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さくらインターネット、月額60円から利用できるIoTプラットフォーム「sakura.io」正式提供開始

「sakura.io」のサービスロゴ

 さくらインターネット株式会社は18日、2016年よりベータ版サービスとして提供してきた「さくらのIoT Platform β」の正式サービスとして、IoTプラットフォーム「sakura.io」の提供を開始した。

 sakura.ioは、IoTを活用したシステムやサービスを開発したいユーザー向けに、デバイスに組み込める通信モジュールと、通信環境、データの保存や連携処理に必要なシステムを一体で提供するサービス。

 販売を開始した通信モジュールは、キャリアのLTE閉域網を利用してsakura.ioに接続し、データを送受信する「単体方式」のモジュール。1台からの購入が可能で、価格は1台8000円(税別、以下価格はすべて税別)。

 また、2.4GHz帯および920MHz帯(LoRa)を利用し、ゲートウェイを経由して通信を行う「ゲートウェイ方式」の通信モジュールについても、現在開発中となっている。

sakura.ioの通信モジュールや検証用ボード。1台から購入できる

 月額基本料金は、通信モジュール1台あたり月額60円で、通信に必要な「sakura.ioポイント」が毎月1万ポイント付与される。通信モジュールとsakura.io間で通信をする場合、日本国内においては1回の通信につき1ポイントを消費する形で、1回の通信では1チャンネルあたり8バイト、最大16チャンネル(128バイト)のデータ通信が可能となる。追加ポイントは2万ポイントあたり100円で購入できる。

LTE通信モジュールは1台8000円、月額基本料金は60円
毎月1万回分の通信が可能。5分に1回の連携なら基本料金内で実現

 正式版サービスからは、sakura.ioに登録されたファイル情報をもとに、デバイス側からファイルを取得できる「ファイル配信サービス」の提供を開始。デバイスのファームウェアアップデートなどでの利用を想定したもので、サービスはファイル容量512バイトにつき1ポイントの消費となる。

 また、通信モジュールが接続されている基地局情報をもとに、おおよその位置を提供する「簡易位置情報提供サービス」も、通信モジュール1台につき月額30円で提供を開始した。

 オプション品としては、通信モジュールの検証に利用できるブレイクアウトボードを1台2500円で、Arduinoシールドボードを1台5000円で販売する。

 通信モジュール、ブレイクアウトボード、Arduinoボードは5月上旬以降に順次発送予定。ベータ版サービスの利用者は、手持ちの通信モジュールでsakura.ioを利用できる。

提供する機能
提供するデバイス

 通信モジュールについては、sakura.ioを利用した製品を大量生産する企業向けに、通信モジュールを90台セットにしたトレイを、58万5000円で販売する。

 このほか、通信モジュールの形状を変更したい、通信モジュールを同一基板に載せたいという企業に対しては、必要な部品を提供する「ハードウェアライセンス」を、sakura.ioを自社ソフトウェアに組み入れたいという企業に対しては、プロトコル仕様やサンプルコードなどを提供する「プロトコルライセンス」を提供する。

企業向けに「ハードウェアライセンス」「プロトコルライセンス」も提供

IoTの「やらなければならないこと」をまとめて提供

さくらインターネットの山口亮介氏

 さくらインターネットIoT事業推進室兼IoTプラットフォームチーム シニアプロデューサーの山口亮介氏は、sakura.ioのサービスは、IoTに必要な製品とサービスのパーツを提供するもので、母数が大きく今後大きな成長が予想されるコンシューマー分野に注力していくと説明。これまで気付けなかった「モノ・コト」の相関性や関係性を見出し、世界でシェアできるプラットフォームとして、既存の事業領域やエンジニアのスキルセットを変更せずに、モノ/サービス作りに注力でき、データ流通も見据えた基盤を提供していくとした。

 sakura.ioの特徴としては、データの送受信手段、安全な通信経路、デバイス認証/管理、プラットフォーム機能(データの収集/蓄積/連携)といった、IoTを活用する上で「やらなければならない」機能を一括して提供するものだと説明。サービスとしては、「電気信号とJSONを相互変換するプラットフォーム」で、それぞれのエンジニアの橋渡しをするプラットフォームであり、これにより、ユーザーはIoTで「やりたいこと」に注力できるとした。

IoTで「やらなければならない」機能を一括して提供
電気信号とJSONを相互変換するプラットフォーム

 価格についても、LTEのモジュールが8000円、月額60円で1万回の通信が可能で、5分に1回の連携であれば基本料金内で実現できる価格で提供することで、これまでよりも幅広いサービスに適用可能になったとした。

 さらに、開発中のLoRaモジュールでは、モジュールの価格は5000円以下、月額基本料金は20円以下を目標としており、より幅広い用途で利用できるようにしたいと説明。現在、法人を対象として、LoRaモジュールのテストメンバーを募集しており、興味のある企業は検証に参加してほしいと呼び掛けた。

LoRa(920MHz帯)モジュールの目標価格帯
検証テストメンバーの企業を募集中

 また、sakura.ioはさまざまなパートナーのサービスと連携して利用できるが、sakura.ioを活用したデバイスやサービスを開発するユーザーを支援するパートナーについても、今後募集していくとした。

パートナー企業・サービス

 発表会では、パートナー企業として、株式会社エイビット、共立電子産業株式会社、株式会社HARMONIQUAの3社を紹介。エイビットとHARMONIQUAではsakura.ioを活用したデバイスの製品化・量産化に向けた支援を、共立電子産業では通信モジュールなどの単品パッケージ販売や受託開発などを行っていくとした。また、共立電子産業では、sakura.ioの通信モジュールとIchigoJamを組み込んだラジコンカー「IchigoSAKURA IoTカー」も披露。製品として5月ごろには販売したいと考えているとした。

エイビットとHARMONIQUAではデバイスの製品化・量産化に向けた支援を提供
共立電子産業では通信モジュールなどの単品パッケージ販売や受託開発などを実施
sakura.ioの通信モジュールとIchigoJamを組み込んだ「IchigoSAKURA IoTカー」