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Pivotalジャパン、2018年事業戦略とPivotal Cloud Foundry最新版を発表

 Pivotalジャパン株式会社は8日、2018年の事業戦略と、同社のPaaS製品の最新版となる「Pivotal Cloud Foundry(PCF) 2.0」を発表した。

 2018年は、Pivotalにとって設立5周年の年となる。Pivotalジャパン カントリーマネージャーの正井拓己氏は、同氏が2年前に「2016年はデジタル変革元年になる」と宣言したことに触れ、この2年で多くの顧客のデジタル変革を支援したと話す。

 その上で正井氏は、「これまでの活動でPivotalはさらにデジタル変革を支える体制が整った。2018年はデジタル変革が加速する年になる」と述べた。

Pivotalジャパン カントリーマネージャー 正井拓己氏
2018年Pivotalジャパン事業戦略

 Pivotalの事業の中核となっているのは、リーンスタートアップやアジャイル開発を支援するPivotal Labsと、今回最新版を発表したPCFだ。

 Pivotal Labsは1989年に米国シリコンバレーで創設され、現在は世界21カ所で展開。すでに1000社以上の企業に採用された実績を持つ。国内におけるPivotal Labsが設立されたのは2016年1月だが、この2年で20件以上の案件に携わり、顧客の業種も金融、運輸、製造、通信など幅広い。

 また顧客のリピート率は70%以上にのぼるなど、「日本の顧客にもサービス品質を評価してもらっている」と正井氏はアピール。「2018年もPivotal Labsをベースに顧客企業のデジタル変革を具現化させるとともに、テクノロジー企業の働き方改革も推進していきたい」と正井氏は述べている。

Pivotal Labsの国内での状況

 一方のPCFは、日本での導入数が年々増加しており、2017年末には導入数が対前年比1.5倍以上になったという。新規顧客のみならず、既存の顧客がライセンスの規模を拡大する動きも高まっており、「日本顧客の中で最大のアプリケーションインスタンス数は5000インスタンスにのぼる」と正井氏。

 適用領域も、フロントエンドのみならずミッションクリティカル領域での導入が増えているほか、アジャイル開発との統合案件も加速していることから、「今後も顧客の幅やライセンス規模を拡大しつつ、ソフトウェア開発の変革とプラットフォームの改革を同時に推進していく」(正井氏)としている。

 こうした取り組みの一環として、2017年には新たなパートナープログラムも立ち上げ、IISおよびNTTデータがパートナー契約を締結している。正井氏は「2018年も重点的にパートナーとの関係を強化する。近いうちに新たな発表もできるだろう」と述べた。

Pivotal Cloud Foundryの国内での状況

これまでの機能をリブランディング/強化したPCF 2.0

 PCF 2.0については、同社のリードプラットフォームアーキテクト 市村友寛氏が解説した。市村氏によると、今回発表した最新版はPCFとして最大のアップデートだという。

Pivotalジャパン リードプラットフォームアーキテクト 市村友寛氏

 まず、これまでのPCF(Elastic Runtime)機能を、新たに「Pivotal Application Service」(PAS)としてリブランディング。従来の技術をベースとし、クラウドネイティブアプリケーションの稼働に向けた機能を提供する。

 PASにはさまざまな新機能が追加された。そのひとつが、マイクロソフト環境のサポートを強化したことだ。PASでは、Windows Server 2016コンテナやAzure Stackをサポートする(Azure Stackのサポートはベータ)。これにより、PCFのCPU自動スケーリングをはじめとする多くの機能が、Windows上の.NETアプリケーションでも利用できるほか、PCFをAzure Stack環境にもデプロイできるようになる。

 また、PCFの性能を監視する運用管理者向けダッシュボードHealthwatchを新たに追加。この監視ダッシュボード上で、推奨KPIやスケーリング指標が提供される。

 VMwareのネットワーク仮想化プラットフォームとの連携も強化した。「VMware NSX-T」とPCFが統合されたことから、ネットワーク管理者はNSX-TとPCFを利用してクラウドネイティブアプリケーションと従来型アプリケーションの双方共通となる運用モデルが構築できるようになる。

Pivotal Cloud Foundry 2.0
PCF 2.0に追加された新たな機能Healthwatchのデモ画面

 このほか、PCF 2.0には新製品として「Pivotal Container Servkce」(PKS)が登場した。これは、コンテナオーケストレーションツールであるKubernetesの実行を支援するCaaS(コンテナ・アズ・ア・サービス)だ。

 PKSは、オープンソース版Kubernetesをサポート、標準のKubernetesコマンドが使用できる。独自拡張は行わず、Kubernetesプロジェクトの最新安定版との互換性を維持している。

 また、PKSにはPCFの中核機能となるBOSHが組み込まれており、システムのダウンタイムなしに完全な自動運用にてKubernetesクラスタのデプロイやスケール、パッチ、アップグレードが可能だ。さらに、PKSにはNSX-Tが同梱されていることから、ネットワークのマイクロセグメンテーションや動的ロードバランシングなどの機能を駆使し、自社のネットワークポリシーを容易に施行できる。

 市村氏によると、PASとPCSのほか、年内には新たにFaaS(ファンクション・アズ・ア・サービス)として「Pivotal Function Service」(PFS)もリリース予定だという。PFSはオープンソースのriffをベースとし、サーバーレスコンピューティング環境を実現するイベント処理実行エンジンとなる。