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EMC World 2015が開幕、ハイパーコンバージドインフラ「VxRack」などを発表

 米EMC主催のイベント「EMC World 2015」が4日(米国時間)、ラスベガスにて開幕した。今回のテーマは「REDEFINE.NEXT」(新定義、次の段階へ)。昨年度のイベントでテーマとしていた「REDEFINE」(新定義)をさらに進化させ、実行フェーズに移すという思いが込められている。

 基調講演の壇上に立ったEMC インフォメーションインフラストラクチャ 最高経営責任者のDavid Goulden氏は、2020年にはインターネット人口が70億人にのぼり、300億個のデバイスがインターネットにつながる世界がやってくるとし、「スマートデバイスは日々の生活に欠かせないものとなり、われわれはスマートデバイスを使って対話するようになる。こうした世界でユーザーの期待値も高まってきており、もう以前の世界に後戻りはできない」と述べた。

 Goulden氏は、そのユーザーの期待値が企業にも影響を与えていると指摘。「企業はサービスレベルを落とすことなく既存のITコストを削減しつつデジタル社会に適した革新的なアプリケーションの開発に投資し、さらにはリスク対策も万全に施さなくてはならない」として、「EMCと、VCE、RSA、Pivotal、VMwareからなるフェデレーションが、企業の課題を解決する」と主張した。

米EMC インフォメーションインフラストラクチャ 最高経営責任者 David Goulden氏

コスト削減を実現するVCEのコンバージドインフラ

 企業のITコスト削減に貢献する製品としてまず発表されたのは、米VCEの「VCE VxRack System」だ。これは、VCEの提供するコンバージドインフラストラクチャ「Vblock」をさらに収束させた、「ハイパーコンバージド」なラックスケールシステムだという。

 VCE 最高経営責任者のPraveen Akkiraju氏は、VxRackの登場により、「コンバージドインフラストラクチャ製品が3つの製品ラインで提供されることになる」と説明する。1つは、ERPをはじめとするミッションクリティカルなTier 1アプリケーションに適したVblockで、もう1つは部署単位や中小企業向けにアプライアンスとして提供されている「VSPEX Blue」。今回発表したVxRackは、「スケールアウト型のモバイルアプリケーションやクラウドアプリケーション、また分散型のTier 2アプリケーションに適している」(Akkiraju氏)という。

 VxRackの特徴は、そのスケーラビリティにある。4/1ラックという小規模でスタートし、ストレージ容量は38ペタバイトまで拡張可能だ。また、VxRackはEMCのScale IOの技術を駆使したソフトウェア定義型ストレージで、ネットワーク機能も組み込まれている。VxRackはVMware環境に最適化されており、VMwareの「EVO:Rack」および「VMware Virtual SAN」をベースとしたインテグレーションが施されているが、柔軟性は高く他社のハイパーバイザーにも対応するという。

米VCE 最高経営責任者のPraveen Akkiraju氏
新たに発表した「VCE VxRack System」

XtremIOやVMAXの最新版も発表

 次に発表された製品は、オールフラッシュ型ストレージアレイ「XtremIO」の最新版となる「XtremIO 4.0」だ。「The Beast」(獣)の異名を持つXtremIO 4.0は、ワークロードの集約機能や自動化機能が改善されたほか、パフォーマンスが33%向上したという。既存のXtremIOを利用中のユーザーであれば、無料で4.0にソフトウェアアップグレードが可能だ。

 XtremIO 4.0は、「X-Brick」という40TBのブロックにより、既存のXtremIOと比較して密度が2倍に向上。X-Brickは8ブロックまで拡張可能だ。また、ハイブリッドクラウドやプライベートクラウドのストレージサービスを幅広くサポートし、さまざまなワークロードにおけるスケールアウトストレージのコンソリデーションが可能になるという。

 EMC コアテクノロジー部門 プレジデントのGuy Churchward氏によると、XtremIOは製品をリリースして18カ月で10億ドルの売り上げを達成したという。「これはVMwareやData Domainよりも成長のスピードが速い。同製品が市場に期待されていることがよくわかる」とChurchward氏は述べている。

米EMC コアテクノロジー部門 プレジデント Guy Churchward氏
急成長するXtremIO
The Beastの獣的なキャパシティ
The Beastの獣的なパフォーマンス

 さらにEMCは、ハイエンドストレージの「EMC VMAX3」も発表。VMAX3は、ソフトウェアベースのデータサービスとハードウェアプラットフォームを分離した新たなアーキテクチャを採用しており、レプリケーションやストレージ階層化などの機能が、他社製のプラットフォームでも利用できるという。

 またVMAX3は、ViPR Controllerと統合されたことにより、セルフサービスカタログ機能で自動的にさまざまなクラスのストレージサービスへのデリバリが可能になる。さらに、VMAX3ではプロビジョニングが簡素化されており、「小学生でもプロビジョニングができる」とChurchward氏。実際に小学5年生の男子を壇上に招き、約20秒でプロビジョニングする様子を披露した。

VMAX3のプロビジョニングをするために登壇した小学5年生のヘンリーくん

藤本 京子