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日本IBM、クラウドネイティブなアプリ開発環境をプライベートクラウドで実現する「IBM Cloud Private」

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は8日、コンテナ技術をベースとしたクラウドネイティブなアプリ開発環境をプライベートクラウドで実現する「IBM Cloud Private」の提供を開始した。最小構成の価格は月額13万400円(4コア、税込)から。評価目的で利用できる無償のコミュニティエディションも提供する。

 IBM Cloud Privateは、DockerやKubernetesなどのオープンテクノロジーを基盤技術として、クラウドネイティブアプリケーションの開発と運用に必要な環境を、プライベートクラウドや企業のオンプレミス環境に構築できるクラウド基盤ソフトウェア。

 IBM Cloud Privateを利用することで、企業はマイクロサービス化されたアプリケーションを開発し、パブリッククラウド、プライベートクラウドへの展開に加えて、オンプレミス環境のアプリケーションのモダナイズを図ることができ、クラウド化に進めなかったアプリケーションをクラウド化できる。

 製品は、DockerコンテナとCloud Foundryの両方をサポートし、DockerコンテナはオープンソースであるKubernetesによりコンテナアプリの配置とスケーリングの自動化に対する管理を集約できる。このため、アプリケーションのワークロードを任意のクラウド環境に展開するポータビリティ性、ベンダーロックインの回避などが図れるとしている。

IBM Cloud Private

 IBM Cloud Privateでは、マルチクラウド管理の自動化機能も提供。マルチクラウド環境を単一の管理機能により、サービスの開始、監視、および管理がより迅速かつ容易になり、一貫したセキュリティを確保する。

 また、クラウド全体のコンテナを常時スキャンし、クラウドのサービスとデータを攻撃に晒しかねない潜在する深刻なセキュリティの問題と脆弱性を特定し、脆弱性に関するアドバイスを提供。移動中のすべてのデータを暗号化し、データアクセス、コンプライアンス、監査要件を綿密に定義することで、クラスター内でユーザーごとに厳格なアクセスコントロールを提供する。

 また、IBM Cloud Privateの発表に合わせて、IBM WebSphere LibertyやDb2、MQなどの、企業向けソフトウェアの新しいコンテナ化されたバージョンを発表。これにより、IBM Cloudのプライベートクラウドとパブリッククラウド、その他のクラウド環境でデータの共有やアプリケーションの展開がより容易になる。

日本IBM取締役専務執行役員IBMクラウド事業本部長の三澤智光氏

 日本IBM取締役専務執行役員IBMクラウド事業本部長の三澤智光氏は、顧客がアプリケーションやデータをクラウド化したいと考えていても、クラウドベンダーが持つ特権IDへの懸念や、インターネット経由でのクラウド操作への懸念、監査証跡やログなどの取得といった課題から、パブリッククラウドの採用には踏み切れない業態もあるのが実情だと説明。

 こうした問題に対して、IBM Cloud Privateを利用することで、クラウドネイティブの能力をオンプレミス上で実現し、特権IDや監査証跡、ログなどを顧客だけがコントロールできるようとともに、既存資産のモダナイズやマルチクラウド管理、ベンダーロックインの回避などを実現するとした。

 IBM Cloud Privateは、コンテナ技術と運用管理基盤を包括で提供することで、コンテナベースのクラウドアプリの開発の促進、支援、普及を図ると説明。KubernetesやDockerといったクラウドネイティブアプリケーション基盤に加え、マルチクラウド自動環境構築、ハイブリッドクラウド運用管理、マイクロサービス開発基盤、DevOpsツールチェーンなど、オープンテクノロジーをベースに、企業の次世代システム基盤に必要となる技術を統合、包括的に提供するとした。

パブリッククラウドへの移行が難しい業態にも対応