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Windows 10とOffice、セキュリティ機能を提供する月額2000円台のSMB向け「Microsoft 365 Business」
Surface ProのLTE-Advanced対応モデルも
2017年11月2日 06:00
日本マイクロソフト株式会社は1日、働き方改革に向けた提案を加速することを発表した。新たに、中堅・中小企業を対象にした「Microsoft 365 Business」、および最前線のフィールドワーカーをターゲットとした「Microsoft 365 F1(Firstline Worker)」を投入することを発表。さらにSurface Proのラインアップにおいて、LTE-Advanced対応のSIMフリーモデル2機種を追加した。
日本マイクロソフト 執行役員常務 マーケティング&オペレーションズ部門担当のマリアナ・カストロ氏は、「働き方改革は、働く人にとっても、日本の企業にとっても大切な取り組みである。モダンワークプレイスは、それを支えるためのマイクロソフトの提案になる」と位置づける。
また、日本マイクロソフト 業務執行役員 Windows&デバイス本部長の三上智子氏は、「日本マイクロソフトは、日本の働き方改革推進会社の自負がある。中堅中小企業ではITの力が足りていない。Microsoft 365 Businessは、中堅・中小企業における働き方改革の決定版になる」と語った。
Microsoft 365の全製品ラインアップが出そろった
Microsoft 365 Businessは、Office 365とWindows 10、Enterprise Mobility+Security(EMS)を組み合わせたものとなる。今回の2製品は、すでに大手企業向けに提供していたMicrosoft 365 Enterpriseと、教育機関向けのMicrosoft 365 Educationに加わることになるが、そのうちMicrosoft 365 Businessは、中堅・中小企業の働き方改革の実現に特に必要な機能セットをカスタマイズして提供。セキュリティの心配やIT管理に煩わされることなく、「社員がもっと活躍できる働き方」を実現できる統合ソリューションとしている。
一方のMicrosoft 365 F1は、最前線で利用している利用者に向けたオプション製品と位置づけた。
これにより、Microsoft 365の全製品ラインアップが出そろい、パートナーとともに、すべての顧客に対して、働き方改革を強力に支援できるとしている。なおMicrosoft 365 Businessは、クラウドソリューションプロバイダーを通じた販売、あるいは同社Webサイトを通じた直販でも提供する。
参考価格は、Microsoft 365 Businessが月額2180円、Microsoft 365 F1が月額1060円。
Microsoft 365 Businessプレビュー版を利用しているFiNCでは、2年前からOffice 365を導入しており、「約400人の従業員が活用。会議や議事録はすべて管理し、情報を共有している。また、セキュリティや管理が簡素化し、コスト削減ができるという効果がある」(FiNC 取締役CISO情報システム本部長の小島かおり氏)という。
また、すでにプレビュー版を活用しているケルク電子システムでは、「ITリソースが十分でない中小企業でも統合された画面で管理が行える」としたほか、オプナムコーポレーションでは、「Officeのバージョンがユーザーによって異なるということがなくなり、最新環境への移行が可能になる。複数台残っていたWindows 7も移行できる」とした。
働き方改革に大きな関心
Microsoftが、日本を含むアジア地域の4000人以上を対象に実施したアンケートによると、日本の41%が、1週間のうち1日をオフィス以外で働き、35%が個人のスマートフォンを利用するモビリティ環境で仕事をしていること、日本のビジネスマンの20%は常に10以上のチームと働いていること、さらに、社員のデジタルスキルのギャップ解消に経営者がコミットしているのは5%であることがわかった。
だが、これらはアジア全体のなかでも遅れており、「日本とアジア全体では大きなギャップがある。日本は、こうした新たな働き方を支援するツールが必要である」(カストロ氏)とする。
一方で、79%の日本の経営者が、経営課題として重視するテーマとして「働き方改革」を挙げており、これは売り上げや利益よりも高い比率になっているという。
日本マイクソロフトの三上本部長は、「日本の企業は、最新のOfficeを導入していても、コラボレーションツールが使いこなせていなかったり、Windows 7がベースであるために最新の機能が使えなかったり、デバイスを持ち出し禁止にしている企業もある。そして、グループウェアを使っている中小企業はわずか12%にとどまる」と指摘。
「ICT活用にはまだ伸びシロがあり、これはわれわれにとっても大きなチャンスである。2020年にはWindows 7の延長サポートが終了し、新たな環境へと移行するチャンスでもある。キラキラ、ワクワク仕事ができる環境の実現の支援ができる。日本でも働き方改革を支援する新たなモダンワークプレイスソリューションを積極的に展開していく」と語った。
またカストロ氏は、「デジタルトランスフォーメーションは、あらゆる人に起こり、組織全体で起こすことが大切である。経営層にとっては、どうやって企業を変革し、デジタルカンパニーになるのかが大切な要素である。日本マイクロソフトは、日本の社会変革に貢献したい。安心して使ってもらいたい」と話す。
同社では、働き方改革の提案として、働く人のアイデアを形にする手伝いをする「創造力を最大限発揮」、発揮したクリエイティビティを、革新的なデバイスを活用して密な連携を行う「チームワークを強化」のほか、「統合によるシンプルな管理」と「インテリジェントセキュリティ」の4つの観点から提案をしていくことになるという。
デモンストレーションでは、PowerPointで資料を作成する際に、AIを活用してレイアウトを自動化。さらに、英語の資料を日本語に翻訳したり、3Dのコンテンツを作成したり、チームで情報を共有して作業を行ったりといったことが可能な事例を提示。「残業につながるような作業を解決できる」とした。
Office 365などを導入することで、ネッツトヨタ東京では社長と社員が密にコミュニケーションを取ったり、長時間残業者が8割減少したり、ユーザークレーム件数が半減するといった成果が出ているほか、東京海上日動コミュニケーションズでは、TCOが3割削減できたほか、社員のモチベーション向上や人材育成につながっているという。
さらに、Surface Hubをはじめとしたデバイスを利用し、オフィスと現場を結んだ会議を行い、最前線の声を直接反映する会議の手法も紹介。MyAnalyticsによって、不要な会議や効率の悪い働き方を指摘したり、コミュニケーションなどの改善をAIが提言。さらに、チームメンバーとのスムーズに連携し、コミュニケーションができるMicrosoft Teamsや、介護、育児、子育てに従事していて早朝や夕方の会議に自宅から参加可能にするSkype for Businessのメリットも訴求した。
日本マイクロソフト Officeビジネス本部の輪島文氏は、「クラウドを使って、人と人を結ぶことで、会議や仕事の仕方なども変わっていくことを示した。日本マイクロソフトでは、MyAnalyticsを利用して、7億円の残業コストの削減を実現している」と述べた。
また、三井住友フィナンシャルグループでは、MyAnalyticsを使用して、会議時間やメール時間、集中時間を見える化して、生産性、効率性の向上を図れたという。
このほか、Microsoftでは年間1000億円以上をセキュリティに対して投資しており、さらに、200以上のクラウドサービスをグローバルに展開し、10億台以上のWindows搭載デバイス、毎月4500億件以上の認証を行っている実績をセキュリティサービスにも生かしていることも強調した。
Surface ProにLTE-Advanced対応モデルを追加
また、日本マイクロソフトは、Surface Proに、LTE-Advanced対応のSIMフリーモデル2機種を追加。法人向けに販売すると発表した。11月1日から、認定Surfaceリセラーおよび2800社を超えるD-VAR(Device Value Added Reseller)各社を通じて先行受注を開始し、12月8日から出荷を開始する。
CPUにはCore i5を搭載。メモリ4GBでストレージ128GBのモデルが12万9800円(税別)、メモリ8GBでストレージ256GBのモデルが14万9800円(税別)となる。
Band 1/3/8/19/26など、国内の主要キャリアやMVNO事業者が利用するバンドを幅広くカバーし、最大450Mbpsのスループットやキャリアアグリゲーションに対応。三上本部長は、「日本のユーザーから早く出してほしいという要求が高かった製品。Qualcomm Snapdragon X16モデムを採用しており、12型の2-in-1では最高クラスのパフォーマンスを実現する。LTE対応モデルが加わることにより、いつでもどこでもセキュアに業務が遂行できる、快適なリモートワーク環境が実現し、顧客のビジネスをサポートできる」とした。
日本マイクロソフトでは、Surfaceファミリーを、「Microsoft 365 Powered Device」と位置づけ、働き方改革に最適なデバイスとして提案していくことになる。
なお、2020年1月に延長サポートが終了するWindows 7からの移行措置についても言及。「調査によると、全都道府県の約8割がサポート期限を認識し、取り組みを行っている。Windows XPのサポート終了時に比べるとかなり認知が進んでいる。Windows XPのときには、もっと事前に告知活動をして欲しかった、あるいは、もっと早く移行支援を展開して欲しかったという声があった。早い段階から、移行支援を強化したい。これはIT環境をモダナイズするという点でも大きな一歩になる」(三上本部長)と語った。