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富士通、日本自動車研究所に液浸冷却のPCクラスタシステムを納入
2017年10月24日 12:36
富士通株式会社は23日、一般財団法人日本自動車研究所が、自動車の衝突シミュレーション用計算機の新システムとして、液浸冷却システムを採用したPCクラスタを導入したと発表した。10月より稼働を開始している。
日本自動車研究所では、コンピュータ上で再現した車両や人体を用いたシミュレーション、ならびに実際の車両や人体ダミーなどを用いた実験によって、自動車が衝突した際の乗員や歩行者の安全性、傷害メカニズムなどを研究し、自動車業界に広く研究結果を提供している。
中でもコンピュータでのシミュレーションは、実際の人体ダミーを用いた実験よりも多くの情報が得られるとのことで、同研究所では、より精度の高いシミュレーションを行え、かつかつ消費電力を抑えたシステムを必要としていた。
今回、同研究所が採用したのは、同研究所が利用している非線形動的構造解析ソフトウェア「FUJITSU Technical Computing Solution LS-DYNA(エルエスダイナ)」などの計算機として利用するためPCクラスタシステム。
計算ノードとしては、富士通の高密度マルチノードサーバー「FUJITSU Server PRIMERGY CX400 M1」を採用。同サーバーに搭載された16ノード(計32CPU、192コア)の「同 CX2550 M2」により、高い計算能力を省スペースで提供できるというが、その冷却システムとして、サーバー類を高い熱輸送能力を持つ不活性の液体に直接浸す「液浸冷却システム」を開発・適用している。
これによって、サーバー内部の冷却ファンとサーバールームの空調設備が不要になり、かつ冷水設備の水温を高めに設定可能にすることで、従来システムと比較して消費電力を約40%削減することが見込まれているとした。
さらに液浸冷却システムは、一般の空冷システムに必要な空調環境が不要なため、冷房設備だけでなく建物の断熱も必要なく、設備投資コストも削減可能。冷却ファンや空調設備の削減により、騒音が発生しないサーバールーム環境を構築できるとしている。