そこからできるだけ早いタイミングで日本でもリリースを行いたい」(石田氏)という。