【ITpro EXPO会場レポート】EMCや日本HP、マイクロソフトなどが最新ソリューションを展示
オールフラッシュのストレージ、分散オブジェクトストレージなど
日経BP社が主催するエンタープライズICTのイベント「ITpro EXPO 2012」が10月10日から12日までから東京ビッグサイトで開催されている。展示会場では「Cloud Days Tokyo 2012秋」や「ビッグデータ EXPO 2012秋」などの展示会がほぼ一体となり、各社のソリューションが並んでいる。
■EMC、各種ストレージ製品や、フラッシュストレージのソリューションなど
EMCジャパンのブースでは、ハイエンドストレージ製品「Symmetrix VMAX」を展示。さらに、Symmetrix VMAXの階層化ストレージの一環として、サーバーのPCI Expressバスにフラッシュストレージを接続してSANストレージへのアクセスをキャッシュするフラッシュキャッシュ製品「VFCache」もお披露目している。
フラッシュストレージ関連では、計画中のものとして、ライブマイグレーションなどの際にフラッシュキャッシュ間でデータを共有して高速処理する「Project Thunder」や、買収したXtreamIOの技術をベースにしたオールフラッシュの高速ストレージ製品の計画「Project X」(来年発表予定)なども紹介されている。
そのほか、SANとNASを統合したユニファイドストレージ製品「VNX」や、スケールアウトNAS製品「Isilon」などについても説明。Isilonについては、隣り合った丸紅情報システムズのブースでも実機が展示されていた。
EMCのハイエンドストレージ製品Symmetrix VMAX |
Symmetrix VMAXを中心に、仮想化ソリューションやフラッシュストレージなどを紹介 | サーバーのPCI Expressバスに接続するフラッシュキャッシュ製品VFCache |
SANとNASを統合したユニファイドストレージ製品VNXの紹介と、傘下であるVMware製品との連携の説明 | スケールアウトストレージIsilonのミニセミナー。複数のストレージを1つにまとめて「大きなバケツ」として扱えると解説 |
丸紅情報システムズのブースで展示されたIsilon |
■HP、クラウド関連の製品やサービスを幅広く展示
日本ヒューレット・パッカード(HP)のブースでは、クラウドに関連した製品やサービスを展示している。
「HP Cloud」は同社のパブリッククラウドサービスで、OpenStackをベースに作られている。現在、データセンターは米国の西海岸と東海岸に複数拠点あるという。現在はIaaSのサービスだが、今後はPaaSの機能にも拡充していく計画で、HPの買収したカラム指向DBのVirticaや非構造データ処理のAutonomyなどの技術もHP Cloud上で提供したい考えだという。
また、「HP CloudSystem Matrix」は、ブレードサーバーやストレージ、仮想化ソフトウェアなどをパッケージ化したサーバーアプライアンス製品。ブースでの説明によると、管理ソフトウェア「Matrix OE」が肝とのことで、仮想サーバーや物理サーバーの構成をGUIで設計しそのまま自動構築する機能や、性能の変化を監視してシミュレーションしより最適な構成を提案する機能、テンプレートをパブリッククラウドに展開する機能などを供えているという。
3PARは2011年にHPが買収したストレージ製品。ブースでの説明によると、「クラウド時代のストレージ」として、パフォーマンス、スケーラビリティ、管理性の3点での優位性があるという。スケーラビリティとしては、ディスクやコントローラをオンラインで追加でき、割り当てた容量だけのディスクを最初から用意しなくてよいシンプロビジョニングにもハードウェアで対応している。また、管理性としては、VMware vCenterやほかの管理ソフトウェアに管理ツールを組み込んで一元管理できるという。
ITインフラをクラウド形式で管理する「Cloud Service Automation(SCA)」と「Aggregation Platform for SaaS(AP for SaaS)」も展示している。SCAは、Operations Orchestrationソフトウェアを中心に、スペックやテンプレートを指定して仮想サーバーをプロビジョニングする。AP for SaaSはその上でサービスや課金などを管理する。
ネットワークとしては、分散リンクアグリゲーションなどにより複数台のスイッチを1つに見せる「IRF仮想シャーシ」を展示。STP構成と並べて、動画を再生しながら1本のケーブルを抜き、STPより速く切り替えられるところをデモしていた。
HP Cloudを実際に使うデモ。米国西海岸や東海岸から選べる | 画面の上側で仮想サーバーの仕様を選んで作成すると、下側の一覧に表示される |
仮想サーバーの情報 | IPアドレスはクラスAの中から払い出される |
ブレードサーバーやストレージ、管理ソフトなどをパッケージ化したアプライアンス製品「HP CloudSystem Matrix」 | ストレージ製品3PAR F400 |
ITインフラをクラウド形式で管理する「Cloud Service Automation(SCA)」と「Aggregation Platform for SaaS(AP for SaaS)」のデモビデオ | 左がIRF、右がSTPの構成。中央のスイッチでそれぞれのケーブルを抜いて、経路切り替えの速度を比較 |
HPが買収したAutonomyの技術のデモ。ニュース動画の声をリアルタイムでテキスト化し(画面下方)、さらにその内容を理解して関連するニュースのリンクを表示する(画面左方) | 参考出展として置かれていた次期Itaniumプロセッサー |
■分散オブジェクトストレージの「Riak」が参考出品
東京エレクトロンのブースでは、9月に日本法人も設立したBasho社の分散データベース「Riak」と、RiakをベースにAmazon S3互換のオブジェクトストレージとした製品「Riak Cloud Storage(CS)」が参考出品されている。
Riakはオープンソースのソフトウェアだが、マルチサイトリプリケーションやSNMPモニタリングの機能を追加した「Riak Enterprise DS(EDS)」が商用製品として提供されている。Riak CSもRiak EDSをベースにした商用製品。
Riakやその商用製品はすでに広い採用実績を持ち、BestBuyやYammer、GitHub、Mozilla Foundationなどで使われているという。また、日本法人の設立にあたり、ヤフージャパンとIDCフロンティアが採用を表明している。
Basho社の「Riak」と「Riak CS」の展示 | サーバー向け超高速フラッシュストレージのFusion-io社の展示も |
■OpenStackとOpenFlowでサーバーを省電力
NTTデータのブースでは、OpenStack/OpenFlowによるフルオープン仮想化基盤構築ソリューションが説明されている。仮想サーバーをOpenStackで、仮想ネットワークをOpenFlowでコントロールするもの。実際に、閑散期に仮想サーバーを減らした上ライブマイグレーションにより一部物理サーバーをシャットダウンし、さらにOpenFlow対応L2スイッチの一部にフローを流さないことにより、電力を削減するところをデモしていた。
また同時に、OpenStackのオブジェクトストレージ「Swift」についても解説とデモを実施していた。
4台の物理サーバーと2台のOpenFlowスイッチが稼働して、消費電力が5.9kw | 仮想サーバーを物理サーバー2台に寄せて残り2台をシャットダウンし、OpenFlowスイッチを1台使わなくして、消費電力が3kwに |
デモで使っている物理サーバー。下には、OpenStackのオブジェクトストレージ「Swift」のサーバーも | 通常のL2スイッチ(上2台)と、OpenFlow対応のスイッチ(下2台) |
OpenStack/OpenFlowによるフルオープン仮想化基盤構築ソリューションと、大規模ストレージSwiftソリューションの展示 |
■マイクロソフト、Windows 2012と次期Office製品を展示
日本マイクロソフトのブースでは、Windows 2012を中心とするサーバー製品と、Office 365を含む次期Office製品の2コーナーに分かれて展示。さらに、パートナー各社によるWindows Server 2012関連の展示も行われている。
Windows Server 2012については、「クラウドOS」のキャッチフレーズをもとに、ストレージ仮想化やネットワーク仮想化を含めた仮想化の進化、プライベートクラウドとAzureの連携、Hyper-Vレプリカによるディザスタリカバリなどを説明していた。
また、複数製品から1つのスイート製品にまとまった「System Center 2012」についても、オンプレミスからパブリッククラウドまで一元管理できるところや、仮想マシンのVHDをオンプレミスからAzureにコピー&ペーストでコピーでき簡単にデプロイできるところ、XenやVMwareも管理対象になるところなどを、デモをまじえて説明していた。さらに、同じWindows Server 2012のコーナーで、Windows Azureも展示し、IaaSサービスなどを紹介していた。
Office製品については、Office 365を中心に、次期Office製品を展示。Office 365では、Exchange Onlineをベースに、プランによってSharePoint OnlineやLync Online、Office Web Apps、Office Professional製品などを提供する。
主にクラウドに関連したWindows Server 2012の機能強化点 | 複数のディスクをまとめて記憶域プールとするWindows Server 2012のストレージ仮想化機能 |
Windows Server 2012のサーバーマネージャでは複数のサーバーを操作できる | System Center 2012で、オンプレミスとパブリッククラウドのリソースをいっしょに操作できる |
System Centerの管理対象にXenServerやESX Serverが表示される | Office 365のSharePoint Onlineで書類を選ぶ |
ExcelとExcel Web Appsが同列に選べる | Lyncのデモ。電話状のデバイスはUSBでPCに接続されている |
■IIJ、クラウドへのアウトソーシングサービスを紹介
インターネットイニシアティブ(IIJ)のブースでは、「持たないプライベートクラウド」として、クラウドへのアウトソーシングのソリューションを紹介。プライベートクラウドの柔軟性を自社でインフラ管理せずに使えるものとして、VMwareプラットフォームごとユーザーに提供する「IIJ GIO仮想化プラットフォームVWシリーズ」などを展示している。
さらに、ITpro EXPOの開幕日である10月10日に発表した「IIJ GIO統合管理サービス」についても展示している。IIJ GIO統合管理サービスは、パブリッククラウドからオンプレミスまでのシステムを監視し運用するSaaS型のMSP(Management Service Provider)サービス。対象クラウドシステムとしてはIIJ GIOのサービスに限っておらず、「クラウドへのシステムアウトソーシングとしてIIJ GIOブランドを選んだ」との説明だった。
パブリッククラウドからオンプレミスまでのシステムを監視し運用する「IIJ GIO統合管理サービス」 |
VMwareプラットフォームごとユーザーに提供する「IIJ GIO仮想化プラットフォームVWシリーズ」 | メールセキュリティやスマートデバイス管理、リモートアクセス、仮想デスクトップなどのサービスも展示 |