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「RED HAT FORUM」を包んだ熱気、レッドハットの勢い (個別セッションの焦点は「クラウド基盤」)
(2014/10/15 06:00)
個別セッションの焦点は「クラウド基盤」
個別のセッションでは、レッドハットやパートナー企業の製品や技術と、ユーザー企業の事例などが解説された。中でも、IaaS基盤のOpenStackやPaaS基盤のOpenShift関連のセッションが目立った。ここではその中からいくつか紹介する。
米Red Hatのジェフ・ジェイムソン氏は、主にOpenStack未経験者を対象に、OpenStackの概要とRed Hatの取り組みを解説した。
ジェイムスン氏は、「なぜRed HatのOpenStackか」として、OpenStackがLinuxに依存しており、それを安定して動作させる技術を持っていること、エンタープライズ向けのライフサイクル、パートナーエコシステム、OpenStackへの貢献とその背景にある顧客ベース、トレーニングやコンサルティングなどを主張した。
レッドハットの中井悦司氏は、エンタープライズ基盤としてのOpenStackの意義について解説した。氏はOpenStackについて、使う側から見ると「与えられたテナントの中で、セルフサービスで自由にサーバー、ストレージ、ネットワークを構築できるもの」だと説明した。
OpenStack Summitで発表された例として、米国の情報機関が、多数の研究者がタイムリーにサーバーを利用できるように自分で仮想マシンを作れるインフラをOpenStackで構築した例を紹介して、「アプリケーションを開発する企業でも、開発計画と申請書を書いてIT担当者がサーバーを用意する、という状況があるが、それがセルフサービスになる」と解説した。
米Red Hatのクリス・ライト氏は、オープンソースのSDNコントローラーのプロジェクト「OpenDaylight」の概要や高速化技術を中心に、NFVのプロジェクト「OPNFV」や、OpenDaylightとの関係についても解説した。
OpenDaylightはモジュール型でマルチプロトコルに対応するのが特徴だ。2014年2月に最初のリリース「Hydrogen」が、10月に2番目のリリース「Herium」が公開された。Heriumでは機能が追加されたほか、パフォーマンスが改善されたという。その高速化技術として、LinuxのDPDKライブラリやivshmem、memnicなどが解説された。
またOPNFVについては、「新たにソフトを開発するというより、NFVを構成する各ソフトの開発元へのコミットと、インテグレーションのリファレンス作成が目的」と説明。LinuxやOpenStack、DPDK、OpenDaylightなども含まれるとした。
Red Hat PaaSで公演中にWebアプリ構築~サイオス
サイオステクノロジー株式会社の黒坂肇氏のセッションでは、「いまどきのシステム」として、短期間開発でスモールスタートしてスケールしていくモデルを解説した。そのためには、フルスクラッチで開発してからインフラや運用を設計する形態ではなく、すでにある標準プラットフォームを組み合わせて開発とインフラと運用を並行して互いにフィードバックする形態が必要だと説明した。
実際にセッション時間内で、3人のスタッフがRed HatのPaaSサービス「OpenShift Online」を使ってWebアプリケーションを構築してみせた。プリセットとして用意されているDrupalでポータルを作り、もう1つGitHubにソースが置かれた投票アプリケーションをデプロイして、実際に会場の聴衆にWebから投票させてデモした。さらにログを可視化するfluentd+Elasticsearch+Kibanaのシステムも同じくOpenShiftで動かした。