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東京海上日動とNTTデータ、保険証券へのブロックチェーン技術適用に関する実証実験で効果を確認

 東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)と株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(以下、NTTデータ)は24日、2016年12月から実施していた保険証券へのブロックチェーン技術適用に向けた実証実験が完了したと発表した。

 実証実験では、外航貨物海上保険の保険証券について、ブロックチェーンによるデータ化を実施。関係者の適切なアクセス性能、業務効率性、セキュリティー性能などの観点から、実運用を想定した検証と、これに伴う人的コストや書類の送達コストなどの削減効果について検証した。

 また、保険証券のデータ化にあたっては、同じくブロックチェーン上にあるL/C(信用状)やInvoice(商業送り状)、B/L(船荷証券)の情報を取り込み、これをブロックチェーン上の保険証券に反映することで、他の貿易関係書類との連関性についても検証した。

 輸出入貨物にかかわる保険である外航貨物海上保険は、保険証券が売り手から買い手に譲渡されるため、保険証券は国をまたいで譲渡が行われ、銀行などの貿易関係者を介して国際的に流通する。しかし、流通は紙書類によるものが中心となっており、貨物の買い手への到着に時間がかかるとともに、紛失リスクがあることなどが課題となっている。

 実験では、実際のブロックチェーン上において、関係者の適切なアクセス性能、業務効率性、セキュリティー性能について各種の検証を行い、いずれも当初の仮説を実証することに成功。各種のコスト削減効果についても測定をすることができ、当初の目的を達成したという。

 保険会社では、L/C保険条件手入力時間を6分の1に短縮、証券発行までの期間短縮によるサービス向上、保険証券の物流費用の削減、書類チェックにかかる時間の削減、港湾における貨物集積リスクの10%削減といった効果を確認。保険申込者・発荷主では、輸出会社の申込所要時間を約7分の1に短縮、保険証券入手までの時間短縮といった効果が確認できた。

 L/C、Invoice、B/Lをブロックチェーン上で取り扱った結果、保険証券のみならず貿易業務全体へブロックチェーン技術を適用することの有用性を確認。貿易業務全体がブロックチェーンによって電子化された場合には、貿易関係者の業務効率が向上し、到着港における貨物の引き取りが促進されることから、保険会社の算定する港湾における貨物集積リスクが減少し、危険負担コストの減少につながることも確認されたとしている。

 実証実験を通して、保険証券のみならず貿易業務全体にブロックチェーン技術を適用することの有効性が確認され、実用化に向けては貿易関係者が協調して課題解決を進めるグローバルな枠組みを作ることの必要性が認識されたとして、NTTデータでは実用化に向けた課題解決のために、業態横断のコンソーシアムを企画、検討。東京海上日動は貿易業務の発展に向け、損害保険会社の立場で、実証実験で抽出された課題の解決を目指すとともに、他業態への貿易取引におけるブロックチェーン活用の普及に向け、NTTデータが設立を目指すコンソーシアムへの参画を検討するとしている。