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NEC、映像内での出現パターンを数値化し不審者を高精度で絞り込む自動分類技術を開発

 日本電気株式会社(以下、NEC)は12日、大量の映像から人物の出現パターンを数値化し、不審者を絞り込む自動分類技術を開発したと発表した。

 今回開発した技術は、頻出する人物を抽出する「時空間データ横断プロファイリング」を強化するもの。今回は、不審者の見逃しを防ぐため、出現パターンの違いに注目して不審者を抽出するアルゴリズム(手法)を開発した。

 具体的には、まず、カメラ画像をマス目に分割し、映像内の人物の出現頻度、動き(行動範囲、活動量)、滞在時間といった情報を細かく統計処理して、画像1フレームごとに数値化する。

人物の出現パターンを可視化

 これを時間の経過で並べ、その変動の度合いを変化曲線で表すことにより、例えば、滞在時間が長く変動の度合いが小さいと立ち止まっている、大きいとうろうろしている、といった出現パターンの分類が可能になったという。

出現パターンの違いを表す変化曲線

 また、こうして変動の度合いから導き出された出現パターンは、出現頻度、動き、滞在時間の数値の重みづけを調整することで、不審者の出現パターンが上位になるように設定することが可能になるとのこと。

 例えば、立ち止まっている人は“滞在時間”を大きくする、うろうろしている人は“動き”と“滞在時間”を大きくするなどの設定により、人物を出現パターンで絞り込めるようになった。

 NECでは実際に、公開映像データを用いてこの技術の評価実験を行ったところ、うろうろしていた人、長時間立ち止まっていた人、通り抜けた人などの出現パターンを正しく分類でき、不審者の見逃しがなくなることを確認したとしている。

 なお、この技術を応用することで、特定対象を効率的に絞り込んで探索することも可能になるため、不審者の絞り込みだけでなく、例えば、迷子や徘徊(はいかい)などの状況に応じて早い段階で適切な対応を行う、といった用途でも利用できるとのこと。

 NECは今後、防犯や、観光客へのおもてなしなどへの適用に向け、2018年度の実用化を目指す考えだ。