イベント
Oracle OpenWorld 2015開幕~Javaの20周年を祝う
Scott McNealy氏がビデオメッセージで登場
(2015/10/27 00:00)
米Oracle Corporationは10月25日~29日(米国時間)に、年次イベント「Oracle OpenWorld 2015」を例年通り米国サンフランシスコで開催する。25日の午後には、併設イベントという扱いになっているJavaOneの基調講演が行われた。Javaが生まれてからちょうど20年の節目の年ということで、登壇者が口々に祝賀メッセージを盛り込む、ちょっと特別な基調講演となった。
JavaOneはもともとは開発者を主なターゲットとしたデベロッパー・カンファレンスとして毎年開催されていたイベントで、最盛期にはIT関連のイベントとしては最大規模という多人数を集めていたが、Sun MicrosystemsがOracleに買収されてからは、Oracle OpenWorldに併設される形で開催されている。
今回の基調講演では、OracleのJavaの担当者がJava SE、Java ME、Java EEのそれぞれについて、開発の現状や今後の機能拡張の予定を説明していくという伝統的なスタイルを踏襲しつつ、合間ではJavaの20年の歴史を振り返り、Javaのベースとなった“Star7”のJames Goslingによるデモの様子を撮影したビデオ(Gosling自身がYouTubeで公開しているもの)を上映したりといった演出もあった。
また、ボリューム的には中核パートという位置づけのように思われたJava Platform GroupのChief Architect、Mark Reinhold氏による講演では、Javaアプリケーションの実行時に参照されるクラスの定義がさまざまな場所に分散し、バージョン競合なども問題も生じて管理不能になりつつある現状を踏まえて導入される新たな仕様、“Module”について丁寧な説明が行われた。
こうした講演のスタイルは、確かに「ほぼ開発者のみをターゲットにしていた初期のJavaOne」をほうふつとさせるもので、20周年の祝賀の一環として昔を振り返ってみた、という演出だったのかもしれない。
プレス向けにはあらかじめ基調講演内でサプライズが用意されているという予告が行われていたのだが、それは最後に上映されたSun Microsystemsの創業者で長くCEOを務めたScott McNealy氏のビデオメッセージのことだった。
McNealy氏はかつてのJavaOne会場のショップで販売されていた、SunやJavaのロゴが入ったレザージャンパーを着て登壇し、往時のおなじみのスタイルである「トップテンリストの読み上げ」(今回はトップ12に増量されていたが)を行うなど、懐かしさにあふれる内容だった。
ただし、その内容は「Java開発者にとっての悪夢――2015年版」というもので、中でも会場で大受けしたのは第4位の“You love open source software and sharing, but you work at Oracle”(あなたはオープンソース・ソフトウェアと成果を他者と分かち合うことが好きなのに、Oracleに勤めている)という痛烈なもので、その点も昔のMcNealy氏のスタイルそのままであり、当時を知る参加者には懐かしさも込みで大きな反響を生んだようだ。
Javaは、当初はWebブラウザで稼働する動的コンテンツを作成可能な言語として紹介され、その後プラットフォーム非依存の汎用開発環境としての側面が強調され、その後はサーバーサイドでのアプリケーション・ロジックの記述言語として活用されるなど、20年の歩みの中でも時々に応じて見え方がさまざまに変化してきている。
今回の基調講演で強調されたのは、IoTをにらんださまざまな“コネクテッドデバイス”への搭載であり、インテリジェントなエッジデバイスを実現するための要としてだ。Intelの担当者による講演では、IntelプロセッサやハードウェアプラットフォームとJavaとの間で各種の最適化が進み、よりパフォーマンスが高まっているなどの進化の状況も紹介されており、今後しばらくはJavaが重要な開発言語という位置から消えることはなさそうだ。