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損保ジャパン日本興亜、NTT ComのAIによるオペレーター自動支援システムを本格導入

機能強化のための共同実験も実施

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は19日、損害保険ジャパン日本興亜株式会社(以下、損保ジャパン日本興亜)が、アドバイザー(損保ジャパン日本興亜では、一般にいうオペレーターをアドバイザーと称している)を支援するために、音声認識AIを活用した「アドバイザー自動知識支援システム」を、全国のコールセンターに本格導入すると発表した。

 損保ジャパン日本興亜では、2016年2月自動車保険・火災保険・傷害保険などの一部のコールセンターにおいて、NTT Comがシステムを構築した「アドバイザー自動知識支援システム」を導入している。

 このシステムは、顧客とコールセンターのアドバイザーとの通話内容を、AIによる音声認識技術(音声マイニングシステムのForeSight Voice Mining)でテキスト化し、そのテキストデータに基づいて、アドバイザーが使用するPC上にリアルタイムで最適な回答候補を表示するもの。

 同システム導入後も継続してAIの学習を深めた結果、音声認識精度が当初の80%台から95%に近づき、認識した質問に対する回答候補の表示精度も80%を超える成果が得られたという。

 こうした状況を踏まえて損保ジャパン日本興亜は、「アドバイザー自動知識支援システム」の導入拡大を決定し、3月から、全国のコールセンターへの本格導入を決めた。

さらなる機能強化を図るための共同実験も

 また損保ジャパン日本興亜とNTT Comは、コールセンターのさらなる機能強化を図るため、NTTグループのAI技術「corevo」を活用し、将来の音声自動通話対応を見据えた共同実験を開始する。

 現在のシステムでは、複数の発言のうちどの発言に関連したQ&Aを表示するか、アドバイザーが自ら選択する必要がある。今回の実験では、アドバイザーが選択しなくとも、会話の中でどの発言が重要なポイント(顧客の用件)であるかをAIが自動で把握し、その用件にかかわる回答候補がアドバイザーに表示されるといった仕組みを導入して、その回答の正確さや迅速さの向上効果を検証するとのこと。

 この仕組みでは、重要なポイントが自動表示されることにより、応対履歴の入力作業も効率化されるため、その効果についても検証する。

 さらには、AIによる支援範囲の拡大も図る。一般に、コールセンター業務を支援するAIでは、事前に用意されたQ&A形式のデータベースから適切な回答を探し出すため、Q&Aがカバーしきれていない質問への対応は困難という。

 それに対して今回は、表を含めた文書の構造をAIが自動認識する技術を用いて、パンフレット、契約のしおりなどの既存文書をAIが“読む”ことで、そこに書かれている内容を新たな知識として獲得し、回答文を自動作成する仕組みを導入・検証するとのこと。

 これにより、Q&Aにない質問に対応することも可能になるほか、人間がQ&Aを作成する際の業務負荷軽減も見込まれることから、その効果を検証するとした。