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レノボがSDI製品への取り組みを強化、System xベースのSDS製品を市場投入
クラウディアン、ネクセンタのSDSソフトウェアを搭載
2016年11月10日 12:39
レノボ・ジャパン株式会社(以下、レノボ)は9日、Software Defined Storage(ソフトウェア定義型ストレージ:SDS)製品のラインアップを増強すると発表した。新たに、クラウディアン株式会社、ネクセンタ・システムズ・ジャパン株式会社(以下、ネクセンタ)と協業し、自社のサーバー製品をハードウェアとして利用したアプライアンス製品を提供する。あわせて、すでに提供しているニュータニックスのハイパー・コンバージド・インフラ(HCI)製品についても、ラインアップを増強した。
レノボでは、IBMから買収したx86サーバー「System x」をハードウェア基盤として利用する、Software Defined Infrastructure(ソフトウェア定義型インフラ:SDI)関連への投資を強めていたが、今回の取り組みはこれをさらに加速させるものだ。
レノボ データセンターグループ データセンター・ソリューション事業本部 副事業本部長 兼製品統括本部 統括本部長の橘一徳氏は、「当社では事業の中核にハードウェアがあるが、箱売りだけではなく、ISVと協業したアプライアンスビジネスへの取り組みを強化している。グローバルの調達力を生かしたコスト競争力を維持しつつ、最新技術の採用や性能の最大化などにより、高い価格性能比や運用・保守コストの低減といったメリットをお客さまに提供できる」と述べ、レノボがこの領域へ本格的に取り組むことで、顧客に対して大きなメリットがあるとアピールした。
具体的な製品としては、オブジェクトストレージアプライアンス「Lenovo Storage DX8200C」と、SAN/NASのユニファイドストレージとなる「Lenovo Storage DX8200N」をラインアップした。前者はクラウディアンのSDS製品である「Cloudian HyperStore」を、後者はネクセンタのSDS製品「NexentaStor」をレノボのSystem xサーバーに搭載したものだ。
そもそもSDSでは、コモディティ化した低価格なx86サーバーをユーザー側が自由に選択して利用できるため、ハードウェアコストを抑えられることに加え、小さく始めてもサーバー単位で増設が容易といったメリットがある。しかし裏を返すと、障害時の原因切り分けやサポートなどに関してはハードウェア、ソフトウェアそれぞれ行わなくてはならず、運用に関するユーザー側の負担が大きくなっていた。
これに対してレノボの製品では、旧IBM時代から信頼性に定評があるハードウェアへISVのソフトウェアをプリロードし、レノボで最適化しているほか、ハードウェア、ソフトウェアを含めてレノボがワンストップでサポートを提供できる点が強みになるとのこと。
レノボ データセンター・ソリューション事業本部製品統括本部 製品本部 本部長の工藤麿氏は、「当社のSDSアプライアンスは単なるリファレンスモデルではなく、OEMを受けて当社の技術者が調整している。購入に関しても当社に型番で注文していただけるし、トラブルが起きた場合も、当社がワンストップで対応する。ベースとなっているサーバーについても、System xのハードウェアを使っているので信頼性が高く、ストレージとして運用しても心配ない」と述べ、レノボが提供しているメリットをアピールした。
新製品のうちクラウディアンのソフトウェアを利用した「DX8200C」は、Amazon S3 API準拠のオブジェクトストレージで、最小3ノードからスタートし、必要に応じて1台ずつ容易にスケールアウトを行える。ラインアップは、1ノードあたり56TB/84TB/114TBの3モデルが用意された。価格は1099万円(税別)から。
一方、ネクセンタのソフトウェアを利用した「DX8200N」は、SAN/NASに両対応するユニファイドストレージ。2ノードによるクラスタ構成となっており、クラスタあたり最大8台までのJBODを拡張することもできる。内蔵するストレージにより、容量重視のオールHDD、容量と性能のバランスが良いSSDとHDDのハイブリッド、性能重視のオールフラッシュ(SSD)といったさまざまな構成をサポートでき、ファイルサーバーやバックアップ/アーカイブ、プライベートクラウドなど、多様な用途で利用可能とした。価格は763万円(税別)から。
なお、レノボではSDIビジネスを強化するのに伴い、新たなパートナープログラム「Lenovo Togetherプログラム 3.0」をスタートさせた。従来はISV、あるいは販売パートナーとの取り組みにとどまっていたが、新プログラムではISV、販売パートナー、レノボの3者による協業体制により、さらなる事業拡大を図る。
今回、DX8200Cではクラウディアンに加えてNTTデータ先端技術と、またDX8200Nではネクセンタに加えてアセンテックとの3者協業を実現させており、ソリューションの共同開発、マーケティング活動や営業面での連携強化などを行っていく予定だ。
このほかレノボでは、ニュータニックスのHCIアプライアンスである「Lenovo Converged HXシリーズ」において、中堅・中小企業向けの「HX1310」や、VDIなどでの利用に適したGPU搭載モデル「HX3510-G」を追加。2U筐体にサーバー4ノードを搭載できる高密度型「HX3710」やオールフラッシュモデル「HX3710-F」、中小向けのNutanix Xpressを利用した「HX2710-E」なども新たにラインアップしている。
なお今後は、自社のサーバー管理ソフトウェア「Lenovo XClarity」と、ニュータニックスの仮想化インフラ管理ツール「Nutanix Prism」との連携機能も予定しており、ユーザーに対してさらなるメリットを提供できるとのこと。こうした管理ツールの連携に関する取り組みは、今回発表されたSDSアプライアンス製品についても対応が期待されるところだ。