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アバナード、5月1日付で代表取締役社長に安間裕氏が就任

企業と個人のIT融合によるデジタル化の進展をリード

アバナード 代表取締役社長の安間裕氏

 アバナード株式会社は5月1日付で、代表取締役社長に安間裕氏が就任すると発表した。安間氏は、アバナードの日本における事業を統括し、アバナードのアジアパシフィックエリアプレジデントであるIan Jordan氏にレポートする。

 今回新社長に就任した安間氏は、アバナード入社以前は、事業会社のIT部門責任者として、またアクセンチュアを含むITコンサルティングファームではITソリューションのデリバリーやアウトソーシング、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の戦略構築および実施責任者として、さまざまなプロジェクトに深く携わってきたという。安間氏のもつIT業界内外および外資系・日本企業でのマネジメント経験を生かし、アバナードの国内における企業活動の強化と事業拡大を目指す。

 新社長就任にあたり、4月24日にプレス発表会が行われ、安間氏が同社の事業概要と今後のビジネス戦略について説明した。「当社は、マイクロソフトのテクノロジーとアクセンチュアのビジネス知識を活用したソリューションを提供することで、さまざまな顧客のビジネス課題を解決してきた。特に、マイクロソフトテクノロジーについては高度なスキルを備えており、グローバルで2万以上のMicrosoft Certificationを取得し、32人のMCM/MCA、25人のMVPを擁している。そして、これまでに100万シート以上のWindows、220万シート以上のOffice 365を導入し、3000以上のSharePointプロジェクトを600以上の顧客に導入してきた実績をもっている」と、安間氏は、マイクロソフトテクノロジーにコミットしたソリューションを展開してきたと強調する。

 これからのITインフラ環境に関して安間氏は、「スマートデバイスの普及にともない、企業と個人のITの融合が加速し、デジタル化がさらに進展していく」との見通しを示す。その上で、「今までWindowsがITインフラの普及拡大をけん引してきたように、今後のデジタル化の進展をリードしていくのもマイクロソフトテクノロジーであると確信している」との考えを述べた。

 デジタル化を進展させるキーワードとしては、モビリティ、クラウド、ソーシャルコンピューティング、ビッグデータの4つを挙げ、これに対して同社では今後、「Work Redesigned」と「IT Without Boundary」の2つのビジネス戦略を推進していく方針を打ち出した。

 「『Work Redesigned』では、デジタル化の進展がもたらす仕事のやり方や働き方の変化を、マイクロソフトとアクセンチュアとの協力体制の下、当社がもつ高度なテクノロジースキルと業務スキルによって支援していく」という。「Work Redesigned」で提供されるソリューション例としては、航空業ではフライトエクスペリエンスの転換、小売業では受注から出荷までの業務プロセスの改善、ヘルスケアでは紙や手作業による処方箋(せん)業務のプロセス改善、金融業では紙ベースのワークフローからモバイルを活用した柔軟なプロセスに変換、などを挙げている。

 「IT Without Boundary」は、IT部門主導ではなく、企業全体でIT活用を推進する取り組みを支援していくもの。安間氏は、「現在、日本企業のIT部門は既存システムのメンテナンス作業に多くの時間を費やしており、IT部門のあり方を変革させる必要がある。また、日本企業は、販管費比率が世界で最も高い一方で、年商に占めるIT投資比率は世界最低となっている。つまり、日本企業のIT活用は、世界に比べて大きく遅れているのが実情だ」と指摘し、マイクロソフトテクノロジーとビジネスソリューションによって日本企業のIT活用を一気に進展させていくと意欲を見せた。

アクセンチュア 代表取締役副社長兼執行役員 テクノロジーコンサルティング本部 統括本部長の関戸亮司氏

 安間氏の新社長就任を受けて、アクセンチュア 代表取締役副社長兼執行役員 テクノロジーコンサルティング本部 統括本部長の関戸亮司氏は、「個人と企業のITの融合が加速するなかで、マイクロソフトとの協業によるビジネス戦略において、アバナードは非常に重要な役割を担っていくと考えている。現在も、当社とマイクロソフト、アバナードが一体となってミッションクリティカルなビジネスを進めているが、今後はさらに人材交流を活性化させ、マイクロソフト関連のコンサルティングやテクノロジーをアバナードと統合していく。また、企業向けITと個人向けITを融合した新たなシステム設計や開発手法を共同で作り上げていきたい」と述べている。

日本マイクロソフト 業務執行役員 エンタープライズパートナー営業統括本部長の近藤禎夫氏

 日本マイクロソフト 業務執行役員 エンタープライズパートナー営業統括本部長の近藤禎夫氏は、「タブレットなどのモバイルデバイスが急速に普及拡大している一方で、企業ではモバイルデバイスの業務への活用が大きな課題になりつつある。そして、企業からは、モバイルデバイスの業務活用をトータルでコーディネートできるパートナーが求められている。また、2015年7月にWindows Server 2003のサポートが終了するが、これに向けて、既存のオンプレミスとクラウドを統合し、ビジネスに役立つハイブリッドクラウドシステムを構築していくことが求められる。こうした、モバイルとクラウドを活用したソリューション展開を推進していくために、今後、アクセンチュアとともに、アバナードとの協業体制をさらに深めていく」と、新体制となったアバナードとの協業によるさらなるビジネス拡大に期待を寄せた。

唐沢 正和