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富士通の2016年度第1四半期連結決算、売上減も赤字幅は縮小
2016年7月29日 00:00
富士通は、2016年度第1四半期(2016年4月~6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比7.4%減の9865億円、営業損失は前年同期の273億円の赤字から160億円改善したものの、112億円の赤字。税引前損失は前年同期の168億円の赤字から35億円改善し、132億円の赤字。当期純利益は前年同期の189億円の赤字から、48億円改善し、140億円の赤字となった。
富士通 取締役執行役員専務兼CFOの塚野英博氏は、「売上高では、円高影響で450億円。実ビジネスでは前年同期比3%減となる。営業利益は計画通りだが、テクノロジーソリューション、ユビキタスソリューションは若干の好転。デバイスソリューションは若干の下振れとなっている。営業利益に対する為替影響は、ブラスとマイナスが相殺されてフラット。国内のIT投資は、産業系、流通系を中心に堅調である。IT投資をコストとしてとらえるのではなく、新たなビジネスを作るため、効率化のための投資へと考え方が変化しており、それがIT投資が堅調に続くことにつながる」と総括した。
クラウドビジネスは、第1四半期実績で約600億円。2016年度通期見通しは3500億円。「MetaArcは導入段階であり、数字として明確に見える段階にはない」とした。
また「英国のEU離脱は、大方の予想を覆し、電気ショックを受けたような状態だったが、いまは少し沈静化をしている。EU離脱には最低でも2年間かかることで、現時点で投資するという動きも見えており、マイナス要素ばかりではない。今年度の業績に大きな影響が出てくるとは思っていない」とした。
セグメント別業績では、テクノロジーソリューションの売上高が前年同期比6.4%減の6727億円、営業利益は前年同期から111億円増の71億円。
そのうちサービス事業の売上高は前年同期比5.4%減の5783億円、営業利益が前年同期から50億円増の150億円。サービスのうち、ソリューション/SIの売上高は前年同期比0.1%増の2115億円、インフラサービスの売上高は同8.3%減の3667億円。
システムプラットフォームは、売上高が同12.2%減の944億円、営業利益は前年同期から60億円増も、78億円の赤字。システムプロダクトの売上高は前年同期比3.6%減の531億円、ネットワークプロダクトの売上高は同21.2%減の413億円となった。
「SIサービスの売上高は、第1四半期としては過去最高であった前年実績を上回った。金融分野向けハード一体型ビジネスが減少したが、SEビジネスが伸張している。インフラサービスでは、国内アウトソーシングを中心に増収。海外は欧米を中心に低調なスタート。為替もマイナスに働いた。利益面では国内が増益、海外はビジネスモデル変革の効果がプラスになった。一方でシステムプラットフォームは、国内外ともに、通信キャリアの投資抑制の影響を受けて減収となった。だが、円高によりドル建て調達部材のコストダウン効果があったサーバービジネスで採算性を改善。前年同期に計上したネットワーク再編費用の負担減もプラスにつながった」という。
ユビキタスソリューションの売上高は前年同期比9.6%減の2198億円、営業利益は前年同期から122億円増の46億円の黒字。そのうち、PC/携帯電話の売上高は前年同期比16.9%減の1259億円、モバイルウェアの売上高は同2.5%増の939億円。
「PCは、法人向けが堅調だが個人向けが厳しい。またスマートフォンは市場の鈍化に加えて、年2回の製品投入を冬モデルだけの1回としたことで、第1四半期は減収となった。利益はPCがブレイクイーブン、携帯電話とモバイルウェアはいずれも黒字となった。PCは開発投資の効率化、携帯電話は機種の絞り込み、開発効率の向上が貢献した」という。
また、「PCは、2016年10月にWindows 7を搭載したPCの生産が終了することになり、駆け込み需要が期待できる。法人向けには手堅く所用が立っている。だが店頭系は弱い」と述べた。
デバイスソリューションの売上高は前年同期比13.3%減の1300億円、営業利益は前年同期から119億円減で11億円の赤字となった。そのうち、LSIの売上高は前年同期比20.9%減の637億円、電子部品は同4.5%減の666億円となった。
「スマホ向けデバイスの所用減と円高がマイナスに影響。さらに、半導体製造拠点に義務づけられている6年ごとの法定点検で、4月に約10日間、操業を停止。これが操業率低下につながった。現在、8割程度の操業率になっている」という。
【訂正】
- 初出時、法定点検の時期を「ゴールデンウィーク」としておりましたが、富士通が「4月」と訂正いたしましたので、記事も記載を改めました。
なお、2016年度(2016年4月~2017年3月)通期業績見通しは据え置き、売上高は前年比2.9%減の4兆6000億円、営業利益は同0.5%減の1200億円、当期純利益は同2.0%減の850億円とした。
「デバイスビジネスでは所用が弱含みであること、下期に不透明感があること、ユーロ=ドルの為替影響が、システムプラットフォームおよびユビキタスソリューション事業において、欧州拠点の在庫にマイナス影響があるのが懸念材料になる」という。
一方、塚野CFOは「社内では変革における議論が加速している。今年9月か、10月には、変革に関するレビューを発表できる」と述べた。