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富士通、川崎市においてICT活用による津波被害軽減に向けた共同プロジェクトを開始

 富士通株式会社、国立大学法人東京大学地震研究所(以下、東京大学地震研)、国立大学法人東北大学災害科学国際研究所(以下、東北大学災害研)、川崎市は24日、川崎市臨海部を対象とした津波被害軽減に向けた津波の予測や事前対策の技術検討を、それぞれの防災技術やAI・スパコンなどを活用して進めるプロジェクトについて覚書を締結した。

 川崎市と富士通では、2014年度に「持続的なまちづくりを目指した包括協定」を締結しており、今回の技術検討はその活動の一環として、東京大学地震研と東北大学災害研との連携・協力により進めるもの。

 4者では、今後起こりうる大津波に向けた被害軽減対策をより効果的に進めるためには、全国を概観した津波予測の活用に加え、地域ごとに、その特性を考慮した地域カスタマイズ型の津波予測が求められると説明。沖合の津波観測データとAIやスパコンなどの最新ICTを最大限活用することで、地域の特性・ニーズを考慮した、実用的かつ有効な津波防災対策に向けた技術検討を、産官学協働体制で行うことに合意した。

 技術検討では、川崎市臨海部を対象地域として、同市の危機管理室との連携、意見交換を通じて、防災の現場で有効な技術の検討を行う。東北大学災害研と株式会社富士通研究所が開発した高速かつ高精度な津波浸水シミュレーション技術や、東北大学災害研と株式会社富士通総研が進める、避難行動をモデル化した津波避難シミュレーション技術を活用。東京大学地震研が想定する地震・津波ハザードについて、主に「沿岸波形予測の高精度化」「リアルタイム浸水解析」「地域予測情報の活用方法検討」「沿岸津波挙動の特徴把握」の4項目について検討する。

 沿岸波形予測の高精度化については、遠く離れた沖合の津波観測点において時々刻々と得られる観測データを用いて、川崎市臨海部の沿岸の津波波形(波高、到達時間)を高精度に予測する手法を検討し、多様な想定地震に対して有効性を検証する。

 リアルタイム浸水解析については、沖合観測データを基に、川崎市臨海部の津波浸水を高解像度でリアルタイム解析するシミュレーションモデルを構築する。

 地域予測情報の活用方法検討では、沿岸波形予測の高精度化、リアルタイム浸水解析による、地域での津波予測情報を利用することで得られる減災効果を、人の行動をモデル化したシミュレーションによって評価し、情報の有効な活用方法について事前検討する。

 沿岸津波挙動の特徴把握については、複数の人工運河がある川崎市臨海部において複雑化する津波の挙動を、多様な想定地震に対するシミュレーションを通して事前把握する。

 4者は、川崎市臨海部を対象地域として今回の技術検討を進め、その後、予測の不確実性を考慮した利活用方法や他の津波予警報との整合性など実用化に向けた課題の検討を行う予定。将来的には、南海トラフ沿岸域など他の地域にも適用することで、今後想定される地震と津波に対して強靭な地域防災・減災対策の実現に貢献するとしている。

地域カスタマイズ型の津波予測
地域カスタマイズ型の津波事前対策