仮想化道場
クラウドプラットフォーム企業に変容するVMware
(2014/1/24 06:00)
これまでさまざまな企業を買収してきたVMwareだが、2013年は、自社のプロダクトを整理し、クラウドプラットフォーム企業へと進んだ年だった。今回は、ここ数年のVMwareの変化と、今後を分析していく。
さまざまな企業を買収してきたVMware
VMwareは、仮想化に特化したプロダクトを提供するために、ダイアン・グリーン氏などが1998年に設立した(当時は非上場)。その後、2003年にストレージベンダーとして有名な米EMCに買収され、2007年にはニューヨーク証券取引所に上場した。その間、日本法人のヴイエムウェア株式会社を2003年に設立している。
創設者のグリーン氏は2008年の夏にCEOを退任し、後継として、EMCのクラウドコンピューティング部門の責任者だったポール・マリッツ氏が就任した。
マリッツ氏は、MicrosoftにおいてWindows 95/2000などの開発を行った開発部門の副社長だった。しかし、2000年には同社を退職し、Linux OSをベースとした個人向けOS/アプリケーションを開発する企業Piを設立した。その後、PiがEMCに買収されたことで、マリッツ氏自身もEMCに新設されたクラウド・インフラストラクチャおよびサービス部門のプレジデント兼ジェネラル・マネージャーとして、EMCの経営幹部チームに参加した。
マリッツ氏がVMwareのCEOに就任した後は、さまざまな企業の買収を行っている。
Javaアプリケーションの開発プラットフォームとなるSpring Frameworkを提供している米SpringSource、メールやグループカレンダーなどで構成されてコラボレーションソフトウェアのZimbra(当時、Yahooに買収されており、Yahooのエンタープライズビジネスに組み込まれていた)、Javaベースのデータ管理ソリューションを提供しているGemStone Systems(形としてはVMwareの子会社となったSpringSourceによる買収)など、特に、アプリケーション層における買収が続いた。
2011年には、SaaSベースのプレゼンテーションソリューションを提供していた米SlideRocketや、中小企業向けのIT管理ソリューションを手掛けるShavlik Technologies、ソーシャルコラボレーションソリューションのSocialcas、金融・ビジネスマネジメントのソリューションをSaaSモデルで提供している米Digital Fuelなども買収している。
2011年当時、VMwareは、オンプレミスの仮想プラットフォームから、パブリックなクラウド、クラウド上のサービスを構築する開発ツール、プラットフォーム、さらにクラウド上のサービス(SaaS)までもカバーする、巨大な領域を包括的に手掛ける企業になろうとしていたといえる。
また2012年には、VDIのイメージ管理を行う米Wanova、クラウド自動化ソリューションを提供するDynamicOpsの買収などを行った。