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我々は製造業を理解している~GEデジタルとGenpact、IoTプラットフォーム「Predix」の強みをアピール
2016年6月9日 23:54
GE Digital(GEデジタル)とGenpact Japan株式会社は9日、GEグループが提供しているインダストリアル・インターネット用プラットフォーム「Predix」への取り組みを紹介する説明会を開催した。
GEは、社内で活用するために開発したインダストリアル・インターネット用プラットフォーム「Predixクラウド・プラットフォーム」を、オープンなプラットフォームとして提供。自社のビジネスとしても、航空機のエンジンを提供するなどハードウェアビジネスにとどまらず、エンジンの状況をモニタリングして故障などを未然に防ぐサービスビジネスを展開している。
「インダストリアル・インターネットは緒に就いたばかり。取り組んでいるお客さまの数は限られ、我々の調査では1%程度のデータしか活用されていない。しかし、1%のデータによる改善でも、石油・ガス会社にとっては50億ドルの改善効果をもたらす」(GEデジタル アジアパシフィック チーフ・コマーシャル・オフィサーのマーク・シェパード氏)。
今回の説明会ではPredixを使って収益を大きく改善した企業の事例を紹介するとともに、「我々は長いことマシンを作ってきた歴史があり、マシンに関して長年の知識がある。マシン発のデータはコンシューマとは全く違い、ダーティーで、もっとノイジーである。Predixには長年、装置のメーカーとして培ってきたノウハウが組み込まれている」(シェパード氏)と、ITベンダーに比べた強みを強調した。
Predixは、元々、GE社内用に開発された。
「我々は長年にわたってソフトウェア開発を行っていたが、これはあくまでも社内で利用するためのものだった。Predixも社内用に開発されたものだが、各事業部が同様のソフトを開発するのではなく、事業部にまたがったプラットフォームとしてPredixを使うべきだと考えたことが、我々のビジネスを大きく転換するきっかけとなった。Predixを活用することで、我々が製造し販売しているタービン、エンジンといったハードウェアのダウンタイムをなくし、生産性を上げるあげることができる。そう考えたことで、ソフトウェアを使い我々のお客さまの生産性を上げるお手伝いをするサービスビジネスを開始できた。さらに、Predixをオープンなものとしたことで、我々のお客さま以外にもPredixを使ってもらうことができるようになった」(シェパード氏)。
デジタル化によって、ビジネスモデルをハードウェア販売からソフトを使ったサービスビジネスへと拡大し、さらにPredixによってインダストリアル・インターネット分野におけるプラットフォームとすることを目指している。
「インダストリアル・インターネットをどのように始めるか、そのヒントとなるよう、Predixを使っているお客さまを紹介する」。
豪州のクイーンズランドにあるガス会社では、ほとんどの装置がGE製。経営者はハードウェアのダウンタイムをなくすことを望んでいたため、GEデジタルではPredixを使ってハードウェアの稼働状況を把握し、99%稼働を保証するサービスを開始した。「サービス開始から1年半になるが、今までのところ100%アップタイムを実現している。高い信頼性を保証することに成功した」(シェパード氏)。
鉱山では、鉱山を掘り出すためのトラックなどの稼働状況を効率化するためにPredixを利用。トラックの稼働状況、運転手のデータなど全てを組み合わせて管理を行ったことで、事故の余地などトラブルを未然に防ぐことに成功し、パフォーマンスを大幅に改善することに成功した。
Predixはサードパーティーがアプリケーションを開発できるようオープンにデータを公開。iOS、Androidでアプリを開発し、利用することができる。
「トラックのリース事業を手がける企業では、運転手の稼働状況を把握する際、運転手自身の入力にデータ取得を頼っていた。そこで、アプリに自分のいる場所を登録すると、休憩の際に利用できるコーヒーショップを表示するといった、運転手にとってメリットがある機能を持ったものへ変更したところ、データ入力率が大幅に向上し、データ活用が行いやすくなった」(シェパード氏)。
GEから分社独立したGenpactのシニア・バイスプレジデントであるパトリック・コグニー氏は、「当社はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を行う企業だと思われているが、企業の保守・アフターサービスビジネス部門で働くスタッフが多いことを生かして、インダストリアル・インターネット事業を展開している」と自社ビジネスを紹介。現在、全世界に300社の顧客を持ち、10億ドル以上の売上を実現しているという。
「現段階では多くのビッグデータ、テクノロジーが無駄にされている。企業が新しいテクノロジーを採用し、人がデータを入力しなければ、考察するために必要なデータを得ることはできず、IoTを利用する効果を得ることはできない。標準的なアプローチは無駄が多い。データからではなく、何を解決したいのかという着目点が必要。さらにビジネスのオポチュニティを見極めることが重要。それを実現するためにはどんなデータが足りないのか。データ獲得方法を再定義する必要がある。適切なデータ、適切なプロセスを構築することが必要」(コグニー氏)。
日本でのビジネス展開については、「日本ではGEブランドはそれほど有名ではないという声もあるようだが、GEは日本で数十年ビジネスを展開した実績を持っている。また、日本の大企業がビジネスを行うのは日本だけでなく、グローバルにビジネスを行っている。そのパートナーとして当社とPredixは最適」(シェパード氏)と日本でのPredixの採用に自信を見せた。