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YextのデジタルナレッジがAmazon Alexa対応、企業・店舗の情報を音声検索に直接フィード可能に

 デジタルナレッジマネジメント(DKM)を手掛ける株式会社Yextは7月31日、Amazonとのグローバル提携を発表した。この提携により、Yext Knowledge Networkのデジタルナレッジが「Amazon Alexa」に対応し、企業や店舗の情報をAlexaの音声アシスタントに直接フィードさせることが可能となる。同日に行われた発表会では、Amazonとの提携の概要や、Yextのデジタルナレッジを活用したAlexaによる音声アシスタントを、デモを交えて説明した。

 Yextが提供しているデジタルナレッジマネジメントのクラウドプラットフォームは、現在、世界150以上のソーシャルネットワークと連携し、100カ国以上の言語、および音声検索に対応。Fortune Top 500社の3分の1以上の企業に採用されているという。

 Yext 代表取締役会長兼CEOの宇陀栄次氏は、デジタルナレッジマネジメントのサービス概要について、「例えば、検索エンジンでファストフードの情報を検索すると、各店舗の情報がマッピング画面とともに一覧表示される。しかし、その画面には、検索エンジン独特のアルゴリズムにより、一般消費者が投稿した写真が表示されてしまい、企業側では表示内容を変更できないのが実情だ。ここにYext Knowledge Engineを導入することで、検索エンジンで表示される自社の情報や画像をコントロールし、一元管理することが可能となる」と説明した。

Yext 代表取締役会長兼CEOの宇陀栄次氏

 今回のAmazonとの提携によって、企業は、Alexaから配信される企業・店舗情報(所在地、連絡先、営業時間など)を、Yext Knowledge Engineを使って直接管理することが可能となる。またAlexaを利用しているユーザーは、最新の企業・店舗情報を音声検索から直接入手できるようになる。

 「日本では文字による検索が主流だが、2020年には音声検索が50%を占めると予測されている。さらに、今後10年以内には『モバイルファースト』や『クラウドファースト』から『AI&音声(ボイスサーチ)』へ完全にシフトするとの見方もあり、コネクテッドカーや訪日外国人対応という観点からも、音声検索の重要性はますます高まっていくと考えている」(宇陀氏)と、Amazonとの提携の背景を述べた。

 音声検索の利用状況について、Yext 市場開発本部 ディレクターのタイラー・ドナヒュー氏は、「現在、モバイル検索クエリの5件に1件が音声検索となっており、日本のスマートフォンユーザーの49%は、1カ月に最低1回は音声検索を利用している。特に、1週間に1回以上音声検索を利用しているユーザーの割合では、日本が世界トップとなっている。音声検索を利用する理由については、57%が『タイピングの必要がないこと』を挙げていた」と述べ、日本は音声検索利用のフロントランナーであると指摘した。

Yext 市場開発本部 ディレクターのタイラー・ドナヒュー氏

 Amazonとの提携におけるYextの取り組みとしては、Yext Knowledge Network上に新たにAlexaを設定。これにより、Yextの顧客企業・店舗のデジタルナレッジがAlexaと自動的に同期されることになる。また、Alexaとの同期にあたって、デジタルナレッジのデータをAlexa用に構造化したという。

 「人間の脳は、文章の中から『店舗名』『住所』『営業時間』など、必要な情報を認識することができる。しかしAlexaにとっては、文章は単なる文字列でしかなく、内容を認識するのは難しい。そのため、Alexaが理解できるよう、デジタルナレッジを構造化したうえで、同期化することが重要になる」(ドナヒュー氏)としている

Alexa用に構造化したデジタル・ナレッジ

 発表会では、スマートスピーカー「Amazon echo」の実機を使って、Yextのデジタル・ナレッジを活用したAlexaの音声アシスタントのデモが行われた。

 まず、従来のAlexaの例として、「みずほ銀行本店」の営業時間を音声検索すると、情報が入っていないため「不明」と回答されてしまったが、Yextのデジタルナレッジが同期されている例として、「Appleストア銀座」の営業時間をAlexaに尋ねると、今度はしっかりと回答した。

 これにより、Alexaユーザーの音声検索に対して、企業として正確性の高い回答を提供できるようになることをアピールしている。

デモで使用したスマートスピーカー「Amazon echo」