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東京海上日動とNTTデータ、保険証券へのブロックチェーン技術適用に向けた実証実験を開始

 東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)と株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(以下、NTTデータ)は16日、保険証券へのブロックチェーン技術適用に向けた実証実験を開始すると発表した。実施時期は2016年12月から2017年3月(予定)。

 実証実験では、外航貨物海上保険における保険証券の電子化ならびに、電子化した保険証券のブロックチェーン上における流通を実施し、セキュリティ性、業務効率性を含む実業務への適用可能性、コスト削減効果を検証する。

 実験では、保険証券のブロックチェーンによるデータ化と、ブロックチェーン上にある信用状や船荷証券の情報の保険証券への取り込みを実施。保険証券がブロックチェーンによって流通することで、貿易関係者が国際的に流通する書類のやり取りに割く時間が大幅に短縮され、人的コストと書類の送達コストの大幅な削減が期待できるとしている。

 輸出入貨物にかかわる保険である外航貨物海上保険は、保険証券が売り手から買い手に譲渡されるため、銀行などの貿易関係者を介して国際的に流通する。しかし、流通は紙書類によるものが中心であり、貨物の買い手への到着に時間がかかるとともに、紛失リスクがあることなども課題となっている。

 東京海上日動では、ブロックチェーン技術を利用した保険証券流通の研究を進めてきたことから、今回、NTTデータと共同で、外航貨物海上保険における保険証券の領域へのブロックチェーン技術適用に向けた実証実験を行う。

 ブロックチェーンは、データの耐改ざん性を確保した状態でネットワーク参加者間での情報共有が可能な分散ネットワーク技術で、NTTデータでは国際貿易取引全体を包含したブロックチェーンの活用を研究している。

 実用化に向けては、保険証券以外の貿易書類の電子化も必要となるため、国際的に貿易関係者が協調してブロックチェーンに対応していく必要がある。東京海上日動とNTTデータでは、今回の実証実験を通じて各貿易関係者における課題を解決し、実用化につなげていくとしている。