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アバナード、“DXに欠かせない”クラウド移行の支援サービスを提供

 アバナード株式会社は11日、システムをクラウドに移行し、ビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する「クラウドトランスフォーメーション支援サービス」を、日本国内で提供開始すると発表した。

 Avanade米本社は、AccentureとMicrosoftが出資して2000年4月に設立された企業。Microsoftのテクノロジーを活用したビジネス戦略を提供している。

 新サービスは、オンプレミスの既存システムをMicrosoft Azureへ全面移管し、企業のDX実現を支援するもの。欧米ではすでに実績があるとのことで、「日本でも、一部だけでなく全面的なクラウド移行を検討するお客さまが増えてきたことから、今がサービス開始のタイミングと判断した」(アバナード 代表取締役の安間裕氏)。

 米本社のCEOであるアダム・ワービー氏は、「日本企業は欧米に比べクラウドへの移行が遅れている。多くの企業がDXを進めているが、そのためにクラウドがなぜ必要になるのかを説明し、欧米での成功事例をもとにしたクラウド移行を日本企業に提供していきたい」と、新ビジネス開始の意気込みを話した。

アバナードの安間裕代表取締役
Avanadeのアダム・ワービーCEO

Microsoft Azureへの全面移行とDXを実現に向けた戦略支援を提供

 前述したように、AvanadeはAccentureとMicrosoftが共同で設立した戦略的な企業で、ビジネスを評価する上流工程から、テクノロジーの設計、導入、移行、さらに運用までトータルな戦略とテクノロジーを提供するところが特徴であり、強みとなっている。

 今回提供する新サービスも、欧米で提供実績があるMicrosoft Azureへの全面移行と、DXを実現するための戦略支援を提供する。

 企業がDXを実現するためには、DXに対応した新しいITシステムを導入する必要があるが、クラウドはそれを低コストで実現し、さらにコスト削減につながるためにビジネスモデル移行などの際の費用にまわすことができる。

 ワービー氏は、欧米での成功事例を2件紹介。保険業務を展開するTowergate Insuranceは、Windows Server 2003、Windows 7などのレガシーシステムの入れ替えが必要だったため、今回のサービスを利用して全面的にAzureへの移行を図った。

 その結果、2600のアプリケーションを222に集約し、データセンターのサーバーの50%削減を実現したという。「ITコスト25%カットに成功し、資金的な余裕ができたことからその資金をビジネス変革の費用とした。現在はクラウドへ6PBのデータを載せ、システム運用を行っている」(ワービー氏)。

 また、ミッドマーケット向けの資金提供をビジネスとしており、GE Capitalから分割されたAntares Capitalは、VDI導入からスタートし、全システムをクラウドに移行したとのことだ。

 なおAvanadeでは最初に、クラウドへの移行を検討する企業に対し、システム分析から移行までにかかる大ざっぱなスケジュールと費用を提示する。企業側はそのスケジュールと費用をもとに、移行実施検討などが行えるという。

 また、Azureに全面的に移行を行う中間地点で、Azure Stackを活用し、Azureでの本番稼働までのつなぎとするといったサービスも提供。企業が全面的にクラウドを採用する支援環境を提供していることも、サービスの特徴となっている。

 ワービー氏は日本企業に向け、「クラウド移行のメリットはインフラコスト削減と思われているが、実はトータルオペレーションコストなどにもコストがかかっており、そこまで踏まえてクラウドのメリットを考えるべきだ」と提言。

 安間氏も、「古い分け方でシステムを情報系、基幹系に分類すると、日本でのクラウドへの移行が遅れているのは基幹系。ところが、もうかれば処理伝票が増加するなど変動要因が多く、クラウドのメリットがあるのは基幹系システムの方だ」という点を指摘する。

 また、「日本のユーザーに根強く残っている安全・安定神話も、1社が(オンプレミスの)サーバー維持にかけるコストと、複数社が利用しているクラウドにかけているコストの、どちらが多いのかを考える必要がある。安全・安心は当然、コストとリニアに関係するものなので、そこからもクラウドの方が安全・安心につながる」とアピールした。

 パブリッククラウドとプライベートクラウドについては、「欧州のお客さまで原子力関連ビジネスを行っているところは、原子力関連のデータはパブリッククラウドには載せたくないということで、プライベートクラウドを利用し、それ以外のデータはパブリッククラウドを利用している。また、Microsoftが提供するインテリジェントエッジは、客船、鉱山といった、常時ネットワークが使えない、クラウド利用が難しい場所での活用に適している。場面に応じたハイブリッドという選択肢も必要」(ワービー氏)と説明した。

 なお、会見にはアクセンチュア オペレーションズ本部インフラストラクチャー&クラウドサービス統括 マネジング・ディレクターの西村雅史氏、日本マイクロソフト 執行役員常務 パートナー事業本部本部長の高橋美波氏も登場。「お客さまにとっては最新ソリューションを選択する際の選択肢が増えることになる」と、アバナードの日本でのビジネスが拡大することに賛同のコメントを寄せた。

アクセンチュア オペレーションズ本部インフラストラクチャー&クラウドサービス統括 マネジング・ディレクターの西村雅史氏
日本マイクロソフト 執行役員常務 パートナー事業本部本部長の高橋美波氏