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信濃毎日新聞社と富士通、AIによる記事の自動要約システムを実現
まずはCATV向けニュース配信で活用
2018年1月15日 15:14
信濃毎日新聞株式会社と富士通株式会社は15日、富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を活用して記事要約の実証実験を実施し、多様なメディア配信に活用できる自動記事要約システムを実現したと発表した。
紙媒体での報道を中心としていた新聞社でも、現在ではWebニュースをはじめ、多様なメディアへ二次配信を行っている。そうした場合、配信するメディアごとに文字数の制限が異なるため、新聞社では各メディアにあわせて記事を要約しているが、従来は人手によってそうした作業を実施してきたため、作業効率の向上やコストの削減が課題になっていた。
そうした背景の中で今回、信濃毎日新聞社は、CATV向けニュース配信サービスにおける業務効率の改善を目指して、AIを活用した自動記事要約システムの実証実験を富士通と共同で行った。この結果、人手で行った場合と同等の高い精度の要約記事を瞬時に作成できることを確認できたため、信濃毎日新聞社では同システムを実際の業務に導入することを決め、2018年4月より本格的な運用を開始するという。
具体的には、信濃毎日新聞社の過去記事と、それらを人手で要約した記事をセットにした、合計約2500セットの記事を自然言語処理および機械学習させることでモデル化。CATV向けニュース配信サービスに最適化された要約記事を自動作成できる、自動記事要約システムを構築した。
このシステムを利用して記事を自動要約することにより、人手では記事1件当たり最大約5分かかっていた要約を瞬時に行えるようになるため、全体プロセスの5割程度の時間短縮が期待できるとのこと。
また、従来の自動要約手法であるLEAD法では、文字数制限に応じて文章の先頭から機械的に抜粋して要約記事を作成するのに対し、このシステムでは記事先頭以外からも重要文を抽出して要約を行うため、人手と同じように精度の高い要約記事を作成できる。
なお同システム完成後、過去に配信された一般社団法人共同通信社の「ニュースパック」を要約したところ、同様の結果を得られたとした。
実装にあたっては、Web APIで提供されることから、信濃毎日新聞社の現在のワークフローを変更することなく容易に適用できる点もメリットとしている。
富士通では今後、CATV向けニュース配信だけではなく、電光掲示板ニュースやSNSなど、文字数制限の異なるメディアごとに最適化された要約モデルを構築し、多様なメディアに対応可能な自動記事要約システムの製品化を進める考え。
さらに、メディアだけでなくほかの業種でも容易に活用可能にするため、汎用性の高いAI機能をAPIとして提供するサービス「FUJITSU Cloud Service K5 Zinraiプラットフォームサービス」の一部として提供することを目指すとした。