仮想化道場

転換期を迎える2014年のIntelのサーバー向けプロセッサ

 2014年は、サーバーに要求される機能が大きく変わりそうだ。これは、サーバーが利用されるシーンが変わりはじめていることに由来する。先進的な企業では、既存のITシステムだけでなく、ビッグデータなど、今まで全くなかった用途にサーバーが利用され始めているのだ。

 今回は、従来のエンタープライズ向けXeonとは異なるコンセプトを持った、Xeon Phiを中心に、2014年に登場するIntelの製品を解説していく。

 また、半導体プロセス技術自体が大きな曲がり角にさしかかっている点も、もう1つ大きいトピックといえる。プロセスの微細化に多額の投資が必要になったため、Intelでもこれまでの方針を転換し、ファウンダリサービスの提供を拡大するのだという。記事の後半では、この点についても説明する。

並列コンピューティング向けコプロセッサXeon Phi

 Xeon Phiは、Intel Many Integrated Core(MIC)アーキテクチャを採用した並列コンピューティング向けのプロセッサだ。

 NVIDIAやAMDがGPUを利用したGPGPUカードをリリースし、HPCなど大量の演算を必要とする分野で積極的に採用されている。こういったトレンドをIntel自体も見逃せないため、Intel版の並列コンピューティング向けプロセッサとして、Xeon Phiをリリースした。

 Xeon Phiの最大の特徴は、コアがPentiumベースのx86プロセッサ+512ビット ベクトル演算機能となっていること。このコアを60個ほど搭載することで、並列コンピューティングにおいて高い性能を実現している。

 22nmプロセスで製造されたXeon Phi 7120Pは、1.238GHz動作(ターボモード動作時は1.33GHz)のコアを61個内蔵している。メモリは8GB(DDR5)を搭載し、倍精度浮動小数点演算の性能は約1.2TFlops。

 この製品をはじめ、現時点のXeon Phiは別のプロセッサのコプロセッサとして動作するため、PCI Expressのカードで提供されており、Xeon E5などの汎用プロセッサと組み合わせて利用される。

 Xeon Phiで面白いのは、x86コアでLinux OSを独立して動かし、並列コンピューティング用のプログラムを処理できることだろう。このように、Xeon Phi自体がOSを持ち動作することは、NVIDIAやAMDのGPGPUとは大きく異なっている。

 また、コアがx86アーキテクチャを利用しているため、GPGPUのように独自のプログラミング言語でプログラムを作成するのではなく、現在利用しているx86プログラミングがそのまま利用できるという点も、大きなメリットである。

 ただし、どんなx86プログラムでもXeon Phiで動かせば性能が上がる、というモノではない。やはり並列コンピューティング用に開発されたプログラムをXeon Phi用にリコンパイルする必要がある。実際Intelでは、既存のXeon用のC/C++プログラミング用のコンパイラをXeon Phiに対応させて、Xeon Phi環境で最も効率が高くなるようにしている。

2012~2013年に提供されたXeon Phi(開発コード名:Knights Corner)は、PCI Expressのカードとして提供されていた。倍精度浮動小数点演算性能として1TFlopを実現している

(山本 雅史)