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日本ヒューレット・パッカード、グローバルのHPEストレージ戦略について説明

「HPE InfoSight」で自律型データセンターの実現目指す

 日本ヒューレット・パッカード株式会社は7日、米本社である米Hewlett Packard Enterprise(HPE)のストレージ戦略について説明会を開催した。説明会では、グローバルにおけるHPEストレージの製品戦略のほか、「HPE InfoSight」による自律型データセンター実現に向けた取り組みも紹介した。

 まず、説明会の冒頭では、日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 データプラットフォーム統括本部 エバンジェリストの高野勝氏が、HPEのビジネス概況について紹介。

 「HPEでは現在、ハイブリッドIT運用を円滑にするツール群をSaaSとして続々と展開している。その一つがクラウドベースのモニタリングとデータ分析ツール『HPE InfoSight』だ。世界中にあるストレージの稼働データを収集・分析し、リアルタイム健康診断や保守業務の自動化を実現する。

 また、日本では未展開のツールとして、マルチクラウドのストレージ領域を提供する『HPE Cloud Volumes for AWS and Azure』、シンプルなマルチクラウド管理を提供する『HPE OneSphere』をリリースしている」という。

日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 データプラットフォーム統括本部 エバンジェリストの高野勝氏

 ストレージ製品のポートフォリオについては、「『MSA』、『SimpliVity』、『Nimble』、『3PAR』を4本柱として展開し、顧客のニーズや用途に応じて提供している。『MSA』は小規模な環境向け、『SimpliVity』は仮想マシンやVDIの統合環境向け、『Nimble』はサービスプロバイダのDBやSaaS、パブリッククラウドの立ち上げ用途向け、『3PAR』は大規模なプライベートクラウドやパフォーマンスDB向けにポジショニングされる」と説明した。

 また、「今後の重点施策としては、『HPE InfoSight』を、HPEが提供しているITインフラ機器全体に展開する予定で、自律型データセンターの実現を目指す」との方針を示している。

HPEストレージ製品のポートフォリオとポジショニング

 続いて、米HPE HPEストレージ部門 製品管理&マーケティング担当ディレクターのヴィッシュ・ムルチャンド氏が、グローバルでのストレージ製品戦略について説明した。

 「HPEストレージでは、『予測可能性』、『クラウド対応』、『タイムレス』といった3つの領域にフォーカスをあてて、製品戦略を展開している。『予測可能性』では、インフラ全体のスタックにまたがって予測を行うことで、事前に障害の予兆を検知して対策が可能となる。『クラウド対応』では、データをクラウドレベルまでスケールすると同時に、オンプレミスとクラウド間で双方向のデータ移動を実現する。そして、『タイムレス』では、柔軟性をもって、投資したストレージを永続的に使用できるようにする」という。

 「これら3つの領域に対して、用途に応じて幅広いストレージ製品を展開している。まず、フラッシュストレージでは、手ごろな価格の『MSA』から、高信頼性のハイエンドモデル『XP7』までをラインアップ。ハイパーコンバージド向けでは『SimpliVity』、コンポーザブル向けでは『Synergy』を用意している。また、クラウドレディのミドルレンジストレージとして、『Nimble』と『3PAR』を提供。シンプルさを求める顧客向けには『Nimble』を、柔軟性を求める顧客向けには『3PAR』を提案している。さらに、最近ではコールドデータに対応した新たなストレージのニーズも高まっており、当社では、最先端のHPEストレージ製品と、重要なソフトウェアベンダーとのパートナーシップを通じて、この分野にアプローチしていく」と述べた。

HPE HPEストレージ部門 製品管理&マーケティング担当ディレクターのヴィッシュ・ムルチャンド氏

 次に、米HPE HPE Nimble Storage 分析&カスタマーサポート担当バイスプレジデントのロッド・バグ氏が、「HPE InfoSight」の取り組みについて説明した。

 「昨今、アプリケーションの要求とデータ処理の間にギャップが広がり、IT運用者の頭を悩ませている。この課題を解消するためには、自律型のデータセンターを構築することが重要になるが、それを実現するのが『HPE InfoSight』である。『HPE InfoSight』では、予知サポートを自動化し、障害が発生する前に顧客にレコメンドを出すことができる。また、顧客はクラウド上のポータル画面を通じて、プロアクティブな管理を行うことが可能となる。そして、『HPE InfoSight』が学習して得られた知見は、全世界のインストールベースに共有される」と、「HPE InfoSight」は自律型データセンターのコアテクノロジーになると強調した。

HPE HPE Nimble Storage 分析&カスタマーサポート担当バイスプレジデントのロッド・バグ氏

 「HPE InfoSight」のアップデートについては、「新たな機能としてAI Recommendation Engineを提供し、データサイエンティストでも解決が難しい複雑な問題を機械学習で解析している。これによって、データセンターの自己治癒、自己最適化を自動で行うことが可能になると考えている。また、VMware向けのCross-Stack Analyticsを提供し、レイテンシーの原因を特定できるようになった」という。

 今後の展望としては、「『HPE InfoSight』が提供するAI機能を『3PAR』にも拡張することを計画している。将来的には、ストレージだけでなく、サーバー、ネットワーク、コンバージド製品にも広げ、データセンターのためのAI機能へと進化させていく」と語った。

 最後に、ムルチャンド氏が再び登壇し、「HPE Cloud Bank」の概要について、「『HPE Cloud Bank』では、マルチクラウドでのデータバックアップを実現する。具体的には、バックアップするデータのスナップショットをローカルの『StoreOnce』に保存。そのメタデータのコピーを重複排除、圧縮してAzureやAWSのクラウドストレージ、またはオブジェクトストレージに格納する仕組みとなる。今後は、バーチャルストレージアプライアンスにも格納できるようになり、最終的には、クラウド上のオブジェクトストレージに直接バックアップできるようにしていく」と説明し、説明会を締めくくった。